賃貸物件の「原状回復」どこまで負担するの?床や壁など箇所別の具体例を紹介
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賃貸物件の原状回復に関する3つの注意点
ここからは、原状回復に関する注意点を3つご紹介する。比較的少ない費用で済むと思っていても、実際には想定外の高い費用を請求される可能性があるため、確認しておこう。
原状回復に関する注意点①:汚れや破損箇所が一部でも、大掛かりな修繕が必要な場合がある
例えば畳の場合は、たとえ大きく傷つけてしまったとしても、1枚だけ張り替えれば原状回復できる可能性が高い。しかしカーペットの場合、カーペット1枚を丸ごと交換しなければならないケースもある。
大掛かりな修繕が必要になると、その分修繕費用も高くなってしまうので注意しよう。
原状回復に関する注意点②:入居時に契約書の特約を確認する
物件によっては契約内容に「特約」がついている場合がある。通常は貸主負担となる範囲であっても、特約によって借主負担になっていることも多いのだ。
入居時に契約書の内容をよく確認し、極端に不利な条件が設けられていないかチェックしよう。不明な点は遠慮なく不動産会社の担当者に聞いてみて、契約前に解消しておくとよい。
原状回復に関する注意点③:入居時の汚れやキズは管理会社に共有する
物件に入居したら、まずは部屋の中をじっくり確認して、汚れやキズがある場合は管理会社に連絡しよう。自分に責任がないにもかかわらず、退去時に修繕するよう求められることがあるのだ。ほんのわずかなキズだったとしても、見つけた段階で管理会社に連絡することをおすすめする。
原状回復でのトラブルを防止するため、2020年に民法が改正
実際のところ、原状回復によるトラブルは頻繁に起きている。国民生活センターに寄せられる相談件数は年によって多少のばらつきはあるものの、年間約15,000件にものぼるのだ。
そこで、これらのトラブルを防止するため、2020年4月に民法が改正。入居者側に落ち度がない部分について、原状回復義務を負う必要がないことが明文化された。
賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年の変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
(【改正民法621条】賃借人の原状回復義務 より)
また、先に紹介した国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、原状回復費用の負担義務が大家さんと入居者のどちらになるのか、具体的な事例を交えて説明が記載されている。賃貸契約の内容や退去費用について疑問が生じたときに確認することをおすすめする。
賃貸物件の原状回復を理解して賃貸契約をしよう!
原状回復は一定のルールに沿って行われるが、場合によっては物件独自の特約によって進められることがある。気持ちよく引越しをするためにも、気になる点があれば賃貸契約書を読み直し、わからない場合は管理会社に聞くといった対策を取るようにしよう。
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文=播磨谷拓巳/ノオト
2021年8月加筆=CHINTAI情報局編集部