一人暮らしの冬の電気代を節約!無理せずカンタンにできる5つの方法
節約したいけど冬は電気代がかさみやすい時期……

気温が下がる冬は1年の中でももっとも電気代がかさみやすい時期。総務省統計局の家計調査(2024年)によれば、一人暮らし世帯の電気代の平均は4~6月が5,839円/月、1~3月は7,150円/月となっている。春先よりも冬場では電気代が20%以上増えてしまうのだ。理由としては、暖房による電気使用量の増加や、日照時間が低くなるため照明の利用時間が増えるという2点が考えられる。
予期せぬ高額な請求を回避し、毎月の電気代もできるだけ減らしたい。そこで今回は、無理せず少しのアクションでできる電気代の節約方法を紹介していこう。
この記事でわかること
まずは電力会社や契約内容の見直しが有効
エアコンの設定温度の見直しで電気代節約に!
コスパの悪い家電は、買い替えで大幅に使用電力が削減できるケースも
このページの目次
一人暮らしにおける冬の電気代節約ポイント

025年1月現在、政府は「電気・ガス料金負担軽減支援事業」により3月使用分までの電気代・ガス代の費用補助を行っているが、物価高なども影響して生活費に不安を感じている人も多いだろう。毎月発生する電気代を節約することは、年間の生活費を抑えることにもつながる。これから紹介する5つのポイントを押さえれば、家計を圧迫してしまう電気代が安くなるはずだ。
「我慢の節電」は健康に悪影響?
一方、節約・節電をしたいからといって、無理して暖房の使用を控えるなど、寒い室温の中で暮らすことは健康に悪影響。WHOが2018年に発表した『住まいと健康に関するガイドライン』によれば、寒さによる健康影響から居住者を守るため、 室内を最低でも18度以上とすることが強く勧告されている。
部屋が寒いことによって血圧が上がったり、住居内での温度差(例えば、リビングの室温はある程度高いのに床が冷たい、浴室から出たら脱衣所が寒い……)によりヒートショックを起こしたりなど、命の危険に直結するリスクがある。
以下のポイントを実施する際には、ただ我慢するのではなく、適切な室温を保つことを意識しよう。
参考:国土交通省「健康に暮らすためのあたたか住まいガイド」
一人暮らしの電気代節約ポイント①:電力会社との契約を見直してみよう
まず、自分がどの電力会社と契約しているか、把握しているだろうか。2016年4月の電力自由化以降、各家庭で電力会社やプランを自由に選びやすくなった。
※管理会社やオーナーが電力会社と一括契約している場合、集合住宅だと電力会社を切り替えられない可能性がある
様々な事業者が参入したことで価格競争が起き、電力会社やプランによって電力の販売価格は大きく異なる。そのため、家庭ごとに使い方や生活スタイルに合う電力会社や契約内容への見直しが有効だ。
電力自由化で選択肢が広がった
電力会社を切り替えると停電しやすくなったり、電気が薄暗くなったりするのではないかといった不安を感じる人もいるだろう。しかし、送電網などの電力供給の仕組み自体は変わらないため、電気の品質や停電リスク等は今までと全く変わらない。
また、電線やブレーカーの切り替え、電気工事の必要はなく、申し込み費用や切り替えにかかる工事費用なども発生しないケースが多い。築年数の長い物件など、電気メーターが「スマートメーター」に切り替わっていない場合、別途工事費がかかる可能性があるのであらかじめ確認しておこう。
※スマートメーターとは、通信機能を備えた新しい電気メーターのこと。自動で検針が行えるほか、電気使用量のデータ通信が可能。資源エネルギー庁の報告によると2022年3月末時点での普及率は91.1%
電力会社・プランを見直しする際の注意点
まずは現在の電気の使用状況や契約内容を確認し、そのうえで自分のライフスタイルや、自分がよく利用する会社の系列のサービスなどから電力会社・プランを検討してみよう。ポイント付与、ガソリン代の割引といった特典付きのプランも存在するため、生活費全体で見たときに負担が軽減される場合がある。
会社ごとにさまざまなプランが存在するが、日本卸電力取引所(JEPX)の取引価格に連動し、プランの単価が決まる「市場連動型プラン」は、燃料費が高騰した際に電気代が高くなる可能性があるため注意が必要だ。
さらに、さまざまな企業が電気事業に参入した結果として、切り替えた電力会社が倒産したり、突然値上げしたりするケースもある。そうなった場合、ほかの電力会社への切り替えが必要だが、今まで使っていた地域の電力会社と契約し直すことも可能だ。
電力会社やプランによっては、解約に伴って違約金が発生する場合があるため、現在の契約・見直し後の契約も、違約金の有無や対象となる期間などを押さえておこう。
自分に合った電力会社やプランの選び方
たとえば、朝早く起きて仕事をする人と、夜遅くに仕事をする人とでは電気の使い方が異なる。生活スタイルに合わせて、最も効率的かつ合理的なプランを選ぶことが重要だ。電力会社を選ぶ際は、下記のポイントをおさえよう。
①供給エリア
全国対応の電力会社もあれば「東京電力エリアのみ」というようにエリアを限定している会社もある。
②電力料金が決まる仕組み
一般的に電気料金は「基本料金(最低料金)+電力量料金±燃料費調整額+再生可能エネルギー発電促進賦課金」で決まる。プランによって「基本料金(最低料金)」と「電力量料金」が異なるので、現在契約しているプランと比較しよう。
③プランの種類
電気とガスがセットになって割引されるプラン、オール電化専用プラン、夜間帯の電気料金が低く設定されているプラン、ポイント還元があるプランなど、さまざまな種類がある。また、支払い方法をクレジットカードやLINE Pay・PayPayなどの電子マネーに変更することでポイントをためられる会社もある。複数社を比較検討して、自分の生活に合ったプランに変更してみよう。
場合によってはアンペアの見直しも有用だが、注意点も
さらに、一人暮らしは家電製品の同時利用を避けることで、最大アンペア数を下げることができる。現在契約しているアンペア数が実際のアンペア数よりも大きい場合は、電力会社へ問い合わせてアンペア変更の手続きをするといいだろう。ただし、アンペア数を下げすぎると家電の同時利用でブレーカーが落ちてしまうなど事故につながる可能性があるので、注意したい。
一人暮らしの電気代節約ポイント②:エアコンの使い方を一工夫しよう

前述の通り、最低でも18度以上を保てるように意識しつつ、効率の良い使い方を意識したい。家電の中でももっとも消費電力を使うのがエアコン。仕組み上、外気温と室温との温度差が激しくなるほど、電気代がかかってしまう。また、エアコンは起動時に大きな電力を消費する。細かいオンオフは避け、設定がある場合は自動運転にすると良いだろう。
さらに、エアコンの暖房とサーキュレーターとを活用すれば、効率的に室温をコントロールすることができる。身体に風を当てることでも涼しさを感じられる扇風機とは異なり、サーキュレーターは空気の循環を目的に使用する。エアコンの暖房を下向きに設定し、サーキュレーターは上向きに設置することで、風を起こして部屋の中の空気を循環させ、エアコンの温風を部屋の中に行き渡らせてくれる。
室内の温度差を軽減することは、前述のようなヒートショックなどのリスクも軽減してくれるため、ぜひ活用したい。
一人暮らしの電気代節約ポイント③:外気をシャットアウトする工夫をしよう
窓がある部屋は隙間風が入ってきたり、サッシから外気温が伝わってきたりなど、温度が下がりやすい。厚めのカーテンやビニールカーテン、サイズのぴったり合ったカーテンを使って、温かい空気を逃さないようにすることも電気代の節約につながる。
窓ガラスに直接貼るタイプの断熱シートは、「熱割れ」と呼ばれる窓ガラス破損の可能性があるため、使用できるタイプの窓・シートかをしっかり確認しよう。また、剝がす際に窓ガラスに粘着が残ってしまうなど、原状回復が難しい場合もあるため、心配な場合は窓に立てかけるタイプを選ぶなども工夫したい。
一人暮らしの電気代節約ポイント④:家電はこまめにコンセントを抜こう
電源を入れていなくても、コンセントにつながっている家電は待機電力を消費している。電気ケトル・トースターなどの長期間使わない家電は、コンセントから抜くことによって電力の浪費を防ぐことができる。
ただし、洗濯機などの大きな家電は、コンセントの頻繁な抜き差しによって故障の原因になってしまったり、古い家電は起動時に待機電力以上の大きな電力を使ってしまったりする場合があるため、取扱説明書を確認するなどの注意が必要だ。
一人暮らしの電気代節約ポイント⑤:コスパの悪い家電は買い替えよう

家電はどんどん進化を続け、同じパフォーマンスにもかかわらず過去モデルよりも使用電力が大幅に削減できるものが増えている。10年前の洗濯機・冷蔵庫の消費電力は最新モデルの1.5倍から2倍かかるといわれている。買い替えの初期投資の金額は大きいが、長い目で見れば節約になる可能性が高い。
さらに、照明もLEDに変えることで電気代を節約することができる。LEDの特徴は低電力であること。経済産業省が2012年に発表した『LED照明産業を取り巻く現状』という資料には、同じ明るさの白熱電球と比較して、LED電球の消費電力は約1/6だという記載がある。加えて長寿命であるため、電球の交換の手間も省けるのが嬉しいところだ。
少しの工夫で一人暮らしの電気代を節約しよう

今回は冬場の電気代の節約方法について解説した。冬場の電気代はどうしてもかさんでしまいがちだが、少しの工夫や自分に合った契約を検討することで無理なく下げることができる。総務省統計局の家計調査によれば、一人暮らしの冬(2024年1~3月)の電気代の平均は、7,150円/月。まずは現在の電気代が平均以下になっているかどうか確認してから節約に励んでいくと良いだろう。
今回紹介した一つひとつの取り組みは長期的に実践することで大きな効果があらわれるものが多く、短期間では期待した効果があらわれないこともあるかもしれない。コツコツ続けていくことで大きな節約になっていくので、自分に合ったものを取り入れて電気代を節約していこう。