礼金は値下げ交渉できる?敷金・礼金の意味と値下げ交渉を成功させる3つのコツ

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敷金や礼金の意味・役割って何?値下げ交渉は可能?

「家賃の減額上限は、平均で3,000円程度」と臼井さん。長期的な居住を検討している場合、礼金を上げて家賃を下げてという条件などは5,000円近く交渉できることおあるのだとか。

首都圏で賃貸物件へ入居する場合、契約時にかかる初期費用は家賃6ヶ月分が目安といわれている。でも、それ以外にも引越し代や家具の購入代などがかかることを考えると、初期費用を少しでも抑えたいのが正直なところだ。

しかし、そもそも敷金・礼金とはどういったもので、なぜ契約時に支払う必要が生じるのだろうか。「敷金・礼金の値下げはできるの?」など、疑問も多いことだろう。そこでこの記事では、敷金・礼金の意味をご紹介するとともに、値下げ交渉を成功させるコツもお伝えする。

値下げ交渉の前に知っておきたい知識①:敷金、礼金の意味とは

値下げ交渉の前に、まずは敷金・礼金が何のためにあるのかを理解しておこう。納得できるかどうかはさておき、費用が請求されるのには、それなりの理由がある。

敷金の意味と役割

敷金は、物件や設備を故意に破損させたり、汚してしまったりしたときの修繕費用や、家賃の支払いが滞ったときの費用に充てるお金。保証金としての意味合いを持っており、賃貸物件を契約する際、あらかじめ支払うことにより信頼を得るデポジットのようなものだ。そのため敷金は、退去時に借主が支払うべき原状回復の費用を差し引かれたあと、借主に戻される。

礼金の意味と役割

礼金は、賃貸物件の大家さんに支払う文字通り「お礼」の意味を込めたお金だ。これは敷金と違い、一度支払うと借主に返されることはない。慣例として支払われることが多い初期費用だが、最近では「礼金ゼロ」という条件の賃貸物件が増えてきた。

値下げ交渉の前に知っておきたい知識②:敷金・礼金の相場とは

敷金・礼金の意味を理解できたら、次に気になるのはその金額の相場だろう。相場を上回っているのか、それとも低いのかどうかわかなければ値下げ交渉もうまく進まない。一般的に支払われている敷金・礼金の相場は以下の通りである。

種類1ヶ月分2ヶ月分
敷金55.4%29.2%
礼金71.7%13.1%

これは国土交通省が発表した、令和元年度の「住宅市場動向調査報告書」で公表されているデータだ。敷金・礼金を支払ったという人の多くが、家賃の1ヶ月分か2ヶ月分を支払っている。特に礼金の場合、多くのケースで家賃の1ヶ月分が求められていることがわかった。

敷金・礼金や家賃の値下げ交渉は可能?

初期費用を大きく左右する敷金、礼金、家賃で値下げ交渉しやすいのはどれなのか。不動産会社のエイブル 淀屋橋本店・臼井常余さんに聞いてみた。

「敷金は大家さんへの預り金のため、退去時の返却を考えると減額もしくは0円にすることもありますね。礼金は大家さんへのお礼代とされ、しかもそれがリフォーム代に充てられている場合は、減額が難しいです。ただし、入居時期が申し込みからすぐであれば、多少の減額の可能性はあります」(エイブル淀屋橋本店・臼井さん)

値下げへのハードルは非常に高いため、基本的に家賃の値下げ交渉は難しいものだと認識しておいた方がよいだろう。

「一方、家賃は下げるのが厳しいですね。というのも、大家さんが将来その物件の売却を考えている場合、家賃収益や表面利回りが重要な評価基準になります。そのため、下げたくないという気持ちが強いんです」(エイブル淀屋橋本店・臼井さん)

家賃と比べれば、敷金や礼金など初期費用の方が値下げ交渉の余地がありそうだ。ここからは臼井さんのお話を参考にしつつ、値下げ交渉のポイントについて解説していく。

交渉ポイントを1つに絞る

「全部を下げようとするのではなく、いずれか1つにポイントは絞った方がよいですね。その方が、営業担当も家主さまに交渉しやすくなります。」(エイブル淀屋橋本店・臼井さん)

敷金・礼金・家賃のうち、どれか1つの項目を免除してもらえないか交渉するとよいという。たとえば空室が長く続いている部屋の場合、大家さんは「礼金をもらえなくても、家賃を支払ってくれれば良い」と考えるかもしれない。これを狙って、礼金が下がらないかどうか交渉してみてもよいだろう。

交渉が成立したらすぐに入居する意思を見せる

「『この条件を飲んでくれれば即決する!』というように、借主さまもその物件に対する本気度が高ければ担当も熱意を持って伝えられます。あまり大きな声ではいえませんが、長期間空室で家主さまが困っている場合は、交渉に応じてもらいやすいですね」(エイブル淀屋橋本店・臼井さん)

大家さんの気持ちを考えてみれば、長い時間をかけて交渉したとしても、実際に契約を結んでくれなければ時間の無駄遣いになってしまう。入居希望者が熱意を持っていて、特定の条件を飲めば確実に契約してくれる状況にあれば、大家さんとしても交渉に応じやすくなるのだ。

物件探しをオフシーズンにする

また、値下げに応じてくれるかは時期も重要になるとのこと。4月~9月などのオフシーズンは比較的交渉に応じてくれやすいものの、10月は企業の秋の人事異動を受けて物件の動きがあるため、減額には慎重になりやすいそう。また、年明け~3月のピーク時はめったなことでは減額されないのだとか。

また、オフシーズンになるとフリーレント(1ヶ月家賃無料)といった条件の物件も増えてくる。フリーレントの物件を契約すれば、仮に敷金・礼金がかかったとしても、フリーレント分で相殺できる。

敷金・礼金の値下げを成功させてお得に入居しよう

敷金は保証金のようなもので、礼金は大家さんへのお礼として支払うものである。相場としては、それぞれ1~2ヶ月分を支払う人が多いことが、国土交通省による調査でわかった。確実に成功するとは限らないが、大家さんとの交渉で敷金・礼金の値段を下げてもらうことも可能である。

敷金・礼金の値下げは、交渉のポイントを1つに絞ることや、すぐに入居する意思を示すこと、そしてオフシーズンを狙うことで成功を導きやすい。初期費用を浮かせられれば新居でもゆとりを持って生活できるので、値下げのコツを覚えてから理想の部屋を探していくとよいだろう。

(南澤悠佳/ノオト)

2021年8月加筆=CHINTAI情報局編集部

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