子供が自分で服を片付ける!?セルフ整理・収納の仕組み作り
子供が自主的にお片付けしてくれる!夢のような仕組み作りのコツとは?
子育てと家事に追われるママ・パパたちにとって、「子供が自分でするお片付け」は夢のような話。実は、自然とそうなるように仕掛けるコツがあるのをご存知だろうか?
1万7000人のインスタフォロワーを持つサチさんは、旦那様が単身赴任中ながら3人のお子さんを子育てしつつ、お家はシンプルかつ機能的に整えている無敵の整理収納アドバイザー。
子供の習性や癖に着眼し、子供が無理なく自分でできる整理術や子供を家事に巻き込む方法を、サチさんにお聞きした。

このページの目次
まずは子供が自分で洋服を管理をするための下準備!
幼い頃から片付けの習慣を
片付けの習慣は一朝一夕に身につかないからこそ、なるべく幼い頃から根気強く取り組むべきものだとサチさんは言う。
「親が片付けた方が絶対に早いけれど、習慣を育てるためには怒らずに根気強い声掛けが必要。幼児期は、まずはおもちゃを片付けるところから習慣づけを」
ちなみにサチさん宅では
- 子供が遊んでいる時は、遊びを止めない
- 食事やお風呂、寝る前など、次の行動に移る時に節目として片付けてもらう
というシンプルな2つのルールで、片付け習慣を身につけたそう。
「親には分らないけれど、子供には子供のタイミングがあります。あまり細かく区切ると、途中で止められたような気分で子供も不完全燃焼になるようです。食事や就寝など否応無しのタイミングなら、片付けのハードルも下がります」(サチさん)
次の行動に移る時は片付ける→なんとなく気分がいい&行動しやすいという感覚を育てることも大切なようだ。

適量よりも「適スペース」という考え方
子供服は知らぬ間に枚数がどんどん増えて、悩みの種になりがち。では子供服の適量は、一体どのくらいなのだろうか?
「枚数で考えたら、年齢や遊び方、幼稚園か保育園かでも違います。例えば保育園に通っている1〜2歳児なら、1日4〜5回お着替えすることもあり、ママが洗濯に追い立てられない程度の枚数を確保するのが基本」とサチさん。
そこで大事なのは、適量枚数よりも「適スペース」という考え方。
「チェスト1台分、引き出し3個分、という風に子供服の収納スペースを決めて、そこに収まる量を持つのがベストです。子供が小さいうちは、余裕があってスカスカかもしれませんが、小学校高学年くらいになると洋服のサイズが大きくなり、チェストぴったりになります。そのスペースから溢れないよう、成長とともに調整していけば適量を守れます」(サチさん)
適量は各家庭の広さや考え方によっても異なるもの。それぞれの家庭に合ったスペースで、家族が管理しやすい量に収めることを優先しよう。


精鋭部隊・スタメン服を決めよう
決めたスペースから子供服が溢れたり、ギュウギュウ詰めになってきたら……?
「たくさん持っていても、実際に着るのは決まった服が多いはず。だから洋服の精鋭部隊を決めるのがおすすめです。スタメンさえ決めておけば、あれもこれもキープしなくなり、枚数も自然に絞れます」(サチさん)
女の子なら買い物にも一緒に行き、本人に選ばせて購入するのも手。本人が選んだ方が無駄がなく、「自分で選んだ」という責任感も芽生えて、自己整理の感覚が育ちやすくなるのだそう。

子供の習性を理解した収納で、子供が自分で片付けるようになる!
進学を機に収納をステップアップさせる
サチさん宅では、幼稚園までは大きめの引き出し(奥行き74センチ)でサチさんがすべての洋服を管理。小学校入学と同時に個室のクローゼット内に衣類を移動し、自己管理を任せる形にしている。
「小学生の長男と二男は60センチ幅のクローゼット(120センチ幅を半分ずつ)を、中学生の長女は120センチ幅を1人で使い、自分で管理させています。洋服の管理は、実は子供にとって面倒で大変なこと。入学や進学などの自分でも成長を意識できるタイミングで大仕事を手渡すことで、頑張る気持ちにもなれます」(サチさん)
親の思いつきや模様替えのついでなど、こちら側のタイミングで制度を変えると、子供も“やらされ感”を感じやすい。「お兄さん・お姉さんになるから、やってみようか」と成長を刺激した提案をすれば、その気になってモチベーションもキープできる。

きっちり収納より、ざっくり「入れやすさ」を優先
小さな仕切りをたくさん作り、靴下や下着を一つひとつ収納させる方法など、細かな収納の方が子供には管理しすいのかと思いきや……
「正直、子供自身に洋服を収納するメリットはありません。きちんと畳んでしまわせたり、1足1足入れさせるなど、細かな作業をさせるのは子供の負担が増えて結局片付けなくなるだけ。ザックリと大きめのスペースを決めて、投げ込みOKくらいの大雑把さでないと、子供は自分からしまわないものだと考えましょう」とサチさん。
子供の行動の主軸は、あくまでも目的のために「出すこと」。「しまう」という作業をさせるには、細かなルールや面倒さがあるとハードルがさらに上がってしまう。
「私も何度も失敗したから言えることですが、子供目線で、楽に簡単にできる仕組みでないと自己管理は続きません。親がやってほしい片付けと、実際に子供ができる片付けには差があり、自分で片付けさせるには、子供ができる環境でないと難しいんです」(サチさん)

ひと目で分かるハンガー収納がGood!
クローゼットでの子供服の管理は、トップスもボトムスもそのほとんどをハンガーで収納しているサチさん宅。
「子供にとって管理のしやすさが最優先。畳ませたり、アイテム別に整理させたりせず、ほとんどの衣類をハンガーに掛けるだけにしています。Tシャツもズボンも手持ちの洋服が一目瞭然なので、子供も整理・管理しやすく、片付けもスムーズ」とサチさんは言う。
工夫しているのは、「ポールの高さ」と「ズボン用クリップ」。ポールは身長に合わせて2段取り付け、上にはオフシーズンの服を、子供でも手が届く下のポールにはオンシーズンの服を掛けておく。
「これだと季節の入れ替えも簡単。小学校高学年くらいになると、私が忘れていても自分で入れ替えてくれるようになりました(笑)」
さらに、ズボンはの収納には「フッククリップ」を活用。クリップタイプのズボンのハンガーも、クリップ1つとは目からウロコのテクニックだ。「ズボン専用のハンガーは落ちやすく、2箇所留めるのも面倒です。でもこのクリップだとサッと手早く掛けられて便利。大人にもおすすめです」(サチさん)



ちなみに洗濯物を取り込んだら、幼稚園まではサチさんが畳んで引き出しにしまっていたが、小学生以降は、「取り込んだまま洗濯干し場の近くにざっくり置いておきます。学校から帰ったら、ランドセルを置きにいくタイミングで部屋に運び、ハンガーに掛けたり、引き出しにしまうのは各自の仕事にしています」とのこと。
永遠に終わらない家事は、ママが一人で背追い込まず、上手に子供を巻き込んでいくことも大切。最初から完璧を求めずに、子供ができる範囲のことから任せていこう。
洋服の一時置き場でエコ感覚も養う
サチさん宅では、例えば帰宅して1時間しか着なかった服など、洗濯に出すほどではない使用済み洋服の行き場として、一時置き場を作っている。
「そこは朝起きたら子供たちがパジャマを入れる共通のカゴでもあるんですが、子供たちはそこで“まだ着られる洋服”を確認し、ローテーションに組み込んでいます」(サチさん)。


またサチさんは子供が幼い頃から「不要な洗濯は電気代や水道料金の無駄遣い」「洗濯物が増えるとお母さんが大変」と、かなり正直に情報開示して育ててきたのだそう。
「子供が小さければ小さいほど、自分の行動が省エネにつながるとか、母の役に立つことが素直に嬉しいらしく、率先して一時置きカゴに入れてくれました。子供も自分の行動の理由が分かった方が、動きやすいようです」とサチさん。
無駄を省きシンプルに生活すること、エコ感覚を養うことも大切な家庭教育の一環。子供自身が納得して行動できるように、理由や仕組みを日常的に伝えることも重要だ。
「子供が自分でするお片付け」は夢のような話ではない!
3人のお子さんの子育てをしながら、家を美しく・機能的に整えているサチさんのアドバイスは、どれもリアルで実践的。「何度も失敗を繰り返してきた」とサチさんが話す通り、それぞれの家庭や子供の性格によってもアプローチは違う。
皆さんもトライ&エラーを繰り返しながら、「我が家の方法」を模索して、子供が自分で片付ける力を身に付けさせよう。
教えてくれたのは?
サチさん(整理収納アドバイザー@鹿児島)
整理収納アドバイザー・整理収納教育士。旦那様は単身赴任中、ワンオペで3人の子供の子育てをしながら、個人宅での整理収納サポート作業、学校や企業からの依頼を受けての整理収納講座を実施。好きな言葉は「効率化」、苦手な言葉は「手間暇」。著書に『片づけ日和–快適な暮らしを実現させる仕組みづくり–(ワニブックス)』『50点家事–めまぐるしい毎日でも暮らしが回る–』(ワニブックス)などがある。
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Blog :http://iebiyori.blog.jp
取材・文=元井朋子
写真提供=サチさん