【おもいでの部屋】天井裏の家族を養い、広瀬香美が頭をよぎる思い出の経堂|関根りさ
きっと、だれにでもある思い出の部屋
住んだ部屋には人それぞれ、そして様々な思い出がある。そんな部屋の思い出を覗いてみたくはないだろうか?
忘れられないあの部屋で起こったこと、あの部屋で過ごした大切な時間、「おもいでの部屋」についてリレー形式で綴ってもらうこのコラム。
第5回目は、youtuberの関根りさ(@risase0610)さんのエピソードをお届け。
クセの強い街と家
すでにYouTuberとして活動していたものの、まだそれだけで食べていけず、ナースを常勤でしながら生活していたあの頃。経堂は私が住んできた街の中で1番強烈に記憶に残っている街。
経堂には大きく分けて2つエリアがあって、駅のあっち側は住宅街で静かなエリア、こっち側は学生が多く住むにぎやかエリア。私が住んでいたのは学生も多く住むにぎやかエリアだった。
経堂には東京農大があり、学園祭があるときは大根の無料配布を巡りわんさか人が集まる。大根の力は相当偉大である。ついでに大根音頭もあるので見て!
話を戻して我が家の紹介。私が住んでいた約5年前の時点で築年数は48年くらい。大先輩だ。
さすがにリノベーションしているので水回りなんかはすごくキレイだけど、窓枠や玄関のドアなどはそのままで、ドアはモルディブで見た海を想像させる薄いブルーで形的にはドラえもんの「どこでもドア」に似ていた。
そしてこのドアは全面鉄でできているので、冬場はドアが冷え切り風呂上がりの私を急速に冷やす。
広瀬香美のpromiseが毎度脳裏をよぎったことは言うまでもない。
失われた私のキラキラ東京ライフ
当時の私が家を選ぶ優先順位は、1位がバストイレ別、2位は駅近、3位は広さ、4位は築年数。おしゃれな白い床の家に心が踊っていた。
そう、これはフラグである。
住み初めて1年半くらいだったろうか……夜中に変な音を聞くようになった。
天井を走り回るような、爪で引っ掻くような音。当時の職場などでも時々心霊現象に遭遇したり視えるタイプだった私は「あ〜もしかして病院から連れて帰ってきちゃったかも」と覚悟した。
そして最初は小さかった音が、日を追うごとに大きくなっていった。
大きくと言うより、複数という感じ……?
そしてある日、ニトリで買ったブルーのソファーに横になりながらテレビを見ていた時、決定的な出来事が起こる。天井裏から今までとは違う音が聞こえてきたのだ。
「チュー」
あ、やっぱりか、これで全てがつながった。
天井裏にネズミいる!!!てか家族増えてる!!!!!!
そう、天井を引っ掻いたり走り回っている音はネズミ達のしわざだった。
東京に行けばキラキラでワンダフルライフを送れると思っている若者に一つ言っておきたい。
築年数は大事だ。
「白い床がいい!♡」なんて頭が悪いことを言っていた当時の自分を殴りたい。
築年数は大事だ。もう一度言いたい、いや何度でも言いたい!
と言うのも、この後に大事件が起こってしまうからだ。
ソイミート事件
毎度のように午前二時を回ったあたりから、ねず達の運動会が開催される。
その当時は毎日開催される運動会にも慣れ、特に何の感情もなく共存していたけれど 、ふと普段自炊をしない私の気が向き料理を作ろうとガスコンロの下の戸棚を開けると……
しまっていたソイミートの袋が破られ粉まみれ、しかも糞だらけになっているのを発見する。
さすがに糞まであるのはやばい。
もし鉢合わせしてしまったら……と思うとガスコンロしたの収納を開けるのが怖くなり私はここを封印した。
どうしよう、どうしようと思いながら数週間が経過したある日の日中、私はねず達が寝ている間に掃除してエサをすべて無くそうと思い、意を決してあの封印されし扉を開けた。
とんでもない量の粉と化したソイミートと糞の山……そして糞が前より大きくなっている……
そう、ねず達は豊富なエサ場を得て大きく成長していたのだ。
糞の大きさから仮定したねず達の大きさに背筋がぞくぞくしてくる……
ソイミートを5年前から取り入れているとはなんて美意識が高いんだろう……という自己満はいったん置いておいて、手袋マクス着用でなんとかすべてのソイミートであったものの山と糞を片付けたのであった。
ふぅ、ひと段落!エサがなくなったからもうこないであろうと思ったのも束の間。
引越しを決意する事件その2が起こった。
マルちゃんのソース焼きそば事件
ナースの常勤として働いていたが、夜勤専従というちょっと特殊な業務形態だった私は1時間近くかけて職場に通い、17時間の勤務を終え帰宅する。もちろん家に着く頃にはヘロヘロである。そうこの日も同じ状態で帰宅した。
風呂に入る余裕もなくソファーで眠り昼頃起床。やっとの思いで風呂に入りお腹が減ったので自炊しようとガスコンロの前に立った。
いつものように火をつけようとするが、つかない。何度やっても3口あるどのコンロはまったく反応してくれない。 。
一人暮らしは19の頃からしてきてI H、ガスコンロ、さまざま な家に住んできたが、こんなことは初めてだった 。
お腹が減ってイライラしながらも、入居時の分厚いファイルを取り出しガスコンロの取扱説明書を見てみるが、説明書通りにやってもうんともすんとも言わない。
私のマルちゃんのソース焼きそばはいつになったら食べれるんだ。空腹時の心の狭さは異常である。
これはコンロではなくガス自体が問題なのか??ガス会社に電話しても問題は見つからず。
うーーーん、困った。というわけで管理会社に電話してみることとした。
そうすると明日見にきてくれるとのことで、その日は焼きそばはお預けとなってしまった。
そして翌日管理会社から依頼された修理業者の人がきて2、3分チェックしたところ
驚くべき故障理由を言われる。
「あーこれもしかしたらネズミが歯をといでますね…」
ネズ公め!!!!!!!!!!!!!
私のソイミートを食べ散らかし糞まみれにしても飽き足らず、ガスコンロのコードを噛み切っていたと。これは本格的に困ったことになった。
修理は数分で完了し、やっと私はマルちゃんのソース焼きそばを食べることができた。
ネズミがコードを噛みちぎるなんてよくあるのかと聞いてみると築年数の古い家では時々あるらしい。
そして原因のひとつとして、私のアパートの隣にあった古い家が取り壊されてさら地になったらしい。そこの家に住み着いていたねず達が住処を失い隣のこのアパートにきた可能性もあると。
あ、まあねず達も大変だったのか……同情の余地はあるものの、いつまたコードをかじられやきそばが食べられなくなるかわからないため私は引越しを決意した。
愛すべき経堂で学んだこと
私はこの街のこの家に住んでいろんなことを学んだ。そう、ネズミにも色々な事情があるのだ……。
いや違う、家がぱっと見綺麗に見えてリノベーションされていても築年数の古すぎる家は色々トラブルが起こることもあるんだなと。
この家を経て私の中の部屋探しの優先順位は変わった、1位バストイレ別、2位、駅近、3位、広さ、第4位、築年数(20年くらいまで)
なんだか悲しい感じの終わりになってしまいそうなので私のおすすめする経堂のタイ料理屋を最後に紹介して終わりたい。
経堂駅から徒歩5分のところにあるタイ料理やソンタナ。癖があまりなく誰もが食べやすい感じの味付けで食べやすい!もし経堂に行くことがあればぜひ食してもらいたい。
私の強烈に記憶に残る街、経堂。