ワンルームをレイアウトするコツは? プロが教える家具の配置と選び方のポイント

最終更新日:

一人暮らし向けのマンションやアパートによく見られるワンルーム。しかし、コンパクトな部屋が多いために、レイアウトに難しさを感じている人もいるだろう。

そこで今回は、インテリアトータルプロデューサーのMAKOさんにワンルームのレイアウト術を教えてもらった。レイアウトを考える際の基礎知識や手順のほか、広さ別の基本レイアウトやMAKOさんおすすめのレイアウト例も紹介。ぜひ自分の部屋づくりに取り入れてほしい。

今すぐMAKOさんおすすめのレイアウト例を見たい方はこちら

株式会社 Laugh style 代表、インテリアトータルプロデューサのMAKOさんのプロフィール写真

インテリアトータルプロデューサー。株式会社Laugh style代表。「笑顔あふれる空間」を理念に掲げ、オフィスから個人宅まで多種多様なインテリアコーディネートを手掛ける。テレビやラジオなどのメディアにも多数出演。
保有資格:インテリアコーディネーター、宅地建物取引士など

ホームページ

ワンルームのレイアウトは「キッチンの配置」に左右される

ワンルームとは、居室とキッチンの間に仕切りがない間取りのこと。仕切りがないため、開放的な印象を与えやすく、生活動線も確保しやすいのが利点だ。

部屋の広さは6~8畳程が一般的。居室部の畳数にキッチンや廊下も含まれるため、同じ畳数でもワンルームと1Kでは生活スペースの広さが異なる。

同じ「6畳」と書かれていても、ワンルーム(画像左)より1K(画像右)のほうが居住スペースが広い

ワンルームと一口に言っても間取りはまちまちだが、キッチンの配置で「廊下キッチン型」と「居室キッチン型」、「玄関独立型」に3種類に大別できる。それぞれの特徴を把握しておこう。

廊下キッチン型の特徴

キッチンが廊下部分に配置されたスタンダードなワンルームの間取り図

キッチンが廊下部分に配置されているタイプ。キッチンと居室が離れているため、3タイプの中では最もレイアウトがしやすい。パーテーションなどで仕切れば、1Kに近い使い方もできる。

ただし、間仕切りを設けると、ワンルームの魅力である開放感が損なわれる可能性がある。特に廊下が狭い部分に設置すると、圧迫感が強くなるので注意が必要だ。

居室キッチン型の特徴

居室にキッチンが配置されているタイプ廊下キッチンタイプよりも料理の臭いが部屋にこもりやすい。廊下キッチン型よりもスペースが広い部屋が多く、キッチン周辺に収納家具などが置きやすいのが利点だ。自炊にこだわりがある人に適している。

玄関独立型の特徴

玄関部分と居室を隔てるドアがあるタイプ長所は玄関から室内が丸見えにならないことで、短所は玄関スペースが狭い場合に圧迫感を感じやすいことだ。最近ではカウンターキッチンを備えた物件も存在する。

ワンルームの部屋にレイアウトする際の手順

海外のようなおしゃれなワンルーム

レイアウトを考えると言っても、その手順が分からない人も多いだろう。そこで、MAKOさん流「レイアウトの手順」を紹介する。3ステップに沿って理想のお部屋づくりにチャレンジしよう。

ステップ1:部屋のテーマを決める

レイアウトを考える際は、部屋のテーマを決めることが重要。まずは「どんな部屋でどんな暮らしをしたいか」という理想から逆算しよう。

テーマが定まったら、ナチュラルやモダン、北欧やモノトーンなど部屋全体のテイストを具体化。InstagramやYouTubeなどで検索し、好みのテイストを探して保存しておくと効率的だろう。

デザインのテイストとレイアウトは厳密に言うと異なるが、テーマ決めはレイアウトを考えることと密接な関係がある。デザインのテイストによって、部屋に置く家具・家電・インテリアが異なってくるからだ。

事前に部屋のテーマを明確にすることで、統一感を保ちやすくなります。

ステップ2:必要な物をリスト化する

部屋のテーマが決まったら、理想の部屋を実現するために必要な物をリスト化する。家具・家電は、部屋のテーマに合ったデザインを考慮しつつ、ライフスタイルに合うものを選ぼう。 

不要な物を洗い出すこともポイントだ。手持ちの家具を活用できないか、今使っている家具で不要なものがないかも検討しよう。

また、収納付きのベッドや作業スペースにもなるダイニングテーブルなど、多用途で使える兼用家具を取り入れることで、家具を減らせないかなどを検討し、本当に必要な物のみをリスト化しよう。

一人暮らしでスペースが限られている場合、本当に必要な家具や家電を見極めることが重要です。引越しの段階では判断できない可能性もあるので、生活しながら精査していきましょう。

ステップ3:家具・家電・インテリアの配置を考える

必要な物をリスト化できたら、テーマに基づいて家具・家電・インテリアの配置を考えていく。部屋の寸法を測り、適切な置き場所を決めよう。

レイアウトは、置き場所だけでなく、生活動線を意識することも重要。ムダな動きを減らすためには、実際に身体を動かしながら配置を検討すると良い。

間取り図のように俯瞰で思い浮かべがちだが、入口や普段過ごす場所からの視界を想像することもポイント。そうすることで実際に並べた時とのギャップを減らすことができる。

家具やインテリアのレイアウトには、家具店が提供する無料相談や3Dシミュレーターを利用すると便利です。

【居室の広さ別】ワンルームの基本レイアウト

ここからは居室の広さに合わせた、オーソドックスなレイアウトを紹介する。部屋は廊下キッチン型の6畳、8畳、10畳、12畳の4種類で、覚えておきたいレイアウトのテクニックも解説していく。

ワンルーム6畳の基本レイアウト

6畳は、ワンルームのなかではスタンダードな広さだ。ただし、生活スペースは4畳程度になるので、生活動線の確保のためには家具を厳選する必要がある。また、家具の配置は壁付けが基本。居室の中心にスペースを広くとれて、生活動線を確保しやすくなる。

家具を並べる際はサイズにも注意。高さと奥行きがバラバラだと空間が凸凹してゴチャついた印象となる。できるだけ高さや奥行きを揃えて、まとまり感を演出したい。ベッドをTVと水平に置くことで、ソファと兼用するのもアイデアのひとつだ。

ベッドは玄関から見えない場所に配置したいところ。また、大きな家具は部屋の入口の死角に置くと、視覚的な圧迫感を減らせます。

ワンルーム8畳の基本レイアウト

8畳となるとスペースに多少の余裕が生まれる。家具の選択肢が増えて、ベッドもセミダブルなどにサイズアップが可能。1人掛けソファやワーキングデスク、2人掛けのダイニングテーブルなどを置いても、ある程度余裕がある。

とは言っても、物が増えると狭さを感じやすい。そこで活用したいのが、ロータイプの家具自分の胸より背が低い家具なら圧迫感が少なく、窮屈さを緩和できる。さらに玄関から奥に進むに伴って家具が低くなるように配置すると、視界の抜けを強調できる。

家具の脚にも注目! 脚が細いと床が見えるので、部屋を広く見せることができます。

ワンルーム10畳の基本レイアウト

10畳となると2人掛けソファなどを置いてもスペースに余裕が出てくる。そのため、仕切りを使うのも一案。たとえば、パーテーションでワークスペースと分けたり、棚(ラック)を間仕切りにして寝室とダイニングを区切ったりすれば、生活にメリハリが生まれやすい。

また、ソファの前にあるテーブルとダイニングテーブルとの距離が気になる場合は、ダイニングテーブルを壁付けにして、チェアはテーブルの下にしまい込めるタイプを選ぶと良い。

間仕切りは背が高いと圧迫感があるため、背板や側板が無いシェルフやロータイプのパーテーションなどを利用すると良いでしょう。

ワンルーム12畳の基本レイアウト

12畳となるとスペースに相当の余裕が出てくる。ソファやベッド、PCデスクといった大きな家具を複数配置でき、レイアウトのバリエーションも豊富。間仕切りで空間を分ける場合に、プライバシーを重視して背の高いものを選んでも、窮屈さを感じにくいだろう。

背の高い観葉植物を置いたり、棚の上に雑貨や絵画を置いたりするのもおすすめだ。アイキャッチとして目線を上にあげれば、開放感を演出できる。

ダイニングテーブルをもう少し壁側に寄せて、対面キッチンのシンクの幅内にチェアが収まるようにすると、さらにお部屋がすっきりします。

テーブルの大きさをもう少し小さな(幅90cm角)のものに代えたり、コンパクトな丸テーブルを使うのもいいでしょう。

プロ直伝! ワンルームのおすすめレイアウト

最後に、MAKOさんにオススメのレイアウトを2つ教えてもらった。間取りは一般的な長方形で、居室の広さは6畳8畳。どちらも一人暮らしにピッタリなレイアウトなので、ぜひマネしてみてほしい。

キッチン居室型×居室6畳:家具の工夫で広々空間を演出

キッチン居室型で広さが6畳となると、生活スペースはかなりコンパクト。収納も小さいケースが多いので収納家具を設置するとさらにスペースが限定される。

だからこそ、大きな家具はできるだけ点数を減らすのが鉄則。テレビをプロジェクターにし、カーテンをロールスクリーンにすることで、テレビ台を置かずに生活スペースを確保できる。

また、ロータイプの家具も積極的に活用したい。テーブルはもちろん、ベッドの高さも抑えよう。

プフクッションはロースタイルで平面的になりがちな空間に高さを加えて、アクセントとして機能する。座るだけでなく、フットレストや簡易テーブルとしても使えるのも利点だ。

ころんとした丸いプフクッション(クッションスツール)の例

ローテーブル以外で作業したい必要な場合は、折りたたみデスクや、ウォール(壁掛け)デスクの活用も検討しましょう。

廊下キッチン型×居室8畳:窓の前にベッドを置き、3つのスペースを確保

8畳の広さがあれば、デスクやソファを置くことも可能。ベッドは掃き出し窓の前に横付けして、スペースを効率化。洗濯などで窓の出入りが多いなら、少し間を空けて生活動線を確保しよう。

また、テーブルとソファはロータイプで、圧迫感を緩和。ソファは肘掛けがないものを選ぶと、部屋がすっきり広く見える。

注目すべきは、部屋の隅に配置された姿見間接照明。姿見の近くに間接照明を置くことによって、光の反射で部屋全体を明るくし、広さを強調できる。なお、姿見のフレームを木製とすれば温かみをプラス、黒基調ならモダンな雰囲気を演出することも可能だ。

家具選びでは、異素材を取り入れるのもポイント。木やファブリック(布)などを組み合わせることで、空間に表情を持たせることができます。

ワンルームのレイアウトに関するよくある質問

最後に、レイアウトに関するよくある質問をまとめた。

Q1.レイアウトを考えるときの生活動線はどうやって意識すれば良い?

大人1人が室内で余裕を持って通れる幅は「最低でも60cmが必要」と言われている。動線は曲がりくねっているよりも、直線的で入口まで行き来しやすいことが望ましい。

また、クローゼットの近くにアクセサリー収納を配置するなど、必要な物の取りやすさを考慮すること。

生活動線の中でも、料理や掃除、洗濯といった「家事動線」には要注意だ。物を持って行き来するので、動線上の床に物を置かないように。それぞれの家事の道具やスペースは近場にまとめるのが理想。

Q2.ワンルームの一人暮らしではどんな家具を選べば良い?

居室が狭くなりがちなワンルームだからこそ、開放的を演出できる家具を選びたい。

たとえば、ガラステーブルやレースカーテン透けている素材は奥行きを感じさせ、部屋を広く見せてくれる。他にもスツールやオープンシェルフなど、背もたれや背板がない家具は圧迫感を軽減できる。

なお、家具・家電・インテリアはサイズだけでなくカラーもできるだけ統一したい。色数が多いとまとまりのない印象となるので、室内を5色程度に抑えるとよい。また、同系色でも濃淡を分けることで、奥行きを強調できる。

Q3.ファブリック類(カーテンやラグなど)はどうやって選ぶべき?

広さを強調できる膨張色がおすすめ。白やベージュなど明るく薄めの色を選ぶと圧迫感を軽減できる。また、部屋の壁やドアなどと家具の色を揃えると、色数が減ってまとまり感がアップする。

柄は無地のほうが部屋全体とまとまりやすいが、内装と同系色だと部屋に馴染みすぎてしまう可能性も。その場合、小さなドット柄や、線の部分が同色系ではっきりしていないストライプなどを選ぶのも◎。

また、小物などで布や金属など異なる素材をミックスすると、部屋に表情を与えられる。

ワンルームのレイアウトは、自分の最優先事項を見極めることが大切

部屋の広さは限られていても、部屋の形やサイズを考慮してレイアウトや家具選びを工夫すれば、快適な暮らしを実現できる。

まずは、部屋でどんな風に過ごしたいか、どんなインテリアを置きたいかライフスタイルを分析することから始めて、理想の部屋をつくっていこう。

ワンルームのレイアウト事例を見たい方はこちら

監修=MAKO(株式会社Laugh style)
文=綱島剛(DOCUMENT)

リンクをコピー
関連記事関連記事