大河ドラマ『麒麟がくる』第十九回あらすじ&イラストレポート【麒麟がきても、こなくても】
ファン目線で大河ドラマを楽しむイラスト連載!
毎週日曜放送のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』を楽しむ、大河ドラマ追っかけレポート!
毎週金曜日、前の週のおさらいを兼ねてあらすじと感想をお送りする(以下、ネタバレを含みます)。
『麒麟がくる』第十九回「信長を暗殺せよ」のあらすじ
美濃では高政(伊藤英明)が父・道三(本木雅弘)を、尾張では信長(染谷将太)が弟・信勝(木村了)を殺した。
美濃を逃れた十兵衛(長谷川博己)たちが越前で暮らして、2年が経とうとしていた。
子どもたちに読み書きを教えていた十兵衛は、朝倉義景(ユースケ・サンタマリア)に代わり、京に戻った将軍・足利義輝(向井理)への献上品を届けることになる。
京に着いた十兵衛を迎えたのは、9年ぶりの再会となる細川藤孝(眞島秀和)と三淵藤英(谷原章介)だった。
将軍に招かれ、諸大名が集まる二条の館での能の会を訪れる十兵衛。
そこには、美濃の斎藤義龍(もとの高政・伊藤英明)も招かれていた。
藤孝・藤英から上洛途中の信長の暗殺計画があることを聞いた十兵衛は、松永久秀(吉田鋼太郎)の元を訪れ、三好長慶を救った借りを返してほしいと伝える。
久秀は義龍を訪ね「京の平穏を一緒に守ってほしい」と話す。そのために、信長の暗殺計画を止めてほしいと(計画を立てた張本人である)義龍に頼む。
計画がバレていたこと、それを久秀から告げられたことに衝撃を受けつつも、冷静さを保つ義龍。
十兵衛を呼び出し、「信長はいつか自分が討つ」と伝える。
自分から離れ浪人となった十兵衛に、美濃へ戻り、改めて自分に仕えよと説得する。十兵衛はそれを断り、二人は二度目の決別をする。
義龍はこの二年後、病死する。
信長が将軍に謁見し、今川の侵攻をやめさせてほしいと請うが、もはや将軍には諸大名を抑える力がないことが明確になる。
道三が願った「大きな国」「平安をもたらす者」を実現するにはどうすればよいのか。十兵衛は思い悩む。
大河ドラマ追っかけレポート19(5/24放送回)

つましい平穏の中、十兵衛が望むのは
前回、朝倉義景にボロボロの家をあてがわれた十兵衛、どうするのかと思ったらそのまま改装して住みやすくし、学校的なものまで作り、子どもたちの先生になっていた。周囲からの評判も良く、妻の煕子のおなかには子どもがいる。
このまま先生として生活すれば、貧しいながらもおだやかで幸せな一生が送れそう、そうしなよ十兵衛……と見ているこちらは思うけど、そうはいかないのは、彼の中にある武士の魂のせいなのか。
特に何もしてくれてない義景から久しぶりに「おつかいミッション」を受けた十兵衛、そんなの断ったっていいと思うのに面倒な“火中の栗拾い”に京へ行く。
「公方様に御目通りできる」と身重の妻を残してウキウキ出かけてしまう。はたから見たらおだやかで幸せそうな暮らし、でもそれは彼がほんとうに望んでいるものではないのだと思い知らされる。
持てるものの苦悩は、誰にも
京では、出迎えた細川藤孝たちの衣装のきらびやかなことに目を奪われる。
金色に輝く彼らに対して十兵衛は以前より少し大人びた色合いになったこともあり、とても地味。素材も、京の人々は絹、十兵衛は綿や麻だろうか。いくつかは義景に借りたものらしいが、十兵衛の貧しさがはっきりわかる。光を放つ表舞台に立つ彼らと、影のような十兵衛。
しかし光っている彼らも、幸せとは言い難い。
仕える藤孝たちよりもさらに高級な衣装を身にまとった公方様に届けられるのは、象牙などの豪華な装飾品、鷹狩りのための鷹。夜はのんびりと能を楽しむ。
しかし、実権を握って京の政治をとりおこなっている松永久秀の周りには、装飾品のかわりに書類の山。
なんの権力もない、けれど贅沢品に囲まれている国のトップと、忙しく仕事をして思う通りに国を動かせる立場と。どちらが幸せか……と言ったら、私などは贅沢ができるほうを選んでしまいそうだけれど。
人はいつでも今持っていないものが欲しいし、それを持っている人を「幸せそうだ」と思い込んでしまう。
義龍のかなしさ、信長の孤独、十兵衛の愛しさ
そして幸せそうで幸せではない男がもう一人、思いがけず京で十兵衛が再会した高政あらため斎藤義龍。
父と弟たちを殺し、美濃を手に入れて望みはすべてかなったかと思ったのに、幸せにはなれなかった。一番そばにいて欲しい十兵衛に、ツンデレ気味ではあるが何度もその気持ちを伝えているのに、十兵衛は最後まで彼を拒否するのだ。これはつらい。
そしてそのままナレ死。この大河、本当に義龍に厳しかった。
前回のラストで弟を殺した(毒を持参した弟の自業自得ではあるのだが)信長、母に「そなたはいつも私のたいせつなものを壊す」と涙でなじられ、言葉もなく見つめる姿が痛々しかった。
母のたいせつなものの中に、自分は入っていなかったし、これからも一生入れてもらえない。ずっと触れてもらいたかった母の手が自分に触れるのは、これが最後。
尾張を平定しても、やはり望んだ幸せは手に入らなかった。
ただ、信長の隣には彼と同じく親と兄弟を失った帰蝶がいてくれる。孤独なふたりは、これからどんな幸せを探していくのか。
今は城どころか何も持っていない傍観者である主人公の十兵衛は、少なくとも彼らのように孤独ではない。
そのまっすぐで嘘をつかない性格ゆえに、公方様にも義龍にも松永久秀にも藤孝にも母や妻や生徒たちにも、たぶん信長にも愛されている。
それは、他のなにものにもかえがたい、みんなが欲しがっているかけがえのない幸せなんだから、大切にして、越前で静かに暮らしていればいいのに。
麒麟のことなんかほっといて、本能寺にも行かなくてもいいよ……と思ってしまうのは、私もみんなと同じく、この鈍くてまっすぐでバカ正直な主人公を、いつのまにか愛してしまっているからなんだと思う。
そしてそんな気持ちをよそに、十兵衛は十兵衛なりの望みを探していくしかないのだ。
*
【麒麟がきても、こなくても】は今週をもちまして連載終了となります。
第一回よりご愛読いただき、ありがとうございました。
全国の人気駅から賃貸物件を探す
札幌駅 大阪駅 京都駅 渋谷駅 釧路駅 帯広駅 津田沼駅 神戸駅 姫路駅 静岡駅
全国の人気沿線から賃貸物件を探す
ゆりかもめ 京急大師線 仙石線 大阪環状線 東武野田線 阪急今津線 相模線 西武多摩川線 東海道本線 内房線