自己破産をしても賃貸物件は借りられる?入居審査で気をつけたいポイント
自己破産しても賃貸物件は借りられるの?

自己破産をする前や、自己破産をしてしまった人にとって、自己破産しても賃貸物件を借りることができるのか、不安に思う人も多いだろう。
そこで今回は自己破産したらどうなるのか、賃貸物件を借りることができるのかといったことなど、自己破産と賃貸契約について詳しく解説していこう。
これから自己破産を考えている人や、すでに自己破産をしている人など、賃貸物件を借りる際に参考にしてほしい。
このページの目次
自己破産とは
自己破産とは、借金が返済できなくなったときの手続き方法の一つだ。自己破産をしても、今住んでいる賃貸物件を追い出されるということはない。しかし、気になるのは、これから新しく賃貸物件を借りられるのかどうかではないだろうか。
法律上では、自己破産をしても賃貸物件を借りることができると定められている。では、自己破産によって、賃貸契約にどのような影響をおよぼすのかを見ていこう。
自己破産したらブラックリストに登録される
自己破産をすると、ブラックリストに登録されるというのは多くの人が知っていることだろう。賃貸契約におよぼす影響として考えられることは、家賃の引き落としにクレジットカードを使用する場合だ。
自己破産の際、破産前に持っていたクレジットカードはすべて使用不可となる。当然、クレジットカードで家賃の引き落としをする物件の審査は通らないことになる。また、家賃引き落としのためにクレジットカードの新規申し込みが必要な物件もあるが、当然審査には通らないだろう。
つまり、クレジットカードを持っている、クレジットカードの申し込みができることを、入居審査の条件にしているということだ。
なお、ブラックリストに登録されている人であれば通さないという保証会社もある。
賃貸物件を契約するには大きく2つの審査を通らないといけない

貸主からの審査
賃貸物件を借りる際、大家さんや管理会社の審査がある。審査の内容は、支払い能力があるかどうかがだ。安定した収入があり、毎月の家賃が払えるということが重要であり、勤務先や勤続年数、年収などが審査基準となる。
年収500万円の自営業者やフリーランスの人より、年収300万円以下の公務員や勤続年数の長い会社員の方が審査には通りやすいといわれている。必要書類として、前年度の源泉徴収票、所得証明証の提出も必要となることがある。
大家さんや管理会社の独自の審査では、ブラックリストに登録されているか否かはあまり関係なく、家賃の支払い能力があればたいていは審査に通るのだ。また、年収が低い、勤続年数が短いといった場合でも、連帯保証人がしっかりしていれば問題ない場合がほとんどである。
保証会社独自の審査
連帯保証人が不要な契約、連帯保証人の属性が弱い場合において、保証会社の契約が必要なことが多い。最近では、連帯保証人の有無に限らず、保証会社の契約を必須としている物件が増えている。
審査の内容は保証会社によっても違うが、クレジットカードやローンの信用情報や過去の家賃滞納など、大家さんや管理会社の行う審査とは異なる方法で審査が行われる。
賃貸物件契約時の入居審査で見られるポイント
賃貸物件を契約する際、入居審査で見られる主なポイントは3点だ。支払い能力があるかどうか、万が一滞納が発生した場合に回収できる見込みがあるかどうか、そして借主の人間性である。ここからは、それぞれの項目をさらに深掘りして解説する。
審査のポイント①支払い能力

比較的シビアにチェックされるのは支払い能力の有無だ。たとえ自己破産を経験していたとしても、年収を基準に無理のない家賃であると大家さん側に判断されれば、支払い能力ありとみなされる確率が高い。
ただし、勤務先の属性や勤続年数といった条件も加味されることになる。勤続年数が極端に短い場合、すぐに仕事を辞めてしまう可能性があると判断されることもある。短期の離職を繰り返している場合は、契約が難しくなる可能性があるだろう。
審査のポイント②保証人や保証機関の信頼度
自己破産の有無を問わず、賃貸物件を契約する際は保証人をつける、または、保証機関と契約を結ぶよう求められることが一般的だ。保証人であれば誰でも良いわけではなく、保証人の年収が基準に満たない場合などは却下されることも多い。この場合は手数料を徴収される可能性があるが、保証機関の審査を受けて契約を目指すことになる。
審査のポイント③入居予定者の性格や人柄
大家さんが貸すか貸さないか迷った場合、最終的には入居予定者の性格や人柄を考慮して成約するか否かが決まる。入居予定者が信頼に値する人物かどうかは、不動産会社の担当者がレポートにまとめて大家さんに提出することになる。言葉遣いや服装など、不動産会社での印象がよければ交渉が有利に進む可能性が高い。
自己破産をしても賃貸契約の審査が通る方法
それでは、自己破産をしていても賃貸契約の審査に通るにはどうすればよいのだろうか。それぞれ見ていこう。
自己破産をしても賃貸契約する方法:保証会社ではなく連帯保証人を設定する

賃貸契約の際に、保証会社との契約が必要な物件を避け、連帯保証人を設定する物件を探すとよい。連帯保証人は、安定した収入のある親や兄弟などの親族に限られる場合が多く、事前に頼んでおく必要がある。
ホームページやポータルサイトでは、保証会社の契約の有無に関する記載はほとんどないので、不動産仲介会社に相談するとよいだろう。審査に通りやすい物件や保証会社の契約が必要ない会社なども把握しているからだ。
自己破産をしても賃貸契約する方法:契約者を変更して再度審査を申し込む
気に入った物件があるのに審査が通らないという場合は、契約者を変更して再審査をするという方法もある。一緒に住む人がいれば、その人に契約者になってもらうか、事情を話して親や兄弟に頼む方法もある。
しかし、基本的には住む人以外が契約者になることは契約違反になりかねないので、不動産仲介会社にあらかじめ相談することが必要となる。
自己破産をしても賃貸契約する方法:保証会社選びに注意する
保証会社の審査は、会社によって基準がまちまちとなる。とくに信販系と呼ばれる保証会社は、信販会社が保証事業をしていることが多く、自己破産をしていると審査に通らないことも多々ある。
自己破産をしている場合は、独立系と呼ばれる独自の基準で審査をする保証会社を選ぶとよい。信用情報機関に加盟していない会社が多く、独自の審査基準があるため、自己破産の情報はチェックされていない可能性が高い。
しかし、過去に家賃滞納をしたことがある人は、家賃滞納記録を共有しているLICCに加盟している保証会社も避けた方がよい。保証会社の内容を一般の人が知ることは難しいので、不動産仲介会社に相談するとよいだろう。
自己破産をしても賃貸契約する方法:審査が通りやすい物件に申し込む
賃貸物件を探す際に、正直に不動産会社に相談して、審査の通りやすい物件を紹介してもらうのが結局一番の近道といえる。不動産仲介会社では、さまざまな契約を通して審査の通りやすい物件を把握しているからだ。
自己破産をしても賃貸契約する方法:UR都市機構や公営住宅の物件を候補に入れる
自己破産していても入居しやすいのが、UR都市機構の物件であり、こちらでは自己破産をしていても借りることが可能だ。しかしその際には収入に基準があり、毎月の平均収入額が家賃の4倍または33万円以上などが挙げられる。自己破産をしていても安定した収入があるのであれば、UR都市機構は礼金や更新料、保証人も不要なのでおすすめだ。
しかし、安定した収入がないという場合は、市営住宅などの公営住宅がおすすめだ。そもそも公営住宅は低所得者向けの物件となっており、逆に一定以上の収入があると入居ができない。しかし、低所得者の味方である公営住宅だが、すぐ入れるというわけではない。
公営住宅は定められた日程で募集を行い、抽選で入居者を決定する自治体がほとんどだからだ。その際は、長期空き家になっている住宅などを探すとよいだろう。
自己破産した人が賃貸物件を契約するとき注意するポイント
それでは実際に自己破産をした人が賃貸物件を借りる際、注意した方がよいポイントはあるのか見ていこう。
自己破産に関係のない銀行口座を家賃の引き落とし口座にする

自己破産をした場合、口座に関連した借金があると凍結される。家賃の引き落とし口座には、自己破産とは関係のない口座を使うとよいだろう。
賃貸物件を契約する前に定職につき支払い能力を回復させる
賃貸物件を借りるということは、家賃の支払いが発生するということだ。当然、支払い能力のない人にはどのような審査も通らないといってもよいだろう。自己破産後、一人暮らしを考えているなら、まずは定職について信用を回復させていこう。
契約中に自己破産しても、 賃貸物件を追い出されることはない!
本記事は自己破産を経験した人が新規で賃貸物件を契約することを想定に記してきたが、これから自己破産をするという場合はどうなのだろうか。結論として、仮に自己破産したとしても、現在契約している物件の契約を破棄され、追い出される心配はない。ただし、家賃の支払いが滞った場合は退去の勧告を受けることになるため、余裕を持った計画を立てるようにしよう。
自己破産しているなら不動産会社を味方につけて一緒に賃貸物件探しをしよう
今回は自己破産とは何か、自己破産したらどうなるのか、賃貸物件を借りることができるのかなどについて解説した。
自己破産をしてからも、賃貸物件を借りられる可能性は十分にある。しかし、審査に通りやすい物件を自分で見極めるのは困難だ。
自己破産をしてからは、不動産会社に正直に相談して味方になってもらい、一緒に賃貸物件を探してもらおう!
文=CHINTAI編集部