JR武蔵野線・府中本町駅を歩く。~始発・終着駅探訪~
毎日座って通勤できる“始発駅”の魅力に迫る
一般的な会社員は、平日は毎日電車に乗って通勤している。
考えるだけで気が重くなる朝の満員電車に、ストレスを感じている人は多いことだろう。
そんな日々から、ストレスを取り除く方法。
幾つかの選択肢が挙げられるが、毎日座って通勤をすることができれば、どんなに楽になるだろうか。
最寄り駅が始発駅であれば、その願いは叶えることができる。
首都圏には多くの始発駅があるが、知名度が高い駅は少なく、その駅の周りはどのような街なのか知られていないことが多い。
一体どんな駅で、どんな街並みが広がっているのか。
今回はJR武蔵野線の始発駅のひとつ「府中本町」を実際に見に行ってみた。
JR武蔵野線の始発駅「府中本町」ってどんな街?
JR南武線とJR武蔵野線の2路線が乗り入れている、府中本町駅。武蔵野線に乗ったことがある方なら、一度はその名前を目にしたことはあるだろう。

駅付近の説明をする前に、まずは武蔵野線の説明をしたいと思う。
武蔵野線と言えば、東京・埼玉・千葉の1都2県を結ぶ東京外環状線だ。府中本町駅と西船橋駅を結ぶこの路線は、1988年には京葉線とも結ばれ、更に2010年には東北本線の貨物船を使い大宮駅から乗り入れる電車も登場。
ざっくり言えば、東京の外側をぐるっと一周している。比較的新しく開業した路線のため、踏切が1箇所もないことも特徴だ。
そんな武蔵野線の起点・府中本町駅であるが、この街は一体どんな街なのだろうか。

駅の周りをざっと見渡してみたが、栄えているとは決して言えないだろう。とはいえ、どんな駅・街であれとも、必ずや“なにか”がある。そう思い、まずは駅北側を見に行くことにした。

割と大きなものがあるな、と思って気になる方を見てみると、なんと山が見えた。ここ府中は東京都と言えども、比較的西側なのでこのような山もあるのである。山が見える家に住みたいという山好きの人にとっては、この街に住むのはおすすめかもしれない。

山も気になったのだが、駅を出てもう一つ気になったものがあった。

とても立派な鳥居なので、この神社はこの辺りを象徴する神社なのかもしれない。せっかくなので、実際に入ってみることにした。

もしかして、正規の入り口から逸れて入ってしまった気がする。入ってすぐに社があるということは、境内の諸々を無視して入ってきてしまったということだろう。まあ、この際仕方ない。府中本町駅からこの神社に向かうには、このルートしかなかったのだから。

この神社は大國魂(おおくにたま)神社といい、大國魂大神(おおくにたまのおおかみ)を守り神として祀った神社であるという。この大神は出雲の大国主神と御同神で、大昔に武蔵国を開き人々に衣食住の道を教え、医療法やまじないの術も授けた神様だそうだ。しかも縁結び、厄除け・厄払いの神でもあるらしい。
要するに、超万能な神である。ぜひあやかりたい。

ちなみにこの大國魂神社では、毎年4月の末から5月の初めまで「くらやみ祭り」という祭りが開かれるそうだ。1,000年以上行われてきた由緒ある祭りであり、毎年約70万人の人出で賑わうとのこと。ゴールデンウィークに訪れるのも良いかもしれない。

境内の入り口の方に向かうと、府中本町駅とは雰囲気が違う少し賑やかな街並みがあった。遠くには大きな駅も見える。そう、府中駅に着いたのだった。実は府中本町駅と府中駅は、距離的にはそこまで遠くはない。
NAVITIME調べによると、総距離は903m、歩数は約1,290歩、所要時間は11分で行けるようだ。頑張って走れば、5分以内の乗り換えも可能だろう。うーん、いやそれは無理か。

府中の街に行ってしまうと、それこそ府中の散策になってしまうので神社から駅に戻ることにする。ということで、先程は行かなかった駅の反対側に出てみることにした。

商店がチラホラある駅南側を散策しようと思ったが、とある看板を見つけてしまった。

府中の森、という森には博物館があるのか。名前は聞いたことがある。
でもここから更に2kmも歩くのか。ちょっと見なかったことにして立ち去りたいと一時は思いもしたが、この街に来る機会はなかなか無いため、歩いて向かうことにした。

向かう途中にはサントリーのビール工場を見つけた。

ここは「天然水のビール工場」を謳い、サントリーが運営するビール工場だそうだ。見学ツアーなども行う人気の施設らしく、要予約らしいが、注ぎたてのプレミアムモルツを試飲することが出来たり、ここでしか購入できないグッズも販売されているという。
ホームページから予約ができるそうなので、気になった方はチェックしてみてはどうだろうか。

そうやって歩くこと約20分。やっと「府中の森」らしき場所に到着した。地図を見る限り森は大きすぎて、どこからどこまでが府中の森なのか把握できなかったが、入り口と思わしき場所に桜があったので多分ここが入り口だろう。
日本の年度は4月始まりであることや、学校にはサクラが植えられていることが多いため、桜は「始まりの花」と考えるのが妥当である(個人的主観)。

桜の周りには、不思議な歩道橋があった。下の写真を見て、何か違和感を感じないだろうか。

そう、実際の歩道橋よりもすこし低いのだ。その分信号機も小さく、道路の道幅も狭い。これは一体なんだろう、不思議の国に迷い込んだのだろうか? と思ったがそうではなかった。
ここは交通遊園と呼ばれる、子どもたちが楽しみながら交通知識を身につけることを目的とした遊園なのだそうだ。ここではゴーカートや電気自動車に乗って、子どもたちが遊ぶことが出来るらしい。

また交通遊園らしく、使われなくなった列車が飾られていた。都電6000形車両、6191号車だ。

少し森を散策してみた。ここ府中の森には広い芝生、カラフルな遊具がたくさん見受けられる。夏は水遊びができるようなプールもあり、バーベキューもできるようだ。しかもバーベキューはなんと無料で利用できるらしい。これはちょっとすごい(要予約)。

肝心の目的地であった「郷土の森博物館」は、残念ながら閉館時間につき入ることができなかったが、公園自体とても広く散歩のしがいがあり、もう一度プライベートで訪れてみたい場所だなと感じた。少し駅から遠いが、観光気分で訪れるには適しているだろう。

府中本町駅を降りた直後は「府中」という名が付いただけのなにもない街かもしれないと思ったほどだったが、歩けば歩くだけこの街には魅力がたくさん見つかった。時間が許すならば隅々まで探索をしてみたいと思うほどである。
今回はたまたま「府中本町駅」近辺を歩いたわけであるが、都内近郊の始発・終着駅はそれぞれの街に魅力がたくさんあると思う。連載が続くのであれば、これからも色々な始発・終着駅を見に行きたいと思う。
文・写真=編集部

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