【二人暮らしの家 伊織庵】第1回 彼女が側にいるからきっと人生の問題の十割は解決してる
ツイッターで人気の伊織さんの連載がスタート!
ツイッターで彼女との日常を投稿し人気を博している伊織さん(@iorisanv)。ツイッターフォロワーが45万人を超え、彼女との日常を描くコミックス「僕の彼女は最高です!(1) (週刊少年マガジンコミックス)」(講談社)、書籍「伊織さんと彼女」(一迅社)が全国の書店にて好評発売中だ。
伊織さんのツイッターでは、イケメンな彼女のあんさんと伊織さんのやりとりをのぞきみることができる。
彼女が「キスしろよ」って壁ドンしてきたのがイケメンだったので僕も真似して彼女にしてみたら、両手首を掴まれ、そのまま通路の反対側の壁に押しやられて、「キスしてやるよ」ってさらにイケメンな対応でキスされた。キスさせるはずがキスしてもらうことになりました。彼氏としての自信を失いました。
— 伊織 6/7僕の彼女は最高です!6巻発売 (@iorisanv) May 24, 2014
僕「夕飯どうする?」
彼女「私、お前のこと好きじゃん」
僕「急に何?」
彼女「いいから黙って聞いて」
僕「うん」
彼女「こんなにお前のこと好きになってくれる人なんてもう現れないと思う。それくらい好きなの」
僕「うん」
彼女「私の気持ちちゃんと届いてる?」
僕「焼肉だね」
彼女「好きー!」— 伊織 6/7僕の彼女は最高です!6巻発売 (@iorisanv) August 25, 2019
これから同棲をしたいと思っている方、同棲をしたいと思っているけれどその一歩が踏み出せない方のために、今回から伊織さんに二人暮らしを始めたきっかけやエピソード、二人暮らしにまつわる想いを綴ってもらった。
第1回目は同棲のキッカケとこれまで二人で住んだアパートやマンションにまつわるエピソードを思い出してもらった。
同棲のきっかけはまさかの一言
捨てる神あれば拾う神あり。
元カノに振られるも彼女からの「私と付き合えばいいじゃん!きっと楽しいよ!」なんて告白で僕と彼女の恋人生活はトントン拍子に始まりました。
そして、付き合って間もない僕たちを待っていたのは新しい門出、大学進学。
思い立ったら即行動。やることなすこととにかく早い彼女は大学の始まる1ヶ月前には新しい物件を決めて一人暮らしをスタート。お呼ばれする僕。彼女のお母さんといきなりのエンカウント。そこで彼女の母さんから思いもよらぬ言葉が……。
「女の一人暮らしは不安だったから一緒に生活してくれる人がいてくれて安心だわ」
…ん?僕、この家で一緒に生活すると思われてる?え?ま?
こうして同棲生活もトントン拍子で始まりました。
健康的すぎる物件
急に決まった初めての同棲物件は、彼女のお父さんが決めた2K25畳のマンション。まるで僕が同棲することが決まっていたかのような悠々とした広さ。お互いの物を持ち込んでも全然余裕。
5階建ての最上階、日当たり良し、景色良し、彼女の手料理良し。シングルベッドで一緒に寝るのはちょっと狭いけど楽しい二人暮らし。炊飯器の使い方も知らない僕だったけど、歳の離れた弟がいるのもあって小学生の頃から家事をしていた彼女に教わりながら、少しずつ家のことができるようになりました。気分はもう新婚生活。幸せすぎる。同棲最高。
ただ、ここで問題が。最上階って夏になると暑いんです。それでもエアコンが効くから夏はまだいい。冬はもうめちゃくちゃに寒い。朝起きたら温度計が2℃を指してる。エアコンが効くのなんか待てない。石油ファンヒーター必須。だけど、ガソリンスタンドは家から遠い。それとこの物件エレベーターがないんです。だから、20Lの灯油を抱きかかえて階段を昇ってました。僕たちはサイクリングが趣味でちょっと良い自転車持っていたので、盗難防止のために家の中に置いていたんだけど、これももちろん担いで昇り降り。

さらにここは市街地から超遠い山の上。自転車で街まで遊びに出ると行きはスイスイ、帰りは地獄。電車だと交通費は一人1,000円オーバー。カラオケフリータイム500円が実質1,500円。気軽に遊びになんか出る気がしない。さすが彼女のお父さんが決めた物件。娘を街の誘惑から遠ざける名采配。いくら何でも色々と不便すぎでした。彼女と一緒なら不便も楽しいよ。でも、もう十分楽しんだ。こうして僕たちは更新を機に街へ引っ越すことに決めました。
ご近所さんの圧がすごい物件
はじめての自分たちの力だけでの物件探し。彼女が私に任せろと言うので任せてみたら市街地のど真ん中の新築マンションに決まりました。オートロックでエレベーター有り。自転車置き場に監視カメラ有り。お風呂もトイレも台所も素敵。近所にスーパー、コンビニ、ガソリンスタンドとこれまでの不便を一掃する超物件。ただし、1K6畳。さすが彼女といった感じの思い切りの良いチョイス。二人一緒なら部屋の広さなんて関係ないんだよね。分かるよ。でも、ベッドを置いて、ソファーを置いて、棚を置いて、机を置いて、テレビボードを置いてって足の踏み場はどこ?遊びに来た友達が廊下で縦に布団を並べて寝ているよ。

というわけで、これまで使っていた家具は友達にあげて、IKEAでソファーベッドやら家のサイズに合う家具を買い直しました。出費は大きかったけど、二人で一緒に選んだ家具に一新された統一感のある部屋はまるでIKEAのモデルルーム。狭くてもオシャレな家での新生活は、同棲をはじめた時のあのワクワク感を思い出させてくれました。
ここなら長く住める。ていうか、住みたい。そう思ってた僕たちにまたしても問題発生。朝から家の周辺で作業着姿の人たちが街を掃除してるんです。夜はとても静かでヤンキーなんか全然見かけないんです。それの何が問題なのかって?前からちょっと気になっていた、近所にある強面で屈強な人がよく出入りをしている監視カメラがうじゃうじゃ付いてるあの家。政治家でも住んでいるのかなって思ったらヤクザの総本部でした。綺麗に清掃されてるのもヤンキーがいないのもそういうこと。めちゃめちゃ治安良さそうに見えて本当は悪いやつ。次の更新が来たら絶対に引越してやる。
見えない敵がいる物件
大学卒業と同時に二回目のお引越し。これからは親の仕送りもなくなるし、本当の意味で自分たちの力だけ生活していく同棲。社会人になって自由に使えるお金は増えるけど、将来のことを考えて貯金はちゃんとしたいから家賃は抑えたい。でも、広くて綺麗で、台所が充実してて、風呂トイレ別の家に住みたい。そんな都合の良い物件どこかにないかなって簡単に見つかりました。
木造アパートのリフォーム物件。築は古いけど内装は綺麗で白が基調の2DK20畳。三度目の新生活はここに決めた。いきなり管理会社を装う悪質な訪問販売に騙されて、彼女がレンジフードフィルターを大量に買っちゃったりなんかしたけど、何かおかしいと思ってすぐにクーリングオフ。問題が起こったら二人で解決。同棲ってきっとそういうこと。不安な幕開けだったけど、逆に二人だけで生活することに自信が持てました。

部屋が広くなったので、新しく家具や緑を買い足してレイアウトにもこだわれるようになりました。Quality Of Lifeってやつ。あと、将来結婚することを見据えて、ちょっと背伸びしてお高だけど僕の趣味で長く使えるオシャレなデザイナーズ家具を買い足したり。それと一緒に並ぶ彼女のアニメやゲームのグッズはちょっと場違いだけど、ここは二人が一番長く時間を共有する場所だからお互いにとって居心地の良い空間じゃないとね。
からの実はカビの発生に細心の注意が必要な物件だったやつ。今までの家と同じ感覚で過ごしてたら、クローゼットの服たちがシーズンインする前にカビだらけ。台所の下、下駄箱、家具の裏、とにかく通気性の悪い場所は全部カビの温床。彼女が喘息持ちなのもあってすぐに空気清浄機を購入。やっとこさ人並みの空気が吸えるようになりました。
く、くおりてぃおぶらいふぅ…。
どこに住むかじゃなくて誰と住むか
こんな感じで、もう八年も付き合っている僕たち。理想の相手にはすぐに出会えたけど、理想の物件にはなかなか出会えないようです。
でも、こうやって思い返してみるとどの家での生活も本当に楽しかった。嫌な思い出も二人の思い出って考えると良い思い出になっちゃう。一番落ち着く場所で、一番落ち着く相手と楽しい日々を過ごす。そんな理想の生活はどんな家でも叶うものなのかもしれません。
同棲すごく良いですよ。皆もやっちゃえ。やっちゃえ。
次回は、こんな僕たちの仲良く楽しく同棲するためのルールを紹介したいと思います。