戸建ての平屋賃貸で一人暮らし!お気に入りを集めたレトロ&ジャンクな隠れ家
初めての一人暮らし、選んだのはまさかの戸建て賃貸!?
一見すると、ごく普通の築古戸建て物件。しかし、よくよく見れば、こだわりの空間はすでに始まっていた!
玄関先では古い三輪車やブリキの看板、おしゃれにレイアウトされたサボテンたちが出迎えてくれ、否応なしに期待が高まる。さらに、リビングへと続くふすまを開けると、そこには別世界が広がっていて……? ユニークな感性で、自由な部屋作りを楽しむu.and.iさんに話を聞いた。

古いものと新しいもの。絶妙のバランスでMIXされたディスプレイがカッコいい
プロフィール
名前: u.and.iさん
職業:医療関係
年齢: 24歳
インスタグラム:@u.and.i_you.imamu
ルームデータ

u.and.iさん自作の間取りイラスト
居住地:熊本県
居住人数:1人
間取り:3DK
家賃:4万円
築年数:41年
人混みを離れて、戸建て賃貸で気兼ねなく暮らしを味わいたかった
一人暮らしを始めて、3年目を迎えたというu.and.i(以下u)さん。訪ねたお部屋は、何と郊外の一軒家だった。平屋とはいえ、戸建てに踏み出すのはなかなか勇気がいったのでは? そう尋ねると、のんびりとした口調で「田舎は戸建ての一人暮らしも少なくないんですよ」と教えてくれたuさん。
就職先を決めた際も「あまり人が多くない、趣味の音楽を存分に楽しめる場所で生活したい」と郊外中心、戸建て中心に物件探しをしたのだとか。「行政の空き家助成事業なども利用できないかと検討しましたが、理想に一番近かったこの部屋に決めました」と満足げな笑顔が広がる。
お気に入りがいっぱいに詰まったリビングと、リラックス感のある寝室、そして実用的なキッチン。コンパクトな平屋には、日々の暮らしそのものを愛するuさんの美意識と、果てしない好奇心が見え隠れしている。

玄関には愛用のロードバイク。昭和レトロな幾何学模様のタイルがたまらない
主役アイテムを決めて空間にメリハリを
リビングに入ると、まず目に飛び込んでくるのは年代物の足踏みミシン。天井から吊るされたドライフラワーや本物の道路標識、床には同じくドライフラワーを挿した洋酒の瓶が並び、独特の雰囲気を創り出している。まるでお店のディスプレイのように完成度の高い空間だが、テーマやコンセプトはあるのだろうか?
「テーマは、あるような、ないような……ほぼフィーリングですね(笑) 年代もテイストもバラバラです。飾っているアイテムも、実家にあったものや近所のリサイクルショップに格安で売ってあったもの、他には道端で拾ってきたものもありますよ」(uさん)
どんな実家? どんなショップ? 謎は尽きないが、ただひとつ決まっているのは「自分の感性に正直に、好きだと思えるものだけを」というシンプルなルールだ。

ついつい増えてしまう」というサングラスや、趣味のカメラもインテリアの一部

インパクト絶大なリアル道路標識。後ろに見えるのはレコードやDJブース

「これも拾いものです」という牛乳ケースは、ストッカーとして活躍中
「多種多様なアイテムに統一感を持たせるコツはありますか?」という質問には、「普段あまり統一感は意識しないんですけど……」と笑いながら答えてくれたuさん。ただし、ディスプレイの主役となる大物は最初に位置を決め、そこから世界観を広げていくようにしているそう。
「この部屋の場合は、床の間に置いた足踏みミシンです。古い家で床の間と仏壇置き場がガッツリあったので、どうにか活用したいなと思って。上手く空間を使えたときは、やった!と一人ガッツポーズします(笑)」(uさん)
好きなものを好きなように集めたらこうなった!
「POPEYE」や「&premium」といった雑誌にMV、洋画やIKEAのカタログまで、琴線に触れるあらゆるものからエッセンスを取り入れた空間は、唯一無二の魅力を放っている。そんなuさんの部屋づくりにおいて、大切にしていること。それは、自分的な定番のお店を持つことなのだとか。
「ドライフラワーは、馴染みの花屋さん。見かけるとつい買ってしまう標識関係は、定期的にチェックしているリサイクルショップで。行くだけでテンションが上がり、どう飾ろうかな?と思えるアイテムと出逢える店は、貴重な存在かもしれませんね」(uさん)

ドライフラワーの上には、自ら撮影した写真を現像して飾っている
また、フィーリングを重視しているuさんが明確に決めている「敢えてやらないこと」も興味深い。それは、部屋の空気感にを壊すものは徹底して置かないということ! 例えば、uさんのリビングにはエアコンがなく、かわりに昭和中期の扇風機が涼しげに首を振っている。「デザインが主張しすぎるから」とテレビも置かない徹底ぶりには脱帽だ。

収集に勤しむファンも多い、昭和の電化製品。レトロな佇まいが◎
「部屋にエアコンはなく夏は扇風機、冬はガスストーブで暮らしています。もちろん暑さ寒さは厳しくて大変ですが、リラックスできる場所を保つためには我慢できるかなって。これからも好きなもの、一緒に暮らしたいと思えるものたちを集めながら、毎日を楽しんでいきたいです」(uさん)
好きなものにまっすぐ、時にストイック。そんなuさんの部屋作りにゴールはない。
文=井関麻子
写真=編集部