家賃を滞納したらどうなる?強制退去までの流れ・正しい対処法を弁護士が解説

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家賃を滞納したらどうなる?強制退去までの流れ・正しい対処法を弁護士が解説

急な出費が重なって今月の家賃が払えそうにない、うっかり支払いを忘れてしまった——。さまざまな事情から「今月の家賃が払えない」という状況に陥ってしまうことがあるかもしれない。

結論から言うと、家賃を1ヵ月分滞納したからといって、すぐに強制退去させられることはない。しかし、保証会社や管理会社、大家さんからの連絡無視や滞納を続けると、退去させられたり、新しい部屋を探しにくくなったりする可能性がある。

今回は、弁護士監修のもと、家賃を滞納し続けるリスクや、強制退去までの流れ、そして家賃が払えないとわかったときの正しい対処法や、頼れる公的支援制度についてわかりやすく解説する。

※記事の内容は、2026年8月の法令・情報に基づいています

芝大門法律事務所 高橋真司先生

慶應義塾大学卒業後、99年に弁護士登録・芝大門法律事務所へ入所。不動産紛争、居住者間のトラブルなど多くの大家さんが悩むテーマを中心に取り扱う「不動産問題のプロ」。著書に「賃貸住宅の法律Q&A」(大成出版社・共著)ほか。

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「家賃が払えない」と気づいた時に取るべき行動

手元にお金がなく「どうしても今月の家賃が払えない」とわかったら、その時点で、家賃の支払い先(保証会社や管理会社など)に連絡を入れよう。支払いが遅れる理由と「いつごろまでに払えるか(給料日など)」を正直に伝え、「分割払いで対応できないか」などの相談に乗ってもらうことが重要だ。

一番やってはいけないのが「電話や督促状を無視すること」です。連絡が取れない状態が続くと、大家さんとの信頼関係が崩れてしまいます。正直に状況を共有し、支払いの意思を伝えましょう。

家賃を滞納し続けるとどうなる? 5つの大きなリスク

2021年(令和3年)の時点で、日本の賃貸借契約の約8割で「家賃保証会社(賃貸保証会社)」が利用されている。滞納時の督促や法的手続きの実務は保証会社が主導するケースが一般的。

ただし、賃貸借契約の当事者はあくまで大家さんと入居者であるため、強制退去(部屋の明け渡し)などの法的な手続き自体は大家さん名義で行われます。手元に届く書類は大家さんの名前になっていることを覚えておきましょう。

家賃の支払いが遅れると、具体的にどのようなことが起きるのだろうか。放置する期間が長引くほど、以下のような深刻なリスクが発生する。

1.保証会社から継続的な督促を受ける(連帯保証人がいる場合は迷惑がかかる)

家賃保証会社を利用している場合、滞納すると保証会社が大家さんへ家賃を立て替え払い(代位弁済)する。しかし、入居者の支払い義務がなくなるわけではなく、その後は保証会社から入居者へ継続的な支払いの督促が行われる。

また、連帯保証人を立てている契約の場合はそちらへも連絡や請求がいき、滞納の事実を知られるだけでなく、連帯保証人自身に金銭的な負担を強いることになる。

2.遅延損害金(ペナルティ)が発生する

期日通りに家賃を支払わなかった場合、本来の家賃に加えて「遅延損害金」が上乗せされる。賃貸借契約書に利率が明記されていない場合は「年率3.00%(法定利率)」となるが、契約によっては「年率14.60%」を上限として設定されることも。滞納期間が延びるほど負担が増加してしまう。

3.個人信用情報に傷が付く(いわゆるブラックリスト入り)

家賃保証会社を利用している場合、滞納した記録が信用情報機関に登録される可能性がある。いわゆる「信用情報に傷が付く」状態となり、この記録は5~10年程度残る可能性があるのだ。その間は、クレジットカードの新規発行や更新、スマホの分割払い、各種ローン審査などが通らなくなる可能性もある。

4.次の引越し先(賃貸物件)が見つかりにくくなる

家賃滞納や強制退去の履歴が保証会社のデータベースに残っていると、次に別の賃貸物件を借りようとした際、入居審査に落ちる確率が跳ね上がる保証会社不要の物件などから探すことも考えられるが、部屋探しの選択肢が極端に狭まってしまう。

5.契約を解除され、強制退去(明け渡し)を求められる

滞納が長期化すると、最終的には賃貸借契約を解除され、部屋を退去するよう求められる。また、退去に応じず裁判に発展した場合、未払いの家賃だけでなく、大家さん側の裁判費用や弁護士費用(数十万円単位)を請求されるリスクもある。

大家さんから契約解除を求めるには「貸主と借主の信頼関係が破壊された」とみなされる必要があります。法的な決まりはありませんが、実務上は「3ヵ月以上の滞納」が目安とされることが多いです。

例外:強制退去が裁判所で認められないケース 

ただし、3ヵ月以上の滞納があっても、以下のような事情がある場合は「信頼関係が完全に崩れたとはいえない」と判断され、裁判所で強制退去が認められないケースもある。 

  1. 一時的な事情であり、後から支払える見込みがある場合
    失業や健康上の理由などで一時的に支払いが困難になっているが、一定期間が経過すれば支払える見込みがある場合
  2. 連帯保証人が代わりに家賃を完済した場合
  3. 大家さん側に過失がある場合
    大家さんが、入居者からの雨漏りや設備不良などの重大な修繕の申し出を無視し続けた場合など

家賃滞納から強制退去までの一般的な流れ

万が一、家賃を払えない状態を放置してしまった場合、どのような手続きで強制退去に至るのだろうか。一般的な流れを把握しておこう。

  1. 電話やメールでの確認・請求が行われる
  2. 「督促状」や「請求書」が届く
  3. 内容証明郵便で「督促状」届く、自宅へ訪問される
  4. 連帯保証人への連絡・請求が行われる
  5. 内容証明郵便で「催告兼契約解除通知書」が届く
  6. 裁判所で「建物明け渡し請求訴訟」を提起される
  7. 裁判所で「強制執行(強制退去)」を申し立てられる
  8. 裁判所の執行官が居住状況を確認しに来る(明け渡しの催告)
  9. 強制執行(強制退去・荷物の搬出など)が行われる

※保証会社を利用している場合、督促は保証会社が行う。また、明け渡し裁判についても、大家さんの名義(原告)のもと、保証会社が弁護士費用などを負担して主導・進行するケースが一般的

裁判や強制執行には、大家さん側にも多大な時間と数十万円以上の費用がかかります。大家さんも本音では「なんとか話し合いで解決したい」と考えているケースがほとんどです。事態が悪化する前に連絡を取り、今後どうするかを話し合いましょう。

強制退去以外の法的手続き(支払督促・少額訴訟)

強制退去(建物の明け渡し)までは求められなくても、未払いの家賃を回収するために、以下のような法的手続きをとられるケースもある。

支払督促(しはらいとくそく)

支払督促とは、裁判所から入居者へ家賃支払いの督促状が送られる制度。これに異議を申し立てず放置すると、最終的に給料や預貯金を差し押さえる(強制執行)ための法的な効力が発生してしまう。ただし、期限内に異議を出せば通常の裁判に移行する。

少額訴訟(しょうがくそしょう) 

少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払いを請求するための簡易的な裁判。通常1回の期日で判決が出るため、大家さん側も弁護士を立てずに利用しやすい。こちらも入居者側が「通常の裁判で審理してほしい」と申し立てれば、通常の裁判へ移行する。

どう対処すればいいかわからなくなった場合は、一人で抱え込まず、各自治体の消費生活センターや法テラス、弁護士の無料相談などを活用しよう。

家賃が支払えない場合の対処法 

1.不用品を売る・日払いの仕事を探す

まずは着ていない服や使っていない家電などをフリマアプリやリサイクルショップなどで売り、少しでも現金を作ろう。また、即日払い可能な単発のアルバイトなどで急場をしのぐことも検討したい。

2.連帯保証人(親族など)に相談する

親や親族に一時的にお金を借りられないか相談しよう。お金の貸し借りでトラブルにならないよう、「いつまでに返済するのか」「毎月いくらずつ返済していくのか」などを明確にし、身内であっても借用書を作成することが重要だ。

3.公的な給付金・融資制度を活用する

病気や失業などで今後の収入の目処が立たない場合は、国や自治体の公的支援を頼ろう。お住まいの地域の市役所や社会福祉協議会(生活困窮者自立支援の窓口など)で相談できる。

住居確保給付金

住居確保給付金は、離職などで住居を失うおそれがある人に対し、自治体が原則3ヵ月(最大9ヵ月)家賃相当額を大家さんに直接支払ってくれる制度。また、収入に見合った家賃の安い部屋へ引越して家計を立て直す場合、敷金や礼金、引越し費用などを補助してもらえる「転居費用の補助」が受けられるケースもある。

参考サイト:厚生労働省生活支援特設ウェブサイト | 住居確保給付金:制度概要
参考資料:住居確保給付金|厚生労働省

生活福祉資金貸付制度(緊急小口資金など)

生活福祉資金貸付制度には、緊急小口資金などがある。一時的に生活が困難になった際、無利子または低金利でお金を借りられる国の制度だ。

参考サイト:生活福祉資金貸付制度 |厚生労働省 

自立相談支援機関の問い合わせ先は、以下を参考にしてほしい。
参考サイト:自立相談支援機関 相談窓口一覧 | 困窮者支援情報共有サイト〜みんなつながるネットワーク〜

家賃滞納を防ぐために普段からできること

家賃の滞納は、うっかり忘れから生じることもあれば、慢性的な家計の圧迫が原因であることも多い。以下の対策で未然に防ごう。

1.支払いを「自動引き落とし」に設定する

毎月ATMから振り込んだり、大家さんに直接手渡ししたりしている場合は、口座からの自動引き落としに切り替えよう。「うっかり忘れていた」という事態を防ぐことができる。

2.収支を見直し、生活費の2~3ヵ月分を貯蓄する

突然のケガや失業で収入がゼロになっても焦らないよう、最低限「2〜3ヵ月は生活できる程度の蓄え」を残しておくのが理想だ。まずは日々の支出を見直し、少しずつでも計画的に貯蓄する習慣をつけよう。

3.無理なく支払える家賃の物件に引越す

毎月の家賃支払いが生活を圧迫している場合は、思い切って家賃の安い物件へ引越すのが根本的な解決策となる。一般的に、無理のない家賃の目安は「手取り収入の3分の1以下」と言われている。現在の家賃がこのラインを超えているなら、引越しを検討してみよう。

なお、前述した「住居確保給付金」では、家計再建のために家賃の安い部屋へ組み替える際の「転居費用(初期費用や引越し代など)」を補助してくれる仕組みもある。費用面で引越しをためらっている場合は、自治体の相談窓口で対象になるか確認してみるのがおすすめだ。 

参考サイト:自立相談支援機関 相談窓口一覧 | 困窮者支援情報共有サイト〜みんなつながるネットワーク〜

まとめ

家賃が払えないとわかったら、まずは家賃の支払い先(保証会社や管理会社、大家さん)に正直に状況を相談しよう。また、国や自治体の公的支援など、使える制度を活用してほしい。一時的な困難を乗り越えたら、手取りに見合った無理のない物件への住み替えも検討し、心に余裕を持てる生活を取り戻そう。

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