
プロパンガスとは?都市ガスとの違いや料金は?メリット・デメリットも解説!
プロパンガスの基礎知識をおさえて、ガス料金を節約しよう!
2017年4月からの都市ガスの自由化により、消費者が自由にガス会社を選べるようになった昨今。しかしその一方で、「プロパンガスは料金が高いと聞くけど、なんとなくそのまま使っている」という方も多いのでは?
そこで今回は「プロパンガスと都市ガスの違いがわからない」「ガス料金の仕組みが知りたい!」という人向けに、プロパンガスの特徴やメリット・デメリットをわかりやすく解説!基礎知識をおさえて、プロパンガスをさらにお得に使おう。
プロパンガスとは?都市ガスとの違い・見分け方も

一般家庭で使われているガスは、プロパンガスと都市ガスの大きく2種類に分けられる。
プロパンガスとは、液化石油ガスを原料に作られるガスのこと。液化石油ガス(=Liquefied Petroleum Gas)の頭文字から「LPガス」とも呼ばれている。それに対し、都市ガスは液化天然ガス(Liquefied Natural Gas)が原料となっている。
プロパンガスと都市ガスの見分け方としては、自宅に届く検針票を確認する、ガスコンロなどのガス機器に貼られているシールを確認するといった方法がある。詳しくは下記表のとおり。
プロパンガス | 都市ガス | |
---|---|---|
検針票 | 供給地点特定番号/ご使用場所番号が、7から始まる10ケタ | 供給地点特定番号/ご使用場所番号が、01から始まる17ケタ |
ガス機器のシール | 対応ガス種に ・LP ・LPG などと記載 | 対応ガス種に ・12A ・13A などと記載 |
ガスホースの色 | オレンジ | 白っぽい |
プロパン・都市ガスの違い①原料や成分
プロパンガスと都市ガスの原料・成分は、次の通り。
プロパンガス | 都市ガス | |
---|---|---|
原料 | 液化石油ガス(LPG) | 液化天然ガス(LNG) |
主成分 | プロパン、ブタン | メタン |
重さ | 空気より重い | 空気より軽い |
ガスの特徴 | ・マイナス162度で液化する ・石油や石炭と比べ、二酸化炭素の排出量が少なく、硫黄酸化物もほとんど発生しない | ・マイナス42度で液化する ・石油や石炭と比べ、硫黄酸化物が全く排出されず、二酸化炭素の排出量も少ない |
都市ガスとプロパンガスはともに二酸化炭素の排出量が少なく、クリーンな燃料として知られている。
成分における違いでいうと、プロパンガスの主成分はプロパンやブタンで、空気よりも重いのが特徴だ。ガス漏れの際には下方にガスが溜まるため、ガス漏れ警報器は床面から30㎝以内の場所に設置される。
その一方、都市ガスの主成分はメタンで、空気より軽いのが特徴。ガス漏れの際は上部にガスが溜まるため、ガス漏れ警報器は天井に直接設置されることになっている。
また、都市ガスもプロパンガスも本来は無臭の性質を持っている。独特のニオイは、実はガス漏れにすぐ気づけるようにあえてつけたものなのだ。
プロパン・都市ガスの違い②発熱量
プロパンガス(LPガス)の主成分であるプロパンやブタンは、熱量が非常に高いのが特徴だ。そのため都市ガスとプロパンガスでは、発熱量にも違いがある。
プロパンガスの発熱量 | 都市ガス(13A)の発熱量 |
---|---|
102mj (約24,000Kcal/m3) | 45mj (約10,750Kcal/m3) |
都市ガスの発熱量は大手都市ガスの場合で1m3あたり45MJ(約10,750Kcal)なのに対し、プロパンガスは全国どこでも102MJ(約24,000Kcal)。つまり、プロパンガスは都市ガスの2倍以上の発熱量を持っているのだ。
とはいえ、都市ガス用のガスコンロでは、供給圧力を高めて多くのガスを供給することで十分な火力になるよう調整されていて、火力にそこまでの大差が出ないようになっている。都市ガスだからといって、コンロの火力が弱くなるようなことはない。
ただし、プロパンガスから都市ガスに変更する際、今まで使っていた給湯器やガスコンロといったガス機器をそのまま使用することはできないことには注意しよう。
プロパンガスの供給方法と供給エリア

プロパンガスの供給方法は?ポイントは「液化」と「ガスボンベ」
プロパンガスの供給方法 | 都市ガスの供給方法 |
---|---|
液体の状態で、ガスボンベによって供給 | 気体の状態で、地下のガス導管で供給 |
プロパンガスの供給は、各家庭・物件にガスボンベを配置し、定期的にガスボンベを交換する形をとっている。都市ガスに使われている液化天然ガス(LNG)と比べて液化しやすく、体積を大幅に減らして運搬しやすいプロパンガスならではの供給方法だ。
それに対して都市ガスは、地下に埋められたガスの配管を通って、気体のまま各家庭に供給される形だ。製造所から高圧で送り出された都市ガスは、整圧器などを経て大規模工場に運ばれ、一般家庭にはより減圧された低圧ガスが届く仕組みになっている。
プロパンガスの供給エリアは、全国どこでも!
プロパンガスの供給エリア | 都市ガスの供給エリア |
---|---|
全国どこでも供給可能 | ガス導管がある都市部が中心 |
全国どこでも供給が可能なプロパンガスに対し、都市ガスはその名の通り“都市部”を中心に供給がおこなわれている。その理由は、それぞれのガスの供給方法が関係している。
プロパンガスはガスボンベの設置など簡単な作業でガスを供給できることから、全国各地で利用可能だ。ガス導管が通っていない地方の市町村では、プロパンガスが多く利用されている。
一方で、都市ガスの供給には、地下にガス道管を設置するための莫大な費用が必要になる。そのため、都市ガスは契約世帯がある程度担保される都市部エリアなどでしか供給がおこなわれていない。
プロパンガスの料金システムをおさらい!

プロパンガスの料金制度
前述の通り、2017年4月に都市ガスの自由化が行われたのに対し、プロパンガスの料金制度はそれ以前から自由料金。このため料金制度はガス会社によって異なるが、「基本料金」と「従量料金」に分けて計算される二部料金制が一般的で、一部では「設備使用料金」もしくは「設備管理料金」を加えた三部料金制をとっていることもある。
基本料金 | ガスの使用量に関わらず請求される固定料金 |
従量料金 | ガス原料費や容器配送費など、使用量に応じて支払う料金 |
(設備使用料金) | 基本料金に含まれる設備使用料などを別に記載した料金 |
ガス料金は検針票を見れば一目瞭然だが、自分で計算するなら「基本料金+従量料金(1㎥あたりの単価x使用量)」を合算すればOK。次の計算式で算出できる。
■二部料金制ガス料金 ={ 基本料金 +( 従量単価 × 使用量㎥ )}× 消費税率
■三部料金制ガス料金 ={ 基本料金 +設備使用料( 従量単価 × 使用量㎥ )}× 消費税率
都市ガスの料金も、二部料金制と同じく「基本料金+従量料金」で算出可能だ。
都市ガスの料金との違いは?
プロパンガスの料金特徴 | 都市ガスの料金特徴 |
---|---|
・都市ガスより高い ・ガス会社間での料金の差が大きく、他社に乗り換えた際にメリットが大きい | ・プロパンガスより安い ・ガス会社間での料金の差が小さく、他社に乗り換えてもメリットが少ない |
プロパンガスと都市ガスの料金の違いは、上記の通り。料金は一般的に、都市ガスよりプロパンガスの方が高くなる傾向にある。
ガス会社間での料金の差については、都市ガスは2017年に料金が自由化され市場への新規参入が可能になったものの、大きな差は見られないのが実情だ。
そう考えると、他社に乗り換えた際にお得になりやすいのはプロパンガスの魅力ともいえるだろう。
プロパンガスの料金が高い理由
「プロパンガスは都市ガスより高い」と耳にしたり、実際に感じたりしている人は多いはず。プロパンガスの料金が都市ガスよりも高い傾向にあることには、次のような理由がある。
- ガス会社が自由に料金を設定できるため高価格帯になりやすい
- ガスボンベの配送、点検、交換などにコストがかかる
- 商品の差別化が難しく、価格競争が起きにくい
ガス会社が自由に料金を設定できるうえ、他社との差別化が難しかったり、そもそもガス会社を選択可能なことを知らない人が多かったりと、プロパンガスは価格競争が起きにくい傾向がある。その結果、プロパンではガス料金が割高になってしまうのが現状だ。
また、供給方法の違いでガスボンベの配送費や人件費といった費用がかかってくることも、プロパンガスの方が値上がりしやすい理由になっている。
もし戸建て住まいかつプロパンガスを利用していて「ガス代をもっと節約したい」と思ったら、他の販売店を検討してみるのもひとつの手だ。プロパンガスは販売店によって料金設定に差があるので、他の事業者に変更するだけで大きな節約に繋がるケースもある。
ただし、契約の決定権がオーナー(大家さん)にある賃貸物件の場合、個人での契約変更はできない。どうしても変更したいときには、オーナーや管理会社に交渉してみよう。
プロパンガスと都市ガスのメリット・デメリットを比較!

プロパンガスのメリット
- 全国各地で利用できる
- 災害時に強く、供給再開が早い
都市ガスの導管が整備されていないエリアで供給可能なことに加え、災害時に強いのもプロパンガスの大きなメリットだ。
過去の阪神淡路大震災や東日本大震災といった震災時にも、個別供給式のプロパンガスは復旧スピードの早さをいかんなく発揮。都市ガスが寸断されてしまったときにも、簡単に移動して活用できるエネルギーとして、炊きだしやお風呂の提供に役立った実績がある。
プロパンガスのデメリット
- 都市ガスよりもガス料金が高い
プロパンガスのデメリットは、やはりその価格。都市ガスと比較するとガス代が高くなってしまうのは痛手といえるだろう。
プロパンガスの料金設定は、ガス会社によって異なる自由価格だ。もしガス料金の高さが気になるときには、他のプロパンガス会社に乗り換えることで、支出を抑えられる場合がある。
都市ガスのメリット
- ガス料金を安く抑えられる
- 多様なガス会社やプランから選べる
都市ガスの一番のメリットは、プロパンガスと比べてガス料金を安くできることだ。
一人暮らし・二人暮らし・ファミリーと世帯を問わず、毎月の固定費として出ていく公共料金は少しでも安く抑えたいもの。都市ガスでガス代を安く抑えることができれば、ガスを使う料理やお風呂も気兼ねなく楽しめる。
また、料金面でまだ大きな差は出ていないものの、自由化によって多様なガス会社やプランを選べるようになったのも嬉しいポイント。
都市ガスのデメリット
- 都市ガスよりもガス料金が高い
都市ガスのデメリットは、供給エリアが限られていること。地下にガス道管が張り巡らされていない地方エリアでは利用できないので注意が必要だ。
そのほか、プロパンガスと比べて災害時の復旧に時間がかかるというデメリットもある。大きな災害を想定した場合は、不安材料のひとつとなりそうだ。
「ガス代が高い…」と思ったら、プロパンガスの見直しを!
ガス料金が割高になるイメージの強い一方で、パワフルな発熱量を持っていたり、災害時に強かったりと、知られざるメリットも持ち合わせているプロパンガス。
個人で契約変更ができない賃貸物件の場合は別だが、戸建てならガス会社を見直して、今日別の事業者を検討してみるのもおすすめだ。毎月のガス代を安くできれば、貯金や自由に使える生活費にまわすこともできる。
ぜひこの機会に、毎月のガス料金を改めて見直してみては?