都営新宿線・本八幡駅を歩く。~始発・終着駅探訪~
毎日座って通勤できる“始発駅”の魅力に迫る
一般的な会社員は、平日は毎日電車に乗って通勤している。
考えるだけで気が重くなる朝の満員電車に、ストレスを感じている人は多いことだろう。
そんな日々から、ストレスを取り除く方法。
幾つかの選択肢が挙げられるが、毎日座って通勤をすることができれば、どんなに楽になるだろうか。
最寄り駅が始発駅であれば、その願いは叶えることができる。
首都圏には多くの始発駅があるが、知名度が高い駅は少なく、その駅の周りはどのような街なのか知られていないことが多い。
一体どんな駅で、どんな街並みが広がっているのか。
今回は都営新宿線の始発駅のひとつ「本八幡」を実際に見に行ってみた。
都営新宿線の始発駅「本八幡」ってどんな街?
千葉県にある本八幡駅は、千葉県・市川市の中心駅だ。JR総武線と都営新宿線が乗り入れており、京成電鉄の京成八幡駅もほど近い。

本八幡駅周辺は大規模な都市開発が続いているらしい。確かに千葉県と東京の境目とあって、住みたいと思う人は年々増えることだろう。通勤通学にとても便利そうだし、買い物にも困らないこの街は老若男女問わず住みやすそうだ。

本八幡は言うなれば、“ちょっと大きな地方都市感”がある街。とはいえ東京都からほど近いということもあって、下町感が溢れている街でもあった。昔ながらの喫茶店や、中華料理屋、ラーメン屋、ゲームセンターなど、古き良き日本の街並みが未だ健在している。
その傍ら、都市開発によって作られたビルやマンション。この2つは、今のところはちょうど良い感じで共存しているようだ。
また、本八幡からは新宿駅まで約39分で到着するし、大型スーパーもいくつもある。家電量販店もあるし、おしゃれなカフェも最近多く作られている。そう考えるとこの街は吉祥寺に似ているかもしれない。
千葉の吉祥寺と呼んでも過言ではないほど、この街はこの街だけで完結できそうな気がするのだ。

駅前を散策したのち、駅から離れて少し歩いてみることにした。「なんだろう、大きなものがあるな」と思って気になる方を見てみると、なんと竹やぶが見えた。

街なかに急な竹やぶ。気になって調べてみると、この竹やぶは「八幡の藪知らず」という場所だという。なんとここは、江戸時代以前から伝わる「一度入ったら出てこれない、入れば必ず祟られる」という禁足地だそうで、現代においてもその掟は守られているのだそうだ。

なぜこの地が禁足地になったのかについては諸説あるらしく、例えば「平将門の墓」であることや「日本武尊(ヤマトタケルノミコト)の陣屋」であったという伝承、他にも「古代豪族の墓所」といった言い伝えもあるようだ。
そして、当たり前のように妖怪も出るらしい。
それはその昔、かの水戸黄門が興味本位でひとりで藪の中に入ったという。そうすると変な姿をした妖怪たちが水戸黄門の周りを取り巻き、白髪の老人が出てきて、こう告げた。「この場所は人間が踏み入る場所ではない。貴殿は間違って入りこまれたようなので、今回に限り見逃す事にする」と。
禁足地なのに勝手に入る水戸黄門も水戸黄門だが、生きて帰ってこれて良かった。(真似しないように)

由緒ある神社「葛飾八幡宮」。どうしても竹やぶのインパクトが大きく紹介があとになってしまったが、「本八幡」という地名はこの神社から付いたほど、この街に根付く立派な神社だ。
「千本イチョウ」という推定樹齢1,200年のイチョウがあり、秋は紅葉で見事なのだそうだ。このイチョウは国の天然記念物にも指定されているという。

神社周辺を歩いていたら、古本屋を見つけた。こういう地方の古本屋を見つけると、特に用もないのに寄ってみたくなる気持ちがわかるだろうか。

せっかくなので本八幡にゆかりのある本でも買って、帰りの電車で読んでみるか。そう思って店内を見てみたが、特にそのようなものは見つからなかった。とはいえ、どこの古本屋にも売っていそうな文庫本を買う気も起きない。
仕方なく手にとったのがこれだ。

もしかして本八幡は、上海に街並みが似ているのだろうか。そう思って中を開いてみたが、全く似ていなかった。まあ、残念ではなく当然の結果だろう。老上海とは上海の昔という意味らしいが、なかなか風情のある街並みが映し出されていた。本八幡もいい街だが、いつか上海にも行ってみたいと思えるほどである。でもやっぱり吉祥寺感も否めない。

本八幡駅を降りた直後は、“地方都市感”があるだけのなにもない街かもしれないと思ったほどだったが、歩けば歩くだけこの街には魅力がたくさん見つかった。時間が許すならば隅々まで探索をしてみたいと思うほどである。そして、いつか上海にも行ってみたい。
そして今回はたまたま「本八幡」近辺を歩いたわけであるが、都内近郊の始発・終着駅はそれぞれの街に魅力がたくさんあると思う。連載が続くのであれば、これからも色々な始発・終着駅を見に行きたい。

文・写真=編集部
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