小田急多摩線・唐木田駅を歩く。~始発・終着駅探訪~
毎日座って通勤できる“始発駅”の魅力に迫る
一般的な会社員は、平日は毎日電車に乗って通勤している。
考えるだけで気が重くなる朝の満員電車に、ストレスを感じている人は多いことだろう。
そんな日々から、ストレスを取り除く方法。
幾つかの選択肢が挙げられるが、毎日座って通勤をすることができれば、どんなに楽になるだろうか。
最寄り駅が始発駅であれば、その願いは叶えることができる。
首都圏には多くの始発駅があるが、知名度が高い駅は少なく、その駅の周りはどのような街なのか知られていないことが多い。
一体どんな駅で、どんな街並みが広がっているのか。
今回は小田急多摩線の始発駅のひとつ「唐木田」を実際に見に行ってみた。
小田急多摩線の始発駅「唐木田」ってどんな街?
東京都多摩市にある唐木田駅。小田急線に慣れ親しんだ人なら、一度はその名前を目にしたことはあるだろう。
新宿から小田原方面に向かう際「唐木田行き」に乗ってしまい、途中で乗り換えをしなくてはならなくなったり、もしくは乗り過ごしてイライラしてしまったりしたことがないだろうか。

始発・終着駅らしく、静かな印象を与える唐木田駅周辺だが、果たしてどんな街並みが広がっているのだろうか。実際に周辺を歩いて見てみることにした。

ひとまず、駅の出口を出てみた。左奥にある大きな建物は、ケーヨーデイツーというホームセンターだ。もしかして、それしかない? と不安になったが、もっと奥に煙突が見えるのがお分かりだろうか。

駅から見えるもののなかで、一番目指すべき場所のような気がした。むしろあの煙突以外、唐木田周辺には他になにもなさそうな気がする。ということで、実際に歩いてみることにしよう。

ケーヨーデイツーの脇の道を直進し、煙突を目指した。歩いているとわかったが、想像以上に近そうである。なんなら走ったら5分くらいで着けそうな勢いだった。
そんなとき、目の前に謎の建物が現れた。

想像以上に大きく、異質な建物の正体は、「多摩市総合福祉センター」であった。主に高齢者や障害者のためのレクリエーション施設や研修室、デイサービスなどが入居している施設らしい。

多摩市在住の60歳以上の方は、談話室、お風呂、ラウンジで仲間づくりやコミュニケーションの場として自由に利用できるという。60歳になったら、多摩市に住みたい。

すごいな、すごいな、と独り言を言いながら城塞を何周もしてみた。やはりすごい建物である。フランスには行ったことがないが、多分フランスにある城塞とそんな代わりはないレベルだと思う。しかもフランスに行くより断然近いし安いので、城塞が見たくなったらここに来たら良いだろう。
しかしながら、目指すべきものはここではなく煙突だったことを思い出した。
城塞の脇に「ここから煙突を見れますよ」と言わんばかりの入り口があった。確実にここだな、と思いながら階段を登って歩いていくことにする。

想像以上に割と段数がある。何なら、簡単な登山レベルである。スニーカーを履いてきて良かった。そして階段を登りきると、雑木林が目の前に現れた。

果たしてこの道を進んでも大丈夫なのだろうか。一抹の不安を覚えながら、とりあえず前へ進むことにする。

5分ほど歩くと、公園のような場所に出た。道はしっかり続いていたのだ。

案の定、全く人はいない。むしろこんな場所に人がいたら怪しすぎる。仮に子供が一人でいたら、それは霊的な何かだろう。絶対に話しかけてはならない。
その後、山道を歩くこと約5分。やっと煙突が目の前に現れた。

煙突の隣に丸いガスタンクも付いてきた。丸いものと細長いものって、何かと相性が良い気がする。
このタンクは東京ガスのタンクであり、東京ガス多摩整圧所のものだそうだ。そして肝心の煙突だが、これは多摩清掃工場の煙突なのだそうだ。


実は唐木田駅は、この煙突にとてもゆかりがあるらしい。約30年前、多摩ニュータウン建設計画の中でこの清掃工場が出来たのだが、その土地を提供した地元住民の請願によって駅が建てられたというのだ。その後、1990年に唐木田駅は開業。唐木田駅は比較的最近作られた駅だったのである。

山を下り、駅の方に向かう。
ハイキング、いや、登山の扱いでも良いだろう。そんな唐木田散策だったが、なかなか楽しかった。
途中では謎の犬がいたり……

多摩市の「健幸都市宣言」を発見することもできたりした。

唐木田駅を降りた直後は、終着駅らしくなにもなさそうだなと思ったほどだったが、歩いてみるとなかなか風情のある街だった。もし時間が許すならば隅々まで探索をしてみたいと思うほどである。

そして今回はたまたま「唐木田」近辺を歩いたわけであるが、都内近郊の始発・終着駅はそれぞれの街に魅力がたくさんあると思う。連載が続くのであれば、これからも色々な始発・終着駅を見に行きたい。

文・写真=編集部
知らない街へ引越す前に、ホテル暮らしで街をおためし
上京や転職など、知らない街でのお部屋探し。初めから自分にあった駅やエリアを見つけるのは難しいもの。
ホテルに滞在して1日を過ごしてみれば、その街の朝・昼・晩の雰囲気や、通勤・通学時の混み具合など、住んで初めてわかることを体験できるはず。
「CHINTAIホテル暮らし」であなたらしい街選びを!
