引越しの際は、必ず転出届・転居届を提出しよう!期限や忘れた場合の対処法を解説
引越しする際の転出届の手続き。期限はいつまで?忘れた場合どうなる?

希望の物件が見つかり、引越し業者も手配した。水道・ガスなどのライフラインの手続きも終え、後は荷造りを進めるのみ……そのタイミングで一安心してはいないだろうか。
引越し間際にやるべきことで、忘れがちなのが「転出届」をはじめとする住民票の異動手続きだ。うっかり手続きを忘れてしまうと、引越し以前に住んでいた地域の役所にわざわざ出向くことになるだけでなく、場合によっては罰則を受けてしまうこともある。
今回は、引越しの際に必要な「転入届」、「転出届」、「転居届」のそれぞれの内容や必要書類、提出期限などについて詳しく解説する。
このページの目次
引越しの際に提出する、転出届・転入届・転居届の違いとは
転出届の手続きについて知る前に、まずは引越しにともなう届出の種類とそれぞれの書類の内容、提出先について知っておこう。
種類 | 内容 | 提出先 |
---|---|---|
転出届 | 他の市区町村へ引越す際に提出する書類 | 旧住所のある役所 |
転入届 | 他の市区町村から引越してきた際に提出する書類 | 新住所のある役所 |
転居届 | 同一の市区町村内で引越す際に提出する書類 | 居住地のある役所 |
引越しの際には「転居届」もしくは「転出届」を提出する必要があり、別の自治体へ引越す場合は、あわせて「転入届」の手続きも必要となる。
住民票の異動手続きに関しては少々複雑なものもあるため、ここからはそれぞれどのような違いがあるのか詳しく説明していく。

「転出届」とは
別の市区町村(自治体)へ引越しをする場合、引越し前(旧住所)の市区町村にある役所へ「転出届」を提出し、「転出証明書」を発行してもらう。
転出届とは、「この自治体から出てほかの地域に住む」という意思を示すものであり、新住所へ引越す前に、あらかじめ旧住所のある役所へ提出しておかなければならない。
「転入届」とは
ほかの市区町村から引越してきた際に、新住所がある市区町村の役所へ提出する書類が「転入届」だ。これは「ほかの自治体からこの地域へ引越してきた」という意思を表すものである。
国内の異動の場合は、転入届を提出する前に、あらかじめ旧住所のある市区町村の役所で転出届を提出していることが前提となる。転入届を提出する際は、転入届とあわせて「転出証明書」の提出が必要になるため注意が必要だ。
「転居届」とは
「転居届」は、同一の市区町村内で引越す場合に提出する住所変更届出の書類である。この場合は、転居届を出せば手続きは終了する。
転出届はいつまでに提出するべき?
転出届の提出は、基本的に新住所へ引越す前に行う必要がある。もし引越し前に時間が取れない場合は、引越し後14日以内であれば受理してもらえる。

また、自治体によっては郵送による転出届(転出証明書の郵送請求)を受けつけているところがある。遠方の自治体への引越しなどで、以前に住んでいた地域の役所へ行くことが難しい場合に利用してみるといいだろう。
ただし転出証明書の郵送請求ができるのは本人または同一世帯の人のみで、代理人は不可となっているため注意が必要だ。詳しくは、自治体の公式ホームページを確認しよう。
なお原則として、住民票の異動は引越しに合わせて行うのが望ましい。転出届の提出は、なるべく引越し当日までに済ませておくようにしよう。
転出届の手続き方法
転出届は引越し元の役所で行う手続きである。
手続き方法の詳細は、以下のとおりだ。
届出先 | 引越し前の市区町村の役所 |
---|---|
必要書類 | ・本人確認書類 (運転免許証や保険証 マイナンバーカードやパスポート 在留カードなど) ・印鑑 ・保険証や医療証等 (引越し前の市区町村役の所が発行している場合のみ。 場合によっては返却や記載内容の変更が必要なこともある) ・印鑑登録証(必須ではない) |
手続内容 | ・転出証明書を発行する ※引越し後に転入届を提出する際に必要となるため保管しておく |
期間 | ・引越しの2週間前~当日 |
転出届を提出しない・住民票を移さないとどうなる?
引越しでバタついてしまい、転出届を提出せずに他県など遠方へ引越してしまうケースも少なくはない。
手間に感じるからといって住民票の異動をしないと、後々、下記のような問題が起こる場合がある。
- 過料が発生する可能性がある
- 確定申告の手続きを旧住所で行うことになる
- 新住所での選挙に投票できない
- 転校手続きがスムーズにできない
- マイナンバーカードが失効してしまうおそれがある
ここからは、住民票を異動しないとどのようなことが起こるのかを詳しく見ていこう。

転出届の提出を忘れた場合に起こること①:過料が発生する可能性がある
転出届や転入届、転居届の提出は「住民基本台帳法」という法律で義務づけられている。決められた期限内に提出しなかった場合、5万円以下の過料が科せられることになっているため注意しよう。
住民異動届出を期限内に行えなかった場合、理由やその自治体の裁量により、罰則を見逃してくれるケースもあるが、基本的には速やかに住民票の異動手続きを行うようにしよう。
転出届の提出を忘れた場合に起こること②:確定申告の手続きを旧住所で行うことになる
確定申告は、住民票に記載された所在地を管轄する納税署で行うのが原則である。そのため、住民票を異動していないと旧住所を管轄する税務署まで足を運ばなければならないのだ。
手続きのための移動が負担になるだけではなく、社会保険や住民税、所得税の支払いなどの手続きも複雑になってしまうので注意しよう。
転出届の提出を忘れた場合に起こること③:新住所での選挙に投票できない
選挙で投票できるのは、市区町村の選挙人名簿に記載された人という決まりがある。そのため、住民票が異動できていないと新住所がある市区町村での選挙に投票できない点にも注意が必要だ。
この場合、旧住所での投票は可能であるが、新住所での生活にかかわる選挙も少なくないため、これから生活していく市区町村で投票すべきだろう。また、選挙人名簿に登録されるまでには、転入届を提出してから3ヶ月以上住み続ける必要があるので注意が必要だ。
転出届の提出を忘れた場合に起こること④:転校手続きがスムーズにできない
転校手続きを行うためには、住民票を異動し、役所で「学校指定通知書(転入学通知書)」を発行してもらう必要がある。転校手続きでは転入学通知書の提出が必須のため、スムーズに手続きをするためにも忘れずに住民票を異動させよう。
転出届の提出を忘れた場合に起こること⑤:マイナンバーカードが失効してしまうおそれがある
別の市区町村へ引越す場合、転入届そのものの提出が遅れたり、転入届を提出した後90日以内にマイナンバーの住所変更手続きを行わなかったりすると、マイナンバーカードが失効してしまうので注意しよう。
もし失効した場合は再発行の手続きが必要となり、手数料もかかる。再発行の手続きは手間や時間がかかるため、なるべく引越し前に手続きを済ませよう。
転出届の提出を忘れた場合は郵送での手続きも可能!
引越し前はバタバタして、転出届を出し忘れてしまうこともあるだろう。
しかし、そのような場合でも郵送で手続きが可能なので安心してほしい。転出届を旧住所の役所に提出する前に遠くに引越してしまい、直接窓口に行けないときは郵送の手続きを行おう。
転出届を郵送する場合に必要なものは以下のとおりだ。
必要書類 | 郵送に必要なもの | 手続き内容 |
---|---|---|
・記入済みの転出届 (各市区町村のホームページから ダウンロード可能) ・本人確認書類のコピー (運転免許証、パスポート、 マイナンバーカードなど) | ・返信用封筒 (住所、氏名を記載する) ※返信料金分の切手を貼る | ・転出証明書を発行する ※引越し後に転入届を提出する際に 必要となるため保管する |
ただし、自治体によって郵送での手続きの条件が異なるため、ホームページで確認してから手続きしよう。
転出届の疑問について確認しよう

海外に引越す場合も転出届を提出すべきなの?
1、2ヶ月間ほどの海外旅行であれば引越しとはならないため、転出届の提出は不要だ。しかし、転出届の年単位で暮らす場合は転出届を提出しよう。
住んでいる自治体が特別区である場合には、原則的に納税管理人の選任が必要となる。また、海外への引越しが短期間の場合でも、転出届の提出が必要となる自治体もあるため、不安な場合は各自治体に問い合わせてみよう。
代理人が転出届を提出しても問題ない?
転出届の提出は、基本的に本人もしくは世帯主が行う。
しかし、一定の条件を満たす場合には代理人に申請を依頼することも可能だ。その場合に必要な書類は、前述した本人の書類に加え、以下のとおりとなっている。
転出届が代理人の場合に必要なもの | 詳細 |
---|---|
委任状 | 委任者(本人)の署名または記名・押印要 |
代理人の本人確認書類 | マイナンバーカード・運転免許証・保険証・パスポート・在留カードなど |
代理人の印鑑 | – |
なお、委任状は各自治体のホームページ上でダウンロードすることができる。郵送の手間を省くことができるため、手続きの際は住んでいる自治体のホームページにアクセスしよう。
単身赴任の場合でも転出届を提出した方がいいの?
世帯主となっている夫または妻が単身赴任となった場合、世帯の一人のみ転出届を提出して住民票を移すことも可能だ。
2ヶ所を行き来する生活の場合は、住んでいる割合を考慮して本人の意思で決めて良いことになっている。各種行政サービスが受けられなくなってしまわないよう、メインとなる生活拠点の住所に住民票を移そう。
転出届は余裕を持って手続きを!忘れた場合は郵送手続きも可能

引越しまでまだまだ余裕があると思っていても、引越し日が近づくと、新居の掃除や家具の準備、荷物の梱包などで忙しくなってしまう。余計なトラブルを避けるためにも、転出届は余裕を持って提出しておこう。
窓口に向かうことが難しい場合や、万が一手続きを忘れてしまっていた場合は、郵送での手続きも可能なので必ず手続きをするようにしよう!
2022年4月加筆=CHINTAI情報局編集部