京王相模原線・橋本駅を歩く。～始発・終着駅探訪～

毎日座って通勤できる“始発駅”の魅力に迫る

一般的な会社員は、平日は毎日電車に乗って通勤している。
考えるだけで気が重くなる朝の満員電車に、ストレスを感じている人は多いことだろう。

そんな日々から、ストレスを取り除く方法。
幾つかの選択肢が挙げられるが、毎日座って通勤をすることができれば、どんなに楽になるだろうか。

最寄り駅が始発駅であれば、その願いは叶えることができる。
首都圏には多くの始発駅があるが、知名度が高い駅は少なく、その駅の周りはどのような街なのか知られていないことが多い。

一体どんな駅で、どんな街並みが広がっているのか。

今回は京王相模原線の始発駅のひとつ「橋本」を実際に見に行ってみた。

都営新宿線の始発駅「橋本」ってどんな街？

神奈川県にある橋本駅。京王線に慣れ親しんだ人なら、一度はその名前を目にしたことはあるだろう。調布より先、例えば府中や分倍河原に向かいたい際に「相模原線直通」電車に乗ってしまい、乗り換えを間違えた方もいるかもしれない。

新宿からも直通運転している相模原線は、調布駅、京王多摩センター、南大沢などの主要駅、そして終着駅の橋本を結んでいる。

JR横浜線と相模線も乗り入れ、相互間の接続駅となっている橋本駅だが、果たしてどんな街並みが広がっているのだろうか。実際に周辺を歩いて見てみることにした。

なんだろう。この見た目、ちょっと仙台駅が頭をよぎったのは気のせいだろうか。あ、いや、それは言いすぎたかもしれない。言うなれば大宮駅だろう。

ただ大宮と比べて人は少ないし、大型のサイネージも無い。もちろんルミネもないし、新幹線も通っていない。これでは圧倒的に大宮に負けている。果たして橋本には大宮に勝てる要素はあるのだろうか。

駅前にドドンと鎮座しているビル、meweを見つけた。これはミーウィーと読むのが正しいのだろうか。窓が鏡張りなのがとても綺麗である。

meweをグーグル翻訳にて直訳すると「ナッツ」という意味が出てきたが、由来はこれではないだろう。むしろ、伝説のボクサー、モハメド・アリが残した世界一短い詩「ME,WE」から付けられた、ということであって欲しい。

と、そんなことを考えながら散歩をしていたが、meweの他には「大宮になくて橋本らしいもの」は見当たらないまま時間は過ぎ去っていった。

とはいえ、もちろん畑ばかりが広がるわけでもなく、街中には住宅街が広がっている。駅近くには国道16号線も走っているため、車を使う人にとっては様々なエリアに向かうことができるので住みやすそうだ。

映画館だってあるし、スーパーもいくつもあるし、都内と比べてれば家賃も安いし、暮らしやすさで言ったらピカイチかもしれない。

とはいえ、せっかくならばやはり橋本らしいものも探しておきたい。

ということなので、駅の反対側に行ってみた。

学校があるくらいだった。

これはどうしよう、もしかして本当に橋本駅周辺はなにもない街なのだろうか。大宮に勝てる要素はなにもないのか。諦めかけようと思ったが、せっかくなので駅の奥の方に少し歩いてみることにした。

アリオ、というバカデカいイトーヨーカドーがあった。そうそう、こういうのが欲しかったんだ！ 多分、大宮にはアリオはないはずである。勝ったな、橋本。

まあ、ちょっと調べてみたらわかるが、大宮にも「ステラタウン」というアリオ的なイオン的なショッピングモールがあるらしく、というか地方都市ならショッピングモールがあったからって差別化にならないわけで、なんなら地方感を強めてしまっている要素かもしれない。

となると、どうしよう、橋本。

奥の方で、大規模な工事が行われているようだ。というか、先程の学校をよく見ると、2019年4月1日を持って移転するという紙が貼られていた。学校が移転するほどの工事って、一体何なのだろうか。

街を歩いていてもなにも分からなかったので、仕方なく調べてみることにした。すると……

あのリニアモーターカーが、なんと橋本駅に停車するらしいのだった。神奈川県の駅として、なんと「橋本駅」がその座を射止めたという。新横浜に勝った橋本、すごい。これからは橋本の時代がやってくるのか。

ネットによると先程の学校の辺りがリニアの駅になり、その周辺に沢山のビルや買い物ができるスポットが出来上がるという。

ちなみに東京〜名古屋間で予定されているリニアの駅は、品川駅、神奈川県駅（仮称）、山梨県駅（仮称）、長野県駅（仮称）、岐阜県駅（仮称）、名古屋駅となるらしいのだが、神奈川県駅が橋本駅南口地下に建設が予定される駅となるんだそう。開業予定年は今のところ、2027年の予定だ。

橋本駅を降りた直後は、完全になにもない街かもしれないと思ったほどだったが、次の時代に向けて進化を続ける未来のある街だった。もし時間が許すならば隅々まで探索をしてみたいと思うほどである。

そして今回はたまたま「橋本」近辺を歩いたわけであるが、都内近郊の始発・終着駅はそれぞれの街に魅力がたくさんあると思う。連載が続くのであれば、これからも色々な始発・終着駅を見に行きたい。

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文・写真＝編集部