【二人暮らしの家 伊織庵】第2回 二人暮らしはルールを守らなくなってからが本番
Twitterで人気の伊織さんの連載第2回目
彼女との日常投稿が人気を博し、Twitterフォロワー45万人を超えた伊織さん(@iorisanv)。Twitterではイケメンな彼女のあんさんと伊織さんのやりとりをのぞきみることができる。
彼女が「キスしろよ」って壁ドンしてきたのがイケメンだったので僕も真似して彼女にしてみたら、両手首を掴まれ、そのまま通路の反対側の壁に押しやられて、「キスしてやるよ」ってさらにイケメンな対応でキスされた。キスさせるはずがキスしてもらうことになりました。彼氏としての自信を失いました。
— 伊織 6/7僕の彼女は最高です!6巻発売 (@iorisanv) May 24, 2014
そんな伊織さんに、これから同棲をしたいと思っている方、同棲をしたいと思っているけれどその一歩が踏み出せない方のために、伊織さんに二人暮らしを始めたきっかけやエピソード、二人暮らしにまつわ思いを綴る連載【二人暮らしの家 伊織庵】がスタートした。
第2回目は二人暮らしにまつわるルールにまつわるエピソードを思い出してもらった。
▼第一話はこちら!
ルールを紹介とか言っておきながらルールは無い

人間の社会にはルールがある。家族は社会の最小単位とかってどこかで聞いたことがあるけど、それなら二人暮らしは最も小さな社会なのかもしれない。
でも、僕と彼女の社会には二人暮らしならではのルールというのはこれといってありません。正確には昔はあったけど今はありません。どういう経緯でルールが生まれ、無くなったのか。そして、ルールの無い社会で今はどのようにして生活しているのか。二人暮らしを始めたら必ず直面するであろう家事の問題を例えにお話したいと思います。
ルールって必要だよね
僕が実家にいた時に家事をしていたのは母でした。朝起きたら朝食が用意されていて、家に帰ったら夕飯の香りがして、洗濯カゴに服を放り込んでおけば綺麗になって畳んである。僕がしていたこといえば精々お手伝い程度。
二人暮らしになると全てを自分たちだけでしないといけない。何て大変で面倒臭いんだろう…とは感じませんでした。好きな人と一緒にすることはもう何だって楽しいんです。だから、家事も自然と一緒にやってました。最初はね。漏れなくだんだん面倒臭くなります。ていうか、僕たち元から面倒臭がり屋だからね。全ての家事を自分たちでするってことは、これまで実家では自由だった時間がその分だけ無くなっちゃうってこと。
二人暮らしの家事、これマジ普通にダルすぎるでしょ。とはいっても、家事をしなかったら家は荒れる一方。こうなったらルールを作るしかない。いわゆる家事分担ってやつ。同棲といえばやっぱりこれだよね。
ルールを決めてみたものの

家事分担のルールを作るなら公平で不満の無いものでないといけない。僕が面倒臭がり屋なくせに几帳面なこともあって、炊事、掃除、洗濯、ゴミ出しといった基本的なことはもちろん、床に物を置かないとか、ポットのお茶は最後の一杯を飲んだ人が作るとか、とりあえずこれまで生活していて目に付いたことは結構細かく決めました。息が詰まる生活ですね。
やりたくないことをルール化したってやりたくないものはやりたくないんです。ルールを決めて体が動くなら面倒臭がり屋なんかとっくに卒業できているだろう。どんだけ未来の自分たちに期待してんだよ。という訳ですぐに破綻しました。
どちらかがルールを守らないことがあると、それなら自分も守られなくても責められないだろうって気持ちになって際限なくダラけるループ。自分も守ってないくせに相手には自主性を期待して裏切られた気持ちになっちゃう。挙げ句の果てには自分のことは棚に上げて怒ったり。ルールのせいで空気悪くなってるよ。
そんな彼女が好き

そんな空気を打破したのは彼女のユニークな言い訳でした。例により、床に彼女の服が散乱してたので注意したら、「それは床に置いてるんじゃなくて床に服を着せてあげてる」と。なるほど。ハートフル。
他にも、ある日冷蔵庫を開けると一杯分のお茶の入ったポットと、それとは別にポットから移された複数のお茶の入ったコップが置いてありました。どういうことか彼女に尋ねてみると「ポットの最後の一杯を飲んだ人がお茶を作らないといけないから、先に自分の分だけコップに移しといた」と。なるほど。お前は一休さんかよ。小賢しすぎて面白いじゃないの。
ふざけんじゃねーよってイラつく人もきっといるだろうけど、僕は彼女のこういうところが好きで、もう良い意味で笑うしかない。笑ったら負けなんですよね。逆に彼女が家事をしない言い訳を聞きたくなっちゃう。こうなったらもうルールなんかあっても無くても同じようなもの。ていうか、彼女の頭みたいな柔軟さがあればもっと楽しく家事ができるかも。
雨降って地固まる的なあれ

公平な家事ルールを決めてもそれを守らないでい続けたら、その分だけ家の中はメチャクチャになっていく一方のはずなんだけど、実際にはそうはならず何とかなっていることに気付きます。ルールとか関係無く、相手に言われること無く自然に体が動いているんですよね。きっとそれは自分の得意なこと。逆に絶対に体が動かないものもある。
僕の場合は、トイレやお風呂の排水口の掃除は体が動きませんでした。汚れてきたら交代制で掃除するって決めてても触りたくないからやらない。でも、彼女は別にそんなことは無くて、僕がやらずに放っておいたらいつの間にか綺麗になっている。
逆に彼女の場合は、料理や台所回りのことはすごい積極的にやるのに、他は満遍なくしたがらない。僕は綺麗好きなので彼女の手抜き家事の粗が気になっちゃって自然にフォロー。こんな具合で自分の苦手なことが相手の得意なことだったらラッキー。何か相手のことを思いやっていたら自然に役割分担ができました。
あと、家事の中で一番面倒臭いのって僕は料理だと思っているんだけど、それを彼女が積極的にしてくれるのは本当にありがたい。美味しくて健康的なご飯を毎日食べるってのは、もう家事を超えて生きる上で一番大切なこと。僕の生殺与奪権を彼女が握っていると言っても過言じゃない。彼女すごすぎる。だから、彼女が料理をしてる時は僕も自然と何か目に付くことをやるようになりました。
よそはよそ、うちはうち

例外はあるけれど、相手が自分のために動いてくれてるんだから、自分も相手のために動こうって、今ではお互いに相手が何か家事をしていたら、その間に別の家事をするようになりました。相手が頑張ってる時に一人でダラダラするより、一緒に頑張ってその分だけ長く一緒にダラダラする方が楽しいもんね。相手のために家事をすると自分に返ってくる。だから、家事をする。僕たち二人だけの暗黙の了解。今のところ何かいい感じ。
最初からこんな感じで上手くいくのがベストなんだろうけど、僕たちはちょっと時間がかかってしまいました。初めての二人暮らしは分からないことだらけ。周りがこうだからとか、世間の同棲のイメージで生活してみても上手くいかないこともあります。二人暮らしの正解は一緒に楽しく生活することだけど、それを実現させるための正解は人それぞれ。二人暮らしは二人だけのもの。自分たちらしくありたいですね。