大河ドラマ『麒麟がくる』第十八回あらすじ&イラストレポート【麒麟がきても、こなくても】

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ファン目線で大河ドラマを楽しむイラスト連載!

毎週日曜放送のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』を楽しむ、大河ドラマ追っかけレポート!
毎週金曜日、前の週のおさらいを兼ねてあらすじと感想をお送りする(以下、ネタバレを含みます)。

『麒麟がくる』第十八回「越前へ」のあらすじ

高政(伊藤英明)に城を焼かれ、落ち延びる十兵衛(長谷川博己)たち。
追っ手から逃れて抜け道を探しているところへ、駿河からやってきた駒(門脇麦)と菊丸(岡村隆史)が道案内をかってでる。
敵に隠れて逃げ惑う一行の前に現れたのは、帰蝶(川口春奈)の命を受けた伊呂波太夫だった。太夫は越前・一乗谷へ逃れることをすすめる。

途中立ち寄った空き家で、助けへの感謝を伝える煕子(木村文乃)に、駒は「自分の命を救った人が明智の者であった」と明かす。牧(石川さゆり)はそれが亡き光綱(十兵衛の父)であると悟り、驚く。駒は恩人の死を知ることとなった。

一行は無事に一乗谷にたどり着き、朝倉義景(ユースケサンタマリア)の屋敷へと赴く。
すでに細川藤孝(眞島秀和)の文によって支援を頼まれていた義景は、実は近衛家の生まれであった太夫の説得もあり、十兵衛一行を匿うことを承諾する。
義景の金を受け取ることを固辞した十兵衛と家族は、荒れ果てたあばら家に身を寄せる。
十兵衛の大切な数珠を売るわけにはいかないと、自分の帯を質に入れる煕子。
行く末に途方に暮れる十兵衛に、牧は「敗れた時にこそ人間の本質が試される」と諭す。

一方、尾張の信長(染谷将太)は命令を聞かず高政と通じている弟・信勝(木村了)に悩まされていた。
帰蝶の助言によって、病を口実に弟を呼び出した信長。
お互いに抱えていた苛立ちを腹を割って話す兄弟だったが、信勝が湧き水と偽り持参したのは、毒であった。
「お前がそれを飲め」と迫られ、自らの毒によって死ぬ信勝。
別室に通されていた土田御前(檀れい)は、何かを感じとるも、息子の死を知らぬまま待ち続けていた。

大河ドラマ追っかけレポート18(5/17放送回)

NHK大河ドラマ『麒麟がくる』第十八回追っかけレポート

RPG的大河は主人公のバカ正直さが窮地を招く

道三、明智城、明智荘、光安叔父上。大切なたくさんのものを無くし、高政軍から追われる十兵衛たち。
逃げ道を断たれて絶体絶命な一同の前に、次々と助けに現れる菊丸、駒、そして帰蝶からつかわされた伊呂波太夫。
密偵、病を治す医師見習い、謎の旅芸人、戦士、傭兵。それぞれが何かしらの「特技」「職業」を持っていて、パーティーを組む。RPG的大河がますます「〇〇クエスト」っぽいことになっている。

明智家の当主となり、これからは母も妻も部下たちも自分一人で守らなければならない十兵衛だが、立場が変わっても「バカ」とつけて呼ばずにはいられないほど正直で嘘をつけない性格は変わらない。そしてその性格は、自分だけでなく周りを窮地に追い込んでいく。
伊呂波太夫の手引きでやっと逃れた越前の地で、朝倉義景に、尾張の信長が後ろ盾になるのかと聞かれればNO、金もやると言われても理由がないからNO。

霞でも食うつもりかと太夫に鼻で笑われるのも当たり前。近衛家を出て旅芸人になったと素性があきらかになった太夫、すべてを捨てた彼女ほど、人脈と金の大切さを知っている人間もいないのではないか。
自分がお金をもらえば、それは帰蝶と、「十兵衛を助けて!」という手紙を送っていた細川藤孝が義景からもらったのと同じことだから自分はもらえないというけれど、ここまでするほど十兵衛のことが大好きな藤孝がこれを聞いたら「友だちなのに、十兵衛殿、水臭いー!」と京都で絶対嘆く。

十兵衛は、麒麟を待ってる場合じゃない

そして十兵衛がバカ正直に生きるほど、結局は周りの人たちがその分を穴埋めするために、無理をすることになる。
十兵衛の父の形見の数珠を質入れさせないために、煕子は帯を手放す。ほとんど身一つで逃げる中で荷物に入れたほどのものなのだから、彼女にとってよほど大切な帯だと思うけど、たぶん彼女はずっと黙っていて、鈍感な十兵衛がすべてを知るのはずっとあとになるんだろう。

ケチな道三のもとにずっと仕えていたのに、十兵衛はお金の大切さもわかってない。ボロ屋の庭先で刀振ってる場合じゃないし、麒麟を待ってる場合じゃない。明智家の主となったのに、この変わらなさ。ハラハラする。

麒麟ファンならわかる、「病」「飲み物」の危険性

帰蝶は、あんなに十兵衛に対して怒ってたのに、やっぱり助けようと思うところがえらい。帰蝶が太夫を遣わさなければ、美濃から出る前に全滅していただろうに。

彼女は、尾張でもまた人を動かす。
「顔を見て、お決めなさいませ」
弟・信勝を哀れに思い、母・土田御前を悲しませたくなくて最後の一手を打てずにいた信長の背中を押すのは帰蝶。

涙を流しながら向かい合う、信長と弟の信勝。ふたりの前には、病気の兄への見舞いの霊験あらたかな湧き水だと、信勝が持ってきた壺がひとつ。
ここまで十八回分のドラマを見た私たちは知っている。病気だと兄が言ったらそれは弟をおびきよせ殺すための仮病。飲み物を差し出されたらそれは毒入り。帰蝶が「会え」と言ったらそれは「殺せ」の同義語。
お見舞いに行ったらダメ、飲み物飲んだらダメ。Stay home。

ラストの数分間、愛と憎しみと嫉妬がうずまく兄弟の対話に、文字通り手に汗握り、息もできなかった。

どんなにがんばっても母に愛されない色黒の兄は、母から愛される美しい弟を憎む。しかし弟は、いつも自分のしたいことを先に成し遂げる兄を憎む。
信長が涙を流しながら悲しみ、憎み、殺そうとしていたのは、許しを請う愚かな弟なのか、信長を殺そうとしていることを(たぶん)知っていて艶やかな笑顔で外で待つ、自分を愛してくれなかった母なのか。
婚礼の翌日、松平広忠の首を持参した信長を部屋に残し、土田御前は帰蝶に「この世には見てはならぬものがあるのです」と言ったけれど、それに反して帰蝶は信長とともにすべてを見て、共に手を汚しながら戦っている。信長にいちばん必要だったのは、そういう女性だったのだろうと思う。

十兵衛を、本人が気づかぬほど穏やかに支える煕子と、信長を、強気で叱咤激励して動かす帰蝶。
妻ふたりが、どちらも違う意味でなくてはならない存在になってきている展開、おもしろい。

イラスト・文=渡辺 裕子

テレビ大好きイラストレーター+ライター。ローチケHMV/きょうの健康/リアルサウンドなどで、イラストコラムや挿絵を担当中。
ツイッター:@satohi11
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