ヒラギノ游ゴの2兆個の趣味を1つずつ 第7回【平成コロコロ玩具】

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【平成コロコロ玩具】番外編

ペプシマン

ペプシマン

こちらは番外編。コロコロでホビー漫画が掲載されていたわけではないんだけれど、平成初期のおもちゃ史を語るうえで欠かせないもののように思う。ペプシマンだ。
最近見かけなくなったが、ペプシコーラの販促用のイメージキャラクターとして当時かなりポピュラーな存在だった。
 

そして、ペプシマンといえばボトルキャップ。ここ数年こちらもまた見かけなくなったが、00年代のペットボトル飲料はこういったボトルに装着するアクセサリーがオマケとしてついてくるキャンペーンをしょっちゅうおこなっていた。
ペプシマンがその元祖であり、定期的にモデルチェンジをして新しいシリーズが展開された。小さいながらも作りこみは細かく、フォルムにユーモアを感じられるのが特徴。
 

フード&ペプシ

こちらはボトルキャップキャンペーンの第2弾「フード&ペプシ」シリーズ。なんともアメリカンなチョイスの食べ物とペプシマンの組み合わせ。
 

ペプシマン・イン・アクシデント

こちらは第3シリーズ「ペプシマン・イン・アクシデント」の一部。ペプシマンが様々な災難に遭う姿がモデル化されている。
 

ペプシマンホラー編

こちらはペプシマンがヴァンパイアやゾンビ、透明人間、果てはエイリアンなどの怪異と遭遇するホラー編。
 

なお、1999年にはプレイステーション専用ソフトとして、ペプシマンを題材にしたゲーム「ペプシマン」が発売されている。「制限時間内に障害物が設置されている道を走って進み、ゴールにいる困っている人々にペプシコーラを与える」という設定であり、未開封であれば5万円以上の値段がつくプレミアソフトだ。
 

アメリカンバトルドーム

アメリカンバトルドーム

番外編をもう1つ。世代の人にとってはたまらないものなはずだ。
 

かつて存在したツクダオリジナルというメーカーが販売していた歴史的逸品。
 

アメリカンバトルドーム

このマシンを4人で囲み、ピンボールの要領で自分以外の3人の手元のゴールに玉を打ち込み合うゲームだ。
こちらもコロコロでホビー漫画が連載されていたものではないんだけれど、コロコロに掲載されていた『ドラえもん』のアニメ版放送時、CMが頻繁に流れていた商品だ。そのCMの異様なテンションの高さが多くの人の記憶に刻まれ、「ボールを相手のゴールにシュゥゥゥーッ!!」「超!エキサイティン!!」などのCM中のナレーションはインターネットミーム化している。
 

ジターリング

ジターリング

筆者が目下いちばん熱中しているのがこれだ。
知ってる? ジターリング。ハイパーヨーヨーのヒットを受けて次はこれだと仕掛けられた海外発信のおもちゃで、渋すぎて日本ではまったくヒットしなかった。
ステンレス製のリングにビーズが5つ通っている、ただそれだけの、何かの部品みたいな代物。遊びかたはまずこのビーズを手で弾き、リングに沿って回転させる。そのままだとすぐ止まるのだけれど、リングを上から手前に巻き込むように回すとビーズが勢いよく回転し続ける。以上だ。マジでそれだけだ。原理もよくわからない。
 

これ何かに似てるなとずっと思っていたんだけれど、この記事を書くことになって改めて考えてやっとわかった、ハンドスピナーだ。技らしい技がほぼなく、やりこみ要素が欠落しているのだけれど、気づいたときには没頭してる。ここのところ仕事を終えた帰り道は早く家でジターリングをやりたくてそわそわしてしまう。いい大人を早足にさせる魔力がある。
 

ちなみにまったく技がないわけではなく、それどころか空中にリングをトスしたり股の間を通したりと、ハイパーヨーヨーに負けず劣らずのアクロバティックな演技をするプレイヤーもいるそうで、なんでも極めればすごいんだなと改めて思わされる。YouTubeを検索すればそういう動画がいくつかヒットするので見てみてほしい。ぜんぶ画質がブラウン管時代のそれだ。
 

ヨーカイザー

ヨーカイザー

最後に持ってくるにはあまりにも小粒なのはわかっているが、どうしても紹介したかったのがこれだ。ヨーカイザー。単刀直入に言うと妖怪版のデジモンだ。
デジタルモンスターシリーズ同様に万歩計機能がついていて、一定の歩数が溜まると敵キャラとの戦闘が始まり、勝利すると図鑑的なものに記録されていく。
 

こちらはコロコロにホビー漫画が掲載されていたんだけれど、同時期のコロコロにはポケモンはもちろんデジモンも載っていて、まあつけ入る隙がなかった。かなり息の短いおもちゃだったように思う。何バージョンか後続機が発売されたけれどすぐに販売終了した。周りでこれを持っていた子を見たことがない。
 

大人になってから無性に気になって探してみると、中古品どころか20年近く売れ残り続けていた新品がネットにいくつも出品されていて胸が苦しくなり購入。この2年ほど、よく晴れた日にはベルトに装着して一緒に外出している。
 

パートナー妖怪に選んだのはカッパ。我々はたくさんたくさん旅をした。2人でならどんなところへだって行けた。吉祥寺・ハモニカ横丁のカウンター5席しかないドープな名店にも、汐留・電通の大会議室にも、この人たちはアムウェイに違いないと思って密かに調査を進めていた夫妻の松濤の自宅にも(アムウェイだった)、チャイルディッシュ・ガンビーノがヘッドライナーを務めたシカゴの野外フェスの最前列にも、2人でなら飛び込んでいけた。あの頃すっごく流行っていたから買いに走ったこのスニーカーも、今では世界中探しても見つからない最高のボロボロ靴だ。
 

ただ、もう中の回路が寿命なのか、ちょくちょくデータが飛んで最初からやり直しになり、一向にデータが蓄積しない。カッパはもうおじいちゃんで、一緒に旅した相手のことを半年と覚えていられないけれど、カッパと過ごした日々はこの胸に焼きつけてある。思い出さなくても大丈夫なように。
 

おわりに

ここまでコロコロコミックに掲載されていたものを中心に紹介したが、コロコロを語る上で一緒に思い出さざるをえない存在がある。競合誌、コミックボンボンだ。
 

コロコロが劇場版ドラえもんの最新情報を載せれば、ボンボンは『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のコミカライズ版を掲載。コロコロにはスーパーマリオの長期連載があるが、ボンボンでは『がんばれゴエモン』。コロコロの表紙にひしめく数々のコンテンツの中でも長年何より多くの面積を占めたポケモンに対して、ボンボンはメダロット。
どうにも絶妙に流行を外していて、オタクっぽいイメージで語られることが多く、子供の頃はちょっと距離をとっていたが、大人になった今はボンボンが紹介していたコンテンツとすんなり距離を詰められると思う。
この連載で今後、メダロットやクラッシュギア、武者頑駄無、ロボットポンコッツなんかを取り上げることがあったら、「機が熟したんだな」と思ってほしい。

文=ヒラギノ游ゴ

平成東京生まれのライター・編集者。多趣味。音楽・お笑いをはじめとするユースカルチャーについて寄稿。



イラスト=町田メロメ
Twitter:@qumolilon
HP:https://qumolilon.jimdo.com/

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