実録! カメラと廃材に取り憑かれた青年のジャンクなDIY部屋
DIYで唯一無二の部屋をクリエイトしよう
新生活スタートの春。念願のマイルームを手にした人も多いことだろう。趣味全開の部屋、モテ要素満載の部屋、ホリスティックな癒し部屋……どんな空間に作り上げていこうか、胸躍らせているに違いない。
今回お邪魔した部屋の主である上原さんは、ほとんどのインテリアを廃材でDIYしている。美大出身者ならではのクリエイティビティあふれる、唯一無二の手作り部屋をご覧あれ!

DIY歴10年の上原さん。爽やかな笑顔とカオスな背景にギャップ萌え
プロフィール
名前:上原俊さん
職業:アルバイト
居住形態:2人
出没エリア:下北沢
ルームデータ
所在地:東京都世田谷区
家賃:8.9万円(管理費込み)
間取り:2DK
築年数:49年

友人とシェアしている2DKのお部屋
初めての本格DIYは自分の部屋の建築
映像コンテンツ制作会社で働きながら、写真家として音楽関係のライブ撮影を行っている上原さん。
子供の頃から工作好きで、中学では美術部に所属。樹脂粘土で作った偽チョークを黒板に置いて教員を驚かせたり、お札を作って友達に配ったりと、トンチの効いた物作りに明け暮れていた。本格的にDIYを始めたのも中学の頃。インパクトドライバーを手にしたことから、徐々に作品サイズが大きくなっていく。
「中学2年の時に自分の部屋を作りました。店舗兼住居だったらしい中古物件に家族で住んでいたんですけど、広い土間があって。そこに4畳くらいの基地っぽい空間を。閉じこもって、いろいろ作りたいなって」(上原さん)
細い垂木とベニヤ板で壁を作り、中から鍵をかけられる引き戸もつけたという。今でも壊さず残っているらしいが〝物置状態〟とのこと。
多摩美術大学への入学を機に、群馬から上京。大学そばの橋本で一人暮らしを始めて、DIYへの意欲も一気に高まる。材料は大学の廃材置き場で調達していたらしい。
「この部屋には2018年5月に引越してきたんですが、今ある家具は橋本の時に作った物をバラし、新たに作り直しました」(上原さん)
玄関開けたら〝秒〟でDIY居酒屋
現在、上原さんは大学時代の友人とルームシェアしている。玄関を開けると、そこは友人と共有しているダイニングキッチン。いきなり目に飛び込んできたのは〝ちょうちん〟と〝お品書き〟だ。
「あ、これは昨年のクリスマスパーティーの名残りなんです」(上原さん)
さすが美大出身者。おもてなしのスタイルも独創性に富んでいる。
男2人で暮らしている部屋にしては食材の充実度が高い。上原さんは自炊にハマっており、なかでもラーメンスープの研究に凝っているようだ。
「豚骨スープとか、白湯スープとかを寸胴で作ってます」(上原さん)
クリエイターは〝食にも抜かりなく〟ということか。
共有しているリビングはDIY控えめ
ダイニングキッチンの隣には、もう一つの共有スペースとしてリビングがある。当初、この空間を区切って2人で分け合おうと試みたそうだが、間取り的に難しくて断念したらしい。
「リビングには、右の壁に〝窓〟、左の壁に〝収納〟があるんですが、奥の部屋に行く動線を考えると縦に割るしかなくて。そうなると、窓はあるけど収納ナシ、収納はあるけど窓ナシ、の二択になっちゃう。2人とも収納は欲しいってことで共有することにしました」(上原さん)
リビングにも控えめながら、上原さんの廃材インテリアが配置されていた。まずはテレビ台。
「どこかで拾ってきたステレオのスピーカーの上に板を渡して、テレビ台にしています。え、ステレオ本体ですか? それは落ちてませんでした」(上原さん)
テレビモニター脇にあるヤマハの小型アンプはオブジェではなく、実際に使える状態とのこと。
「アンプは音楽を聴く時に使ってます。僕はテレビをほとんど観ないんですけど、テレビのスピーカー代わりにもなります」(上原さん)
窓の上には吊り棚がある。大学の廃材置き場でもらってきた板にロープを取り付けただけのシンプル構造だ。配線カバーに空いていた穴を利用して釘を打ち、吊り下げている。
「前の人が使っていた痕跡を楽しみたいので、新たにペイントしたりはしません」(上原さん)
世間では〝手抜き〟〝横着〟とされがちなことも、美大出身者がコメントすると「これもアートなのかな……」と納得してしまう。
パーソナルスペースはDIY全開!
リビング奥の6畳間は寝室兼作業部屋。右半分を上原さん、左半分を友人が使っている。カメラ、楽器、パソコン、雑貨などがあふれんばかりにディスプレイされている上原さんのパーソナルスペースは、ジャンクショップさながらの賑やかさ。
「相方は実家が横浜で荷物をそっちに置いてるので……まぁ、僕は荷物が多すぎますけど」(上原さん)
ベッドを囲むように組み合わされた収納棚も廃材で自作した。棚板は美大時代にデッサンで使っていた木製パネルを再利用している。
「収納棚の一番上は本棚にしています。天井の近くに梁があって奥行きがないので本を置くのにちょうどいい感じなんです」(上原さん)
2段目にはカメラやミニアンプなどコンパクトな物を並べている。まさしく隙間収納といった感じ。
3段目にはパソコンなどを置いている。ここで撮影した写真データを編集したりするそうだ。
「夜中に作業する時は、頭から毛布をかぶってパソコンの光で相方の睡眠を妨げないように気をつけてます」(上原さん)
ベッドは伸び縮みする構造になっている。寝る時は横に拡張し、床を使いたい時は壁側に縮めるのだとか。ルームシェアならではのアイデアだろう。
上原さんのDIYは部屋の中にとどまらず。ベランダのコンクリート床もウッドデッキ風に改造していた。
「元々の床はサッシより低かったので板を並べてバリアフリーにしつつ、床下収納も作ってみました」(上原さん)
上原流! DIY家具のメリットとは?
持ち前のクリエイティブ魂を存分に発揮して、DIYを満喫している上原さん。「基本、板を乗せてるだけ」と謙遜していたが、その飾り気のない部屋が男らしくてたまらない……とメロっちゃう女子もいるに違いない。
最後に、上原さんが考える〝DIY家具のメリット〟を聞いてみた。
DIY家具のメリット① 引越してもバラして持っていける
「店で買った家具をバラバラにするのは勇気がいるけれど、自作の家具なら気にせず解体できます。コンパクトにできるから、引越し代も安く済むかも」(上原さん)
DIY家具のメリット② 既製品にはないオリジナリティを楽しめる
「他には絶対にない〝唯一無二〟の家具ということ。これに尽きます」(上原さん)
DIY家具のメリット③ 自由にレイアウトができる
「部屋の大きさにぴったり合わせられるので、スペースを無駄なく使うことができます。狭い部屋こそDIY家具をおすすめします」(上原さん)
春は新しいことを始めるのにぴったりなシーズン。ちょっと模様替えでもしてみようかな、と思ったらDIYに挑戦してみるのもいいだろう。
写真=編集部
文=野中かおり