シンプルなお部屋で「丁寧な暮らし」。人気インスタグラマーsayaさんの部屋作り
6畳・1Kで一人暮らし。#丁寧な暮らし を実践する秘訣とは?
誰もがうらやむ「シンプルで丁寧な暮らし」を実践するsayaさん。決して広くはない6畳の部屋に置くものを、厳選した好きなものだけに絞って心地よい暮らしをキープしている。
今回はそんなsayaさんにシンプルな部屋作りのコツから、暮らしの楽しみ方までお伺いした。

白ベースのナチュラルテイストの部屋には陽光がたっぷり差し込む
プロフィール
名前:sayaさん(25歳)
職業:鍼灸師
instagram:@simple_.s
ルームデータ
所在地:東京都
居住形態:1人
間取り:1K
築年数:30年
家賃:69,000円/月
このページの目次
憧れの東京暮らしは「東京らしくない街」からスタート!
神奈川県の“山深い場所”で生まれ育ったというsayaさん。両親が別の場所に引越したのを機に実家を引き継いで一人暮らしを始め、その後2回の引越しを経て、憧れの東京暮らしをスタートさせた。
「この街に決めたのは、商店街の雰囲気や街並が東京らしくなかったから。育った街の懐かしさを感じ、いかにもという東京感がないところが決め手になりました」(sayaさん)

グリーンは、丁寧な暮らしを演出する生きるインテリア
シンプルで丁寧な暮らしぶりがインスタで人気を呼び、現在1万5000人以上ものフォロワーを持つsayaさんだが、最初から理想の暮らしをしていた訳ではない。好きな雑貨を必要以上に買い集め、ゴテゴテと飾っていた時代もあったという。
憧れの街に暮らすのだから理想通りの暮らしにしたいと、引越し時に思い切って断捨離を断行。
「近藤麻理恵さんの著書にある“ときめくか、ときめかないか”を基準に整理しました。最初は“もったいない”とか“またいつか着るかも”と保留するものが多かったのですが、やっていくうちに瞬時に判断できるように。持ち物の取捨選択は、地道にトレーニングを積むことで確実に上手になる」と力強く語った。

「本当は花を飾りたいけれど世話をし切れないので」と、部屋には緑を欠かさない
シンプルなお部屋の家具は父手作りのテレビ台を基準に
陶芸家だったsayaさんの父親は家具を作ったり料理をしたり、なにごとも手を動かして日々の生活を楽しむ人だったそう。実家には常に花器に花が生けてあり、庭のハーブを使って料理をして、器の盛り付けは凝っていて美しかったという。
sayaさんが写真を撮ったり、日々の食事を手作りしたり、自分の好みに部屋を整えるのもきっと無関係ではないだろう。
「私も幼い頃から土をこねて陶器を作ったり、写真を撮ることが大好きな子どもでした。インスタにあげている写真も掲載のためというよりも、“この光がきれい”とか“この風景がいい”と思った、その瞬間を切り取るために撮っているものです」(sayaさん)
父が廃材で作った家具は実家にいくつかあったが、断腸の思いでテレビ台だけを持ってきた。家具を揃える際はテレビ台の色を基準に選んだお陰で、部屋全体が白と木のナチュラルなカラーに落ち着いた。核になる家具を中心に部屋のテーマや色味を決めると、一貫性が出てまとまりやすい。

廃材のすすけた木材の色に合わせてシェルフを選んだことで、部屋に統一感が
欲しい家具や雑貨があっても、もっと気に入るものはないか、より良いものはないかを探してじっくり時間をかける。
以前は好みにまかせて雑貨を買い集めていたというsayaさんに、買い物のコツを聞いてみると、「欲しいかどうかではなく、部屋に合うかどうかで選ぶ」とこれまた実にシンプルなお答え。
しかし使わなくなった雑貨類も「好みは変わるし、少し時間が経ったら使うかもしれないから」と1年くらいはクローゼットで出番待ちをさせる。じっくり選んで気に入ったものだからこそ、短絡的に処分はしない。ここにもsayaさんの丁寧な暮らしぶりがうかがえる。

一番のお気に入りはベッド横の壁面は「おしゃれなポストカードなどを貼ったり、アレンジをして楽しむ」とsayoさん
ここからは、sayaさんが面倒くさがり女子にこそおすすめする、好きなものだけに囲まれたシンプルライフをご紹介!
面倒くさがり女子にこそおすすめ!好きなものだけに囲まれたシンプルライフ
今のsayaさんの部屋を見るとにわかには信じられないが、「実はかなりの面倒くさがり屋」と意外なカミングアウトをしてくれた。
「きっちりした人ならモノが多くても片付けに抵抗がないかもしれませんが、私は違う。モノを少なくして掃除を簡単にできるように仕向けているんです」(sayaさん)
シンプルな暮らしを維持するコツは、「綺麗な状態をデフォルトにすること」だそう。
「散らかった部屋や汚い部屋にも、人はすぐに慣れてしまう。今でも気を許すと部屋が雑然としてモノが増えてしまうので、目標にするシンプルライフ実践者の部屋をネットで見たり、本を読んだりして積極的に感化されるようにしています」(sayaさん)
理想の暮らしは安穏としていては手に入らない。こんなに素敵なお部屋の持ち主でも、気を引き締めながら心地よい暮らしをキープしている。自分にとって大切な場所を居心地よく、美しく整えるのには相応の覚悟と自制心が必要なのだ。

実際に使うものは実はそう多くない。必要以上は持たないこともシンプル暮らしの鉄則
シンプル暮らしを通して、見えてきたのは「自分自身」
sayaさんの部屋の写真からも伝わってくるが、統一されたテイストで愛すべきモノだけに囲まれた部屋は極めて居心地がいい。
以前はカフェなどにもよく行ったが、今や家でコーヒーを淹れた方が美味しく、落ち着いて楽しめるので外に出かけなくなり節約効果もあったという。

すっきり見えるのには見た目も重視する。市販品のラベルを剥がしたり、おしゃれな瓶に詰め替えたり、手間は惜しまない
「住んでいる街が好きじゃなくても、おしゃれな街に住めなくても、部屋を最高に居心地よくすれば幸せな暮らしが手に入る」と断言するsayaさん。
シンプル暮らしを目指す人へのメッセージを聞くと、「私が前の8畳からこの6畳の部屋になった時、2畳分も狭くなるなんてどうしようと思いました。でもモノを厳選して少なくしたら、さほど狭く感じなかった。つまり、それほどモノの多さは部屋の雰囲気や広さに影響を与えるということです。
本気でシンプル暮らしをスタートさせたいなら、あえて引越しをして手持ちの荷物を処分するくらいでちょうどいい。それくらい一気に踏み込めば、暮らしが抜本的に変わります」と経験に基づいた的確なアドバイスを授けてくれた。

たっぷり収納スペースがあるお陰で、キッチンもすっきり整えられる
最後に、sayaさんがシンプル暮らしで得たものを聞いてみた。
「一人暮らしをする前は、自分の好きなものが曖昧だった。でも一人の生活を始めて、自分自身に向き合い、整理ができて、自分が見えてきた。自分が本当に好きなものが厳選されたと思います」(sayaさん)
好きなものだけを厳選する…簡単に見えて実行が難しいのは、それまでの人生や自分自身を問うのと同じだからなのかもしれない。
暮らしている部屋は今の自分そのもの。自分が心から望むものに目を向けて、核になるものだけを残してみたら、その先に「無理のない心地よいシンプルな暮らし」があるのかもしれない。
文=元井朋子
写真=北原千恵美