同棲する際の住民票は変更必須?世帯主はどっち?手続きの方法やメリット・デメリット
同棲を始めたら住民票や世帯主はどうする?

ついに憧れの同棲生活がスタート! 新居も決まって荷造りも終わり、お金の管理や家事の分担ルールも決めて準備万端……と思いきや、「住民票」の存在を忘れていた!なんてことはないだろうか?
「住民票を移さないとどうなるの?」「二人で同じ住民票(世帯)にした方がいいの?」と疑問に思う人もいるかもしれない。
この記事でわかること
同棲を始めるにあたり、住民票の異動は必須
住民票を移すメリットとデメリット
住民票の世帯主はどっちにする?二人とも世帯主にできる?
このページの目次
そもそも住民票とは
住民票(住民基本台帳)には、氏名、生年月日、性別、住所、世帯主との続柄などが記録され、国民健康保険、国民年金、児童手当、選挙人名簿への登録など各種行政サービスの基礎となっています。
出典:総務省ホームページ
「住民票」とは、公的機関で作成させる住民の記録のことである。上記のとおり、住民票には氏名や生年月日などの情報が記録され、各種行政サービスを受けるための基礎となっている。
同棲を始めるにあたり、住民票の異動は必須
住所を変更した場合は速やかに住民票の住所変更の届出を行うことが法律で義務づけられている。同棲を始める時に新しい物件を借りる・片方の家に移るなど住所が変わるのであれば、住民票の異動が必要だ。
お住まいの市区町村で、行政サービスを確実に受けられるようにするため、入学・就職・転勤等に伴う引越し等により住所を移した方は、速やかに住民票の住所変更の届出を行って下さい。(法律上の義務です。正当な理由がなく届出をしない場合、5万円以下の過料に処されることがあります。)
出典:総務省ホームページ
このように、住民票の異動は義務であることを前提に、以下をご紹介する。
- 住民票を異動するとできること(メリット)
- 住民票を異動するときに気を付けた方がいいこと(デメリット)
- 世帯を一緒にするかどうかのポイント
同棲の際に住民票を移すとできるようになること(メリット)とは?
住民票の異動は義務であることは前提として、きちんと手続きすることでどのようなメリットがあるのか。ひとつずつ見てみよう。
住民票を移すメリット①必要な郵便物を受け取ることができる
選挙の投票用紙や年金のお知らせなど、役所からの郵便物は住民票の住所に送付される。旧住所が実家であれば家族に受け取ってもらうこともできるが、実家まで取りに行く手間がかかる。
特にありがちなのが、運転免許証の更新に関するトラブル。運転免許の更新案内は住民票の住所に届くので、住民票を移さなければ旧住所に届いてしまう。うっかり更新を忘れてしまったら、免許が失効となるので注意が必要だ。
必要な郵便物を確実に受け取るためにも、同棲を始めるなら住民票の異動は速やかに行うべきだろう。
住民票を移すメリット②“内縁”関係として認められる
住民票を一緒にして「世帯を一緒にする」ことも可能だ。片方を「未届けの夫or妻」として届け出ることで、2人の関係を事実婚=“内縁”関係とすることができる。内縁関係が認められることで、社会保険で片方の扶養に入ることが可能になるケースもある。
住民票を移すメリット③ 住んでいる市区町村の施設を利用できる
住民票を移すことで、新住所のある市区町村の行政サービスを受けられるようになる。
例えば、体育館やスポーツ施設のマシン類を使ったり、ヨガや体操などのレッスンを受けたりできるようになるため、民間のスポーツジムに行くよりも費用を抑えられるだろう。

住民票を移すメリット④ 新住所の税務署で確定申告ができる
確定申告は、住民票がある住所の管轄の税務署で行う。このため、住民票を新住所に異動しておかないと、旧住所の税務署まで足を運ばなくてはならない。
ただし、今はネットでも確定申告ができる。もし事情により住民票が旧住所のままであれば、ネットでの確定申告を利用するのもひとつの手だ。
同棲の際に住民票を移す場合、注意すべき点はあるの?
同棲の際に住民票を移すメリットを紹介したが、以下のような注意ポイント(デメリット)もある。
住民票を移すデメリット①同棲を解消した時に再度移し直す必要がある
何らかの理由で同棲を解消することになった場合、住民票を元の住所へ移し直す手間がかかる。パートナーとの信頼関係にもよるが、万が一のケースも考え、頭の片隅に入れておくと安心だ。
もし、どちらかが実家や一人暮らしの家などと行き来をする“半同棲”の場合は、同棲を始める時に住民票を移さなくともあまり問題にはならないだろう。
ただし、生活の基盤が二人で暮らしているアパートの方にあるのであれば、基本的には双方ともに住民票を移す義務がある。アパートの住所と実家の住所が別の自治体なら、住民税を納める先も違う。生活の実態に合わせ、住民票を移すべきだろう。
住民票を移すデメリット② 新住所に転入後、3ヵ月間は選挙権がなくなる
新住所に住民票を異動すると、3ヵ月間、選挙権を失ってしまう。選挙権がないと投票できないため、どうしても投票したい候補者がいる場合は同棲のタイミングに配慮した方がよいことも。
例えば、新住所に投票したい政党の候補者がいる場合、選挙日の3ヵ月前には住民票を異動しておかないと投票できない。反対に、旧住所には投票したい政党の候補者がいるが新住所にいない場合は、元の住所で投票してから選挙後に引越しをするとよいだろう。
次は、実際に住民票異動の手続きの行う際のポイントを紹介!
住民票の手続きのポイントを押さえておこう
住民票を異動しようとした時、どのような手続きが必要なのだろうか。ここでは、あらかじめ確認しておきたい2つのポイントをご紹介しよう。
住民票手続きのポイント① どうやって住民票を移すの?
同じ市区町村内に引越しをする場合は、最寄りの役所に「転居届」を提出する。必要なものは印鑑に加えて、免許証やマイナンバーカードなどの本人確認ができる書類だ。
新住所の市区町村が変わるのであれば、まず旧住所の役所に「転出届」を提出し、転出証明書を受け取る。その後、引越しをしてから14日以内に新住所の役所へ「転入届」を提出する。この場合も、印鑑と本人確認書類を忘れずに持参しよう。
住民票手続きのポイント② 世帯主はどうする?
同棲を始める時に、同じ住民票に入る場合は世帯主を決めなくてはならない。
一人を「未届の夫or妻」「同居人」とする場合
片方を「世帯主」、もう片方を「未届の夫or妻」または「同居人」とし、住民票を2人で1つすることも可能だ。
メリットは主に2点。生計を一にしている証明となり、健康保険や公的年金の扶養対象にできることと、委任状なしでお互いの住民票を取得可能となることだ。
一方でデメリットもある。もし同棲を解消した場合、世帯主だった方の引越し先が同一の市区町村内だと、住民票に相手の名前が残ってしまう。同じ市区町村内での転居では新たな住民票が作成されず、住民票に上書きされるためだ。新しいリスクを避けたい場合は、他の方法を取ることをおすすめする。
また、住民票に同居人の名前が記載されるため、職場へ提出した時に同棲の事実を知られる可能性がある。同棲相手がいることを職場に知られても問題ないのであれば、片方を世帯主にしてもよいだろう。
一般的には二人とも世帯主となっているケースが多い
収入も別、各々で生計を立てているのであれば、それぞれを世帯主として届けることが可能だ。この場合は住民票に相手の名が記載されることもないので、職場に同棲の事実を知られる心配もない。
同棲で引越しをするなら住民票を異動するのを忘れずに
同棲を始める時は、片方に別拠点がある“半同棲”でない限り、引越しが発生する可能性が高い。
大事な書類が届かなかったり、新住所で選挙に参加できなかったりと不都合もあるだろう。結婚を前提に同棲するなら、先のことを考慮して住民票を異動しておくのがよさそうだ。
文=宅野美穂(株式会社YOSCA)