東急田園都市線・中央林間駅を歩く。~始発・終着駅探訪~
毎日座って通勤できる“始発駅”の魅力に迫る
一般的な会社員は、平日は毎日電車に乗って通勤している。
考えるだけで気が重くなる朝の満員電車に、ストレスを感じている人は多いことだろう。
そんな日々から、ストレスを取り除く方法。
幾つかの選択肢が挙げられるが、毎日座って通勤をすることができれば、どんなに楽になるだろうか。
最寄り駅が始発駅であれば、その願いは叶えることができる。
首都圏には多くの始発駅があるが、知名度が高い駅は少なく、その駅の周りはどのような街なのか知られていないことが多い。
一体どんな駅で、どんな街並みが広がっているのか。
今回は東急田園都市線の始発駅のひとつ「中央林間」を実際に見に行ってみた。
田園都市線の始発駅「中央林間」ってどんな街?
中央林間駅は、神奈川県大和市に位置する。
小田急江ノ島線と東急田園都市線が利用可能であり、新宿・渋谷へ40分程度でアクセスできる利便性からこの街には多くの人が住んでいるようだ。

2018年3月には駅直結の東急ストアがリニューアルオープン。多くのテナントが新たに入店し、この3階には大和市役所市民課出張所や中央林間図書館、子育て支援施設などの行政施設が新たに設置されたという。要するに、暮らしやすい街であることは確かであろう。

なお、田園都市線と小田急線の改札は少し離れているので、乗り換えの際には注意が必要かもしれない。

街を一通り見るため、ひとまずは中央口に降りてみた。
中央林間の中央口、ここには一体どんな街並みが広がっているのだろうか。

勝手な想像で申し訳ないが、中央林間という名の通り、この街には「林間」が多くあるのだろう。そう思って少し歩いてみたが、なぜだろう。一向に「林間」は見当たらない。

とはいえ、この駅に降り立った以上、どうしてもこの目で「林間」を見つけたい。そういう気持ちで街なかを歩き回っていると、ひときわ目立っていたものがいくつかあった。



パッと見、駅を降りた際は地味目な印象だったこの街だったが、よく見ると派手なものが多く見受けられることがわかった。
これはもしかしてもしかすると、「この街には林間なんてありません。林間みたいな地味なものはとうの昔に消し去ったのです。ゆえに、今はカラフルで派手なものがたくさんあるんです」という中央林間住民からのメッセージなのかもしれない。だとしたら、何か少し怖いものを感じる。

そんなことを思いながら、駅の北の方を散策していると、綺麗な桜が目に入った。

まさか桜までカラフルな色使いをしているわけ……と思ってよく見たが、ちゃんとピンク色の綺麗な花びらを咲かせていた。ちょっとだけホッとした。

あいにくこの日は休館日だったのだが、この建物は「つる舞の里歴史資料館」という資料館なのだとか。
かの有名な源義経がこの地を通ったときに鶴が舞うのを見たらしく、ゆえにこのエリアが「鶴間」という地名になったそうだ(諸説あり)。資料館はこのような伝説にあやかって「つる舞の里歴史資料館」と名づけられたという。
中ではこの辺りの歴史や、近くの月見野遺跡群で発見された多くの石器類や日本最古級の土器などを展示しているようだ。せっかくなので少し見たかった。

近くの空き地などで土器を探したい気持ちは山々だったが、もっと探さなくてはならないものがあったので諦めることにする。
探すべきものとは、そう、林間だ。この街から消えた林間を探さなくては帰ることはできない。

林間が無さ過ぎることにより、「この街に林間を見に来たのだって?! そんなものはとうの昔になくなったよ! 不思議なことを考えるやつもいるもんだねぇ…。ワハハ!」なんて住民が話しかけてくるのではないか、と錯覚状態になりつつあった。
なぜ林間をそこまで見たいのかわからなくなってきたが、とにかく今は前を進むことだけ考えるようにしよう。

ここで、一本の長い道を発見した。南に向かう道の突き当りにはなにがあるのだろう。

相模カンツリー倶楽部というこのゴルフ場は、関東地区でも10指に入る名門ゴルフ倶楽部だという。
林間がなかなか見当たらなかった中央林間だったが、もしかしてこのゴルフ場は昔、林間だったのではないだろうか。そういうことであれば、この状況に納得ができる。ゴルフ場を建設したおかげで、中央林間から林間が消えたのだ。であれば、町の名前もゴルフ場が建設された際に「中央」と変えれば良かったのに。
と思いにふけっていたが、よくよくネットを見てみると、中央林間は大正の終わりくらいに小田急が推進した『林間都市計画』の中心だったとのことだった。このゴルフ場も、その都市計画の一部だったらしい。要するに、当時の小田急の偉い人が「林間って名前、カッコよくね?」と思ったことからその名がついたのだろう。ゆえに、この街と林間はそこまで関係していなかった。

中央林間駅を降りた直後は「この街は林間ばかりの街なんだろうな」と思った。しかし、歩けば歩くだけこの街には林間はない。だがその分、他の魅力がたくさん見つかった。時間が許すならば隅々まで探索をしてみたいと思うほどである。
ちなみに、更にネットでよく調べてみると、中央林間駅近くには「多故記念公園」と「宇都宮記念公園」という、割と“林間”らしい公園が2つあるのだという。最初からネットで調べたら良かったと思ったが、それではこの街を深く探ろうとはしなかっただろう。多分、これでよかった。

今回はたまたま「中央林間駅」近辺を歩いたわけであるが、都内近郊の始発・終着駅はそれぞれの街に魅力がたくさんあると思う。連載が続くのであれば、これからも色々な始発・終着駅を見に行きたいと思う。

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文・写真=編集部