【一人暮らしビギナー向け医療コラム】腰痛の代表的な種類や症状・対策を医師が解説
なんだか最近腰痛気味…。これって何が原因?
「病気や怪我をしてしまったらどうしよう」というのは一人暮らしビギナーが抱える大きな不安の1つだろう。
多くの日本人が悩む体の不調、「腰痛」。リモートワークや外出自粛などで家での時間が増え、「なんだか前より腰が痛い気がする」とお悩みの人もいるのでは?
そんな一人暮らしビギナーのお悩みを少しでも解消するべく、Twitterで医療ニュースなどを発信して人気を博している医師のおると先生(@Ortho_FL)が医療コラムを連載中!
今回のテーマは「腰痛」。
一口に腰痛と言っても症状や要因はさまざまで、それぞれ対処法も異なる。今回は特に種類や症状を中心に腰痛全般について解説していただいた。

基本的な腰痛の種類や症状を知っておこう!
そもそも腰痛とはどんな状態?原因は何なの?
腰痛とは読んで字のごとく、腰に痛みを少なくとも1日以上継続して感じるような状態である。
その原因はあまり一般的に知られていないが、非常に多岐にわたる。
腰痛の原因①:脊椎とその周りの運動器に由来するもの
「腰椎椎間板ヘルニア」などの脊椎(背骨)とその周りの運動器に由来するものだ。
ここに挙げたのはごくごく一部だが、以下のような例がある。
- 脊椎の腫瘍(原発性・転移性腫瘍など)
- 脊椎の感染症(化膿性椎間板炎・脊椎炎、脊椎カリエスなど)
- 骨折などの脊椎の外傷(椎体骨折など)
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 腰部脊柱管狭窄症
- 代謝による疾患(骨粗しょう症、骨軟化症など) ほか

「腰痛」という言葉からイメージされやすいのはこの種類かもしれない
腰痛の原因②:神経に由来するもの
- 脊椎の腫瘍
- 馬尾腫瘍 ほか
腰痛の原因③:内臟に由来するもの
- 腎尿路系の疾患(腎結石、尿路結石,腎孟腎炎など)
- 婦人科系の疾患(子宮内膜症など)
- 骨折など脊椎が外傷を負った(椎体骨折など)
- 妊娠 ほか

妊娠によって腰痛が起きる場合も
腰痛の原因④:血管に由来するもの
- 腹部大動脈瘤
- 解離性大動脈瘤 ほか
腰痛の原因⑤:心因性のもの
- うつ病
- ヒステリー ほか
ここで挙げた5つの分類以外のものもあり、この場で完全に提示しきることは到底困難であるが、一般的に知られていないだけで、とにかく数が多いということは知っておくと良いだろう。

腰痛の原因はとにかく多岐にわたるのだ
特に代表的な腰痛の種類は?
先に挙げた腰痛の種類の中で、特に代表的なものを2つ紹介する。
腰椎椎間板ヘルニア
おもな症状
腰が痛み、下肢にしびれや痛みが広がる。
原因
椎間板の一部が出てきて脊髄神経を圧迫してしまうため。
対処
痛みが強い時期には、軽い安静を心がけ、コルセットを使用しても良い。
また、消炎鎮痛剤の内服や坐薬も使用可能である。
こんな症状が出たら要注意!
下肢の麻痺、排尿障害などの膀胱直腸障害を伴う場合は、ただちに近くの医療機関を受診しよう。

椎骨(背骨)の間にある「椎間板」が神経を圧迫して起こる腰痛だ
腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)
おもな症状
腰痛のほか、歩くと痛みや痺れが増悪するのが特徴。そのため歩き続けることが困難になり、歩行と休息を繰り返してしまうようになる。
原因
変形した椎間板と、背骨や椎間関節から突出した骨などにより、神経が圧迫されるため。
対処
痛みが強い時期には、軽い安静を心がける。
歩く際にはやや前傾姿勢にすることによって痛みが緩和する。
こんな症状が出たら要注意!
下肢の麻痺、排尿障害などの膀胱直腸障害を伴う場合は、ただちに近くの医療機関を受診しよう。

歩くことによって痛みや痺れが増すのが特徴だ
こんな時は要注意!救急車を呼ぶべき腰痛
前述した中で、特に注意が必要なのは以下の腰痛で、救急車を呼ぶなどして迅速な治療が必要だ。
- 悪性腫瘍性(原発性、転移性脊椎・脊髄腫瘍など)
- 脊椎感染症(化膿性椎間板炎・脊椎炎、脊椎カリエスなど)
- 骨折(椎体骨折など)
- 重篤な神経症状を伴う腰椎疾患(下肢麻痺、排尿障害などの膀胱直腸障害を伴うもの)
腰痛のときにこれが当てはまったら要注意!
これらの腰痛かどうかの判断には以下の項目の確認が重要になる。
- 年齢(20歳以下、または55歳以上)の場合
- 時間や活動性に関係のない腰痛の場合
- 胸部の痛み
- 癌、ステロイド治療、H I V感染の治療歴
- 栄養不良
- 体重減少
- 広範囲におよぶ神経症状(痺れや痛み、こわばりなど)
- 発熱 など
上記に自分が該当する場合は、ただちに救急車を呼ぼう!

実は重大な病気が原因の場合もある。上記に当てはまったら救急車を呼ぼう
まとめ:腰痛の種類や対処のポイント
種類ごとにしっかり対処し、つらい腰痛を改善しよう!
腰痛を感じた場合、とりあえず市販薬や湿布で様子を見てしまったりしてしまう場合も少なくない。
大半の腰痛に関してはそれで問題ないのだが、中には速やかな治療を行わないと死に至るものもあるので注意が必要である。
一人暮らしの場合、家には誰も助けてくれる人はいないので、救急車を呼ぶべき目安などは日頃からチェックしておくのが良いだろう。
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文=おると@整形外科医
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