丁寧な暮らしをするための部屋選び。クリエイター・白水桃花さんに聞く、等身大の空間作り
クリエイターの白水桃花さんに聞く、丁寧な暮らしにするための部屋の探し方、作り方
「新しい生活にウキウキして、かわいい食器を買ってみた」「一人暮らしがちょっと寂しくて、お花を部屋に飾ってみた」。
「丁寧な暮らし」という言葉をたくさん聞くようになった最近。SNSではそれらに関するハッシュタグがついた投稿も多くなっている。
丁寧な暮らし、と聞いてどんな暮らしを思い浮かべるだろうか。こだわりのアイテムがあったり、綺麗に整頓されていたり、手作りの料理が食卓に並んでいたり……。
丁寧な暮らしを実践しているクリエイター・白水桃花さんのインスタグラムには、家でのおしゃれな写真たちがたくさん掲載されている。
かわいくレイアウトされたコスメ、季節のお花、統一された世界観……。憧れの「丁寧な暮らし」をするために何が必要なのか、お話を伺った。
お話を伺った人
白水桃花さん
1997年東京生まれ、茨城育ち。高校生のときに始めたiPhoneケースの販売をきっかけにデザインに興味を持ち、武蔵野美術大学に進学。大学2年の秋に中退しフリーランスに転身。現在は東京を拠点に、名刺や紙面のデザイン、アーティスト写真や商品の撮影、instagramのディレクション等幅広く活動中。

クリエイターの白水桃花さん
─── 部屋が本当にすっきりしていて、広いですね。
白水さん:見えるところに物を置かないように心がけています。なので、大きなクローゼットがある部屋っていうのは、部屋選びで大事な点でした。今の家に引っ越す前に住んでいた部屋はクローゼットが全くなかったので、大きなハンガーラックを購入し服などを収納していました。でも部屋に入ったら服が丸見えで、なんだか部屋が窮屈に感じて。
キッチンの収納もおしゃれだったけど、全部丸見えっていうカフェのような空間で。結局棚を買い足したり、部屋にもハンガーラックをはじめいろんな収納を揃えなおしたり。とってもおしゃれでしたが、正直住みづらかったです。

白で統一された白水さんの部屋
─── おしゃれと住みやすさは別ですもんね。他にも部屋を広く見せる工夫とかはされてますか?
白水さん:工夫ではないですが、ベッドが少し小さめだと思います。これも前の家の影響なんですが、部屋が狭かったのでそのときにセミシングルのショートサイズ(約850mm×1950mm)っていう、普通のベッド(約970mm×1950mm)より一回り小さいサイズに買い換えて。今もそれを使っているので、少し広く感じると思います。
─── レイアウトのこだわりはありますか?
白水さん:正直あまりないです(笑)。テレビの配線は固定されてしまうので、テレビ台の位置が決まればあとは自然に決まるというか……。でも、間取りはとても大事だと思います。
シンプルな長方形の部屋が一番いいと思っています。家具の配置も考えやすいし、難しくなることはないですよね。家具を長方形の部屋の端に揃えて配置して、わたしの場合は手で物を持って、壁紙を背景に写真を撮るのでそのスペースも確保しています。

窓際には、撮影で使用する白い板や布が置かれている
白水さん:日当たりの関係で、写真を撮るスペースが窓際にあるので、部屋に入ったときに奥に広がるような印象になっていると思います。たまたまなんですけど、それもあってすっきりした部屋になりました。
撮りたくなったタイミングで、撮りたいだけ写真を撮る
─── 常にこんなに綺麗な部屋だと、毎日素敵な写真が撮れる気がします。
白水さん:恥ずかしながら、毎日ちゃんとしているわけではありません(笑)もちろんインスタグラムに投稿している写真は、綺麗にしてからというか、ちゃんとセットして撮っているものも多いです。
そういうのって、「つくられた丁寧」という風に思われるかもしれないけど、自分が楽しく暮らしていく上で大事なことだったらいいと思います。

お気に入りのものが収納されているコーナー
─── たしかに。写真を撮るための片付けでも、立派な家事ですもんね。
白水さん:無理しないのが一番だと思うんです。私も忙しいときは、物が散らかっていたりするしコンビニ弁当を食べたりもする。
少し前に「丁寧に暮らす」というテーマで記事を書いたらそれが思いの外拡散されて、いろんな方にコメントをもらって。うれしかった一方で、部屋が少し散らかっている時に我に返ると、全然丁寧に暮らせてないなって落ち込みました。

花や白水さんの作品、お気に入りのアイテムが置かれている
白水さん:でも、しょうがないと思うようになりました。できるときだけちゃんとする。楽しんでやることで、綺麗な状態がキープされる人もいれば掃除する機会になる人もいる。きっと、丁寧な暮らしって人によって違うだろうし、写真で切り取った生活を続けることだけが丁寧な生活ではないと思うようになりました。
─── 丁寧に暮らすということを、無理せず続けられる方法で楽しむのが一番大切ですよね。
白水さん:さっきお話したとおり私は服が多いので、服を目につかないように収納できる部屋を選びました。自分の持ち物の中で一番多いものだったり、片付けるのが苦手なものを収納しやすい部屋を選ぶといいと思います。

季節にあった帽子やドライフラワーも飾られている
白水さん:たくさん物が目に見えるように収納されている空間でも、丁寧に暮らすことはできると思います。でも私は、常に整理整頓に気を配らなくちゃいけなくなって、気疲れしてしまう。服がむき出しになった前の家では、部屋も狭く感じるしあまりおしゃれに写真も撮れないし……。
自分の持ち物をちゃんと把握して暮らすことをイメージすると、写真が撮りたくなるような空間も作りやすいと思います。
季節を感じて、心豊かに過ごす
─── レイアウト以外で、心掛けていることはありますか?
白水さん:花を買うようになりました。昔はドライフラワーばかりだったんですが、少し前から生花を買うようにしています。

部屋に飾っている桜の花
白水さん:最近は桜を買ったんですが、最近花が咲いて。嬉しくてつい「咲いたよ〜!」って投稿しちゃいました。
投稿目的で買い始めたわけではないんですけど、週替りとかで違う花が家にあるとSNSで投稿したくなります。季節を感じるという点でもとても気に入っていますが、疲れたときの癒やしにもなります。特に、一人暮らしの人にはおすすめです。

チューリップが春を知らせる
丁寧な暮らしは、自分の理想に合った部屋選びから
丁寧に暮らすためには、アイテムを揃えただけじゃ足りない。自分の暮らしを紐解いて、どんな物が多くて、何が気分を左右するのかを理解するのが必要だ。
自分の理想の暮らしに一番近い部屋を見つけて、カスタマイズしていくことも、丁寧な暮らしの一つ。これから丁寧な暮らしを実践したいと考えている人は、自分にあった部屋選びから始めてみては?
文=Takanana
写真=編集部