【解説】『スペシャルアクターズ』は『カメラを止めるな!』を超えたか!?魅力をネタバレなしで全力紹介!
良い意味で”手作り”感のある宣伝や“踊ってみた”動画も要チェック!
実は、上田慎一郎監督は『スペシャルアクターズ』では監督・脚本以外に“宣伝プロデューサー”も務めている。『カメ止め』の時にも舞台挨拶を毎日開催したり、Twitterで情報を配信したり、役者たちもチラシを配布したりと、積極的な“自主宣伝活動”をしていたが、今回の宣伝も良い意味でのスタッフたちの”手作り”感が強いものになっているので、ごく一部であるが紹介しておこう。
例えば、メインポスターのイラストを手がけたのは、上田監督の妻であり自身も映画監督であるふくだみゆきだ。彼女は上田監督が“3人共同監督”で作り上げた映画『イソップの思うツボ』でも劇中イラストを手がけており、なんとも味わい深い印象を残すビジュアルを作り上げている。

(C)松竹ブロードキャスティング
また、なんばパークスシネマでは“前売券手売りチャレンジ企画”を実施。見事に目標である300枚を突破した。
21時!
スペアク手売りチャレンジ終了しましたー!
どんぐりさん@YoshikoTakehar1 も最後応援に駆けつけてくれて、最終結果308枚!!
来てくださった皆様、本当にありがとうございましたー!#スペシャルアクターズ#スペアク手売りチャレンジ#なんばパークスシネマ#目標300枚 pic.twitter.com/7YAmxu2ybs— 映画「スペシャルアクターズ」公式 (@special_actors) October 16, 2019
主題歌の「誰でもアクター」もとても軽妙で楽しい曲であり、YouTubeでは「#スペアク踊ってみた!」という触れ込みでそのダンスの動画の他、解説文つきのレクチャー動画も公開されている。
さらには、公式サイトでは3日間連続の舞台挨拶の情報も掲載されている。『カメ止め』の時もそうであったが、キャストおよびスタッフと観客との心理的な距離が近く、SNSで絶賛のコメントに感謝を告げたり、舞台挨拶がたくさん実施されていたりと、「映画は作り手と観客が一緒に盛り上がるもの」とも言うべき宣伝活動がなされていること、それに“参加できる”楽しさが、『スペシャルアクターズ』の本編以外にも用意されていると言っていいだろう。
“役者”と“カルト宗教団体”は合わせ鏡のような存在?フィクション(映画)の力を肯定する多幸感に満ちている!
本作の物語は前述した通り、ダメ役者が“何でも屋”な俳優事務所に入り、カルト宗教団体(詐欺グループ)を騙して壊滅させるために奮闘するというものだ。
この物語において、その“役者”と“カルト宗教団体”は一種の“合わせ鏡”のようなものと言っていいだろう。役者もカルト宗教団体も、どちらもが「人を信じさせるために演じている」「(見せかけの)幸福を提示している」という点においては共通だからだ。
しかしながら、この『スペシャルアクターズ』では決して“見せかけ”には止まらない、役者の“演じる力”を肯定し、薄っぺらな偽りの幸せを謳っているカルト宗教と真っ向から立ち向わせる(もちろん世の中の宗教をことさらに否定するものではない)。そこには『カメ止め』と同様にフィクション(映画)の力を信じ、その素晴らしさを称えるという、圧倒的な多幸感があった。
ネタバレになるので詳細は書けないのだが、ダメ役者だった主人公の“クライマックスのあの躍進”、そして今までの伏線が全て結集したのような、観客の予想を軽く超えてくる“ラストの見事な大オチ”を観て、『カメ止め』と同様に拍手喝采を送り、またもう一度観たくなるという人はきっと多いはずだ。(その感動は『カメ止め』とはまた別種のものだ)
その他、B級(を通り越して安っぽすぎる)スーパーヒーロー映画への愛情や、往年の(タイトルを出すだけでネタバレになってしまいそうな)名作映画へのオマージュと思われる展開は、我こそは映画が好きだという方にとっても感涙ものだろう。『スペシャルアクターズ』というタイトルが示す“特別な役者”がどういったものであるのか、観終わった後にいろいろと思慮を巡らせてみるのも楽しいはずだ。
とにかく、この『スペシャルアクターズ』を劇場で鑑賞してほしい。上田慎一郎監督が「『カメ止め』の次回作」というプレッシャーを跳ね除けた、エンタメ性を保ちながらも、二番煎じにならない新たな魅力も提示した、新たな傑作であるからだ。ハードルを最大限に上げてもらっても構わない。『カメ止め』に勝るとも劣らない、感動と多幸感でいっぱいになれる唯一無二の映画体験が、あなたを待っている。
参考記事:
『カメ止め!』に続く『スペシャルアクターズ』! 上田慎一郎監督インタビュー | 関西のとっておき新発見を毎日comepass<コンパス>
映画『スペシャルアクターズ』上田慎一郎監督&大澤数人・河野宏紀インタビュー|映画の時間
『カメ止め』のプレッシャーを乗り越えた日 前編 | ジョイキャリア
文=ヒナタカ
インディーズ映画や4DX上映やマンガの実写映画化作品などを応援している雑食系映画ライター。“シネマズPLUS”や“All About”などで記事を執筆している他、“カゲヒナタの映画レビューブログ”も運営中。『君の名は。』や『ハウルの動く城』などの解説記事が検索上位にあることが数少ない自慢。
Twitter @HinatakaJeF
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