賃貸物件の世帯主とは?同棲時の決め方と住民票変更の考え方を解説

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パートナーとの同棲を始める際、住民票の手続きで悩むのが「世帯主」を誰にするかという点だろう。賃貸物件の契約では、一つの部屋に二人の世帯主が存在するケースや、どちらか一方が世帯主となるケースなど、いくつかのパターンが考えられる。

本記事では、同棲における世帯主の決め方や、世帯を分ける・まとめることによるメリット・デメリット、住民票変更の注意点を分かりやすく解説する。スムーズな新生活をスタートさせるための判断材料として、ぜひ役立ててほしい。

賃貸物件における「世帯主」とは?

引越しをして住所が変わる際は住民票の異動手続きが必要となるが、その際に必ず決めなければならないのが「世帯主」である。

世帯主とは、法律(住民基本台帳法)に基づき住民票の世帯ごとに定められるもので、「その世帯を代表し、生計を維持している人」を指す。つまり、基本的には同じ住居に住む人の代表者と考えれば良いだろう。

賃貸物件の「契約者」と住民票上の「世帯主」は、それぞれ別の制度に基づくものだ。そのため、必ずしも「契約者=世帯主」である必要はなく、入居実態に合わせて柔軟に決めることができる。 

また、同棲の場合は、二人のうち一人が世帯主となり、もう一人が「同居人」としてその世帯に入るパターンのほか、住民票の届け出方によって、二人ともがそれぞれ「世帯主」として独立した世帯を作るパターンも選択可能だ。どちらのパターンを選ぶかによって、勤務先からの住宅手当の受給可否や、お互いのプライバシーの守られ方に違いが生じるため、二人の状況に合わせて慎重に判断することが重要だ。

同棲するとき、世帯主はどう決める?

同棲時の世帯主の設定には、大きく分けて2つの考え方がある。一つは「世帯主を1人にまとめる」方法、もう一つは「同じ住所で世帯を分け、それぞれを別世帯として扱う」方法だ。手続きのしやすさや周囲への影響を踏まえて、二人に適した形を選択しよう。

同棲で世帯主を「1人にする場合」「2人にする場合」の比較

世帯主を1人にする場合は生計を一にしている証明がしやすい反面、職場に同棲が知られやすい。一方、2人の場合はプライバシーを保ちやすいが、行政手続きや書類管理が個別になるという特徴がある。

それぞれの具体的な違いについては、以下の比較表を確認しよう。

比較項目世帯主 = 1人世帯主 = 2人(世帯分離)
住民票の記載一通の住民票に2人の名前が記載され、続柄が「世帯主」と「同居人」または「未届の妻(夫)」となる1人ずつ別々の住民票になり、相手の名前が記載されない
手続き窓口が1人にまとまり手続きがシンプルそれぞれ手続きを行う必要がある
社会保険の扶養控除続柄を「未届の妻(夫)」にすれば、社会保険の扶養に入れる可能性がある※税法上の扶養控除は対象外基本的に扶養には入れない
同棲の見え方書類上も同居世帯として扱われる書類上は単身世帯として扱われる
プライバシー職場に同居人の存在を知られてしまう可能性がある職場や周囲に同居人の存在を知られるリスクを抑えられる
世帯主を「1人にする場合」「2人にする場合」の比較表

世帯主を1人にする場合の考え方

この場合は住民票を同一世帯としてまとめることになる。続柄を指定する必要があるため、世帯主でない一人は、続柄が「未届の妻(夫)」または「同居人」となる点には注意が必要だ。この方法は生計を一にしている証明がしやすくなる。住民票の続柄を「未届の妻(夫)」とすることで、法律上の婚姻関係がなくても、健康保険や公的年金の扶養対象(社会保険上の扶養)にできる可能性がある点が大きなメリットだ。ただし、所得税などの「扶養控除」は対象外となる点に注意したい。

世帯主を2人(別世帯)にする場合の考え方

同じ住所に住んでいても、住民票上は別世帯として扱う場合、行政手続きや書類管理はそれぞれ個別に行うことになる。それぞれ独立した世帯として扱われ、住民票にパートナーの氏名が記載されない。そのため、職場や周囲に同棲を知られにくい。なお、住民票を分ける場合であっても、賃貸契約をする際には必ず2人で入居する旨を管理会社や大家さんに伝えておく必要がある。

同棲時の住民票変更は必要?住民票を移すメリット

引越しをして住所が変わった際、住民票を移すことは法律上の義務であり、転居後14日以内に手続きを行う必要がある。世帯を同一にするか分けるかは、住民票を移す際に選択可能だ。住民票を正しく移すことには、義務を果たす以外にもいくつかのメリットがある。

まず、新住所で行政サービスをスムーズに受けられるようになる点だ。地域の図書館の利用登録や住民健診、選挙の投票といったサービスを支障なく利用できる。また、免許証の更新通知や納税通知書など、必要な郵便物を新居で確実に受け取れるため、重要な手続きの漏れを防げる。

さらに、銀行口座やクレジットカードの住所変更など、本人確認書類が必要な手続きもスムーズに行える。「一時的な同居だから」と放置せず、適切な時期に届出を行うことが、トラブルのない新生活につながる。

世帯主や住民票を変更する際の手続き

世帯主の設定や住民票の変更は、引越し先の市区町村役所の窓口で手続きしよう。状況に応じて、主に以下の手続きが必要となる。

手続きの種類手続きの内容手続きに必要なもの提出先期限
転入届他の市区町村へ引越しをする場合・本人確認書類・転出証明書(紙で交付された場合のみ)・マイナンバーカード(持っている場合)新住所の市区町村役所引越し後14日以内
転居届同じ市区町村内で引越しをする場合・本人確認書類・マイナンバーカード(持っている場合)
世帯変更届(世帯主変更届・世帯分離届など)すでに住んでいる場所で、世帯の構成を変える場合・本人確認書類・マイナンバーカード(持っている場合)・世帯変更届現住所の市区町村役所世帯の変更があった日から14日以内

転入届:他の市区町村から新居へ移る場合

  • 提出先:新しく住む市区町村役所
  • 提出期限:引越し後14日以内
  • 主な必要書類
    ・本人確認書類
    ・転出証明書(紙で交付された場合のみ)
    ・マイナンバーカード(持っている場合)
  • 注意点
    ・世帯主や世帯区分の設定は、転入届の提出時に行う

転居届:同じ市区町村内で引越す場合

  • 提出先:新住所を管轄する市区町村役所
  • 提出期限:引越し後14日以内
  • 主な必要書類
    ・本人確認書類
    ・マイナンバーカード(持っている場合)
  • 注意点
    ・転出届や転入届は不要で、転居届のみで住民票が書き換えられる
    ・同じ市区町村内でも、提出期限は決められている
    ・世帯主の変更や世帯分離・合併を行う場合は、あわせて届出が必要になることがある

世帯変更届:すでに住んでいる場所で、世帯の構成を変える場合

  • 提出先:現住所を管轄する市区町村役所
  • 提出期限:世帯の変更があった日から14日以内
  • 主な必要書類
    ・本人確認書類
    ・マイナンバーカード(持っている場合)

もし一度同一世帯として届け出た後に、やはり世帯を分けたいと考えた場合には『世帯分離届』を提出することで、後から世帯主を2人に分けることも可能だ。

これらの届出書を提出できるのは、原則として世帯主もしくは世帯員のみである。もし本人が行けない場合は、委任状を用意して代理人を立てる方法もある。手続きをスムーズに進めるためには、マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類、および印鑑を事前に用意しておこう。

同棲開始のタイミングは荷解きなどで忙しくなりがちだが、手続きは引越しから14日以内という期限があるため、生活が落ち着いたら速やかに進めることが大切である。

Q&A

Q1:住民票を移さないまま同棲すると、どうなる?

A.「住民基本台帳法」では、引越しや生活拠点の変更があった場合の住民票の異動は義務とされている。引越し後14日以内に届け出をしないと、5万円以下の過料が科される可能性があるほか、選挙や証明書の取得、免許更新などが旧住所でしかできなくなるなど生活面で不便なこともある。

参照:引越したら住民票を移さないとダメ? ペナルティや例外はある?

Q2:同棲と事実婚って何が違うの?

同棲は単純に同じ場所で一緒に暮らす状態を指すのに対し、事実婚は婚姻届を出していなくても夫婦としての実態と意思があり、公的制度の適用が認められる場合がある。同棲が長く続き内縁関係と見なされるケースもあり、法律や制度上の扱いが異なる点を知っておきたい。

Q3:仲良く暮らすために心がけたいコツって?

同棲生活を楽しく続けるには、ルールを細かく決めすぎないことが役立つという先輩カップルの意見もある。二人でお金の管理や家事分担を話し合い、柔軟に対応することで、感謝や思いやりを保ちながら暮らしやすくなる。

まとめ

同棲を始める際の世帯主は、一人にまとめるか、同じ住所で別世帯にするか、自分たちで選択できる。引越しや生活拠点の変更があった場合、住民票の異動は法律上の義務であり、そのうえで自分たちの世帯をどう扱うかを決める必要がある。

手続きのしやすさや職場への影響、今後の生活設計は人それぞれだ。どちらが正解というものではないため、それぞれのメリット・デメリットを正しく理解し、自分たちに合った形を選ぼう。

CHINTAI編集部
CHINTAI編集部

1992年創業、お部屋探しや生活の情報を発信してきた株式会社CHINTAIが運営するWebメディア。引越しに関する情報はもちろん、家事や家計、季節の楽しみなど日々を豊かにする知識を調査・ご紹介。
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