【2022年最新版】Netflix(ネットフリックス)おすすめ映画40選を映画ライターが解説!
Netflixが、ますますスゴいことになっている。今年は2011年にテレビ放送され熱狂的な支持を得たアニメ『TIGER & BUNNY』の完全新作がオリジナルシリーズとして配信スタート。『気象庁の人々:社内恋愛は予測不能?!』や『39歳』などの韓国製ドラマも大人気だ。今後も日本のマンガ『ONE PIECE』や『幽☆遊☆白書』の実写ドラマ版の配信も予定されているなど、他の追随を許さない強力なコンテンツを多数提供している。
この記事では、今年配信開始の作品に限定した、おすすめの映画を40作品、ジャンルに分けて紹介しよう。
動画配信サービス「Netflix」の魅力とは
Netflixが他の配信サイトに比べ優れているのは、やはりコンテンツの強さ。オリジナル作品がアカデミー賞にノミネートや受賞も果たすなど、傑作映画が続々と生まれている。
世界中で熱狂を巻き起こした『ストレンジャー・シングス』や『イカゲーム』などドラマ作品も充実しており、「ここでしか見られない超ハイクオリティの作品がある」ということは大きなメリットだ。オリジナル作でなくても、話題を集めた大作映画も早めに視聴可能になることが多い。
Netflixで配信されている作品のほとんどは、副音声や字幕が個別に制作されている。
他の配信サービスでは日本映画やアニメシリーズで字幕がついていないことが多い。一方のNetflixは幅広い言語に向けて字幕が用意されていることが多いので、語学学習にも役に立つだろう。
動画配信サービス「Netflix」の料金は3種類
Netflixの月額料金プランはベーシックプランの990円、スタンダードプランの1,490円、プレミアムプランの1,980円という3種類(いずれも税込)。
それぞれ画質や別々の機器での同時視聴可能数が異なるので、自身に合った料金プランを選ぶのが良いだろう。それ以外の追加料金は一切かからず、シンプルに見放題のコンテンツだけを楽しめるというのもメリットだ。
気軽に利用できる金額になっているため、まずは試してみてほしい。
この記事で紹介している映画
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大スケールの世界観を体感できる大作映画2選!
1:『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021)
2:『レミニセンス』(2021)
ド迫力なオリジナルアクション映画5選!
3:『アダム&アダム』(2022)
4:『グレイマン』(2022)
5:『カーター』(2022)
6:『オーヴァーロード』(2018)
7:『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)
過激さも含めて笑えて意外な感動もあるコメディ映画5選!
8:『デイ・シフト』(2022)
9:『ミー・タイム』(2022)
10:『目指せメタルロード』(2022)
11:『インスタント・ファミリー ~本当の家族見つけました~』(2018)
12:『グッド・ボーイズ』(2019)
一筋縄ではいかないオリジナルラブストーリー映画3選!
13:『桜のような僕の恋人』(2022)
14:『パープル・ハート』(2022)
15:『2つの人生が教えてくれること』(2022)
次のページで紹介している映画
シンプルかつ尖ったアイデアが面白いサスペンス映画6選!
16:『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』(2021)
17:『エグゼクティブ・デシジョン』(1996)
18:『アイ・ケイム・バイ』(2022)
19:『残り火』(2022)
20:『モンタナの目撃者』(2019)
21:『崖っぷちの男』(2012)
家族で一緒に楽しめるアニメ映画6選!
22:『アポロ10号 1/2: 宇宙時代のアドベンチャー』(2022)
23:『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(2020)
24:『クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』(2021)
25:『バブル』(2022)
26:『ジェイコブと海の怪物』(2022)
27:『雨を告げる漂流団地』(2022)(9月16日より配信)
社会的な問題を背景としたドラマ映画7選!
28:『その瞳に映るのは』(2022)
29:『サンドラの小さな家』(2020)
30:『薬の神じゃない!』(2018)
31:『イン・ザ・ハイツ』(2021)
32:『MINAMATA-ミナマタ-』(2020)
33:『キーパー ある兵士の奇跡』(2018)
34:『ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日』(2018)
強烈なインパクトのある&一風変わった日本映画6選!
35:『累-かさね-』(2018)
36:『星の子』(2020)
37:『屍人荘の殺人』(2019)
38:『スパイの妻 劇場版』(2021)
39:『人数の町』(2020)
40:『恋する寄生虫』(2021)
※作品の年齢制限はNetflixなど配信サイトの表記を参考にしていますが、視聴前に公式の指定をご確認ください
※こちらの記事は2021年4月に公開した記事を2022年9月に更新しました
大スケールの世界観を体感できる大作映画2選!
まずはスケール感のある大作映画3作を紹介しよう。なるべく大きな画面で、作品内世界へ没入できる環境で観ていただきたい。
1:『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021)※13+
第94回アカデミー賞にて最多となる6部門(撮影賞、視覚効果賞、作曲賞、音響賞、編集賞、美術賞)を受賞したSF大作だ。基本的な物語は、1人の少年が逃亡するも英雄へと成長していくという王道の「貴種流離譚」。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は本作を心理スリラー、アドベンチャー、戦争、ラブストーリーでもあるとも語っており、SF以外のジャンルもたくさん盛り込まれた贅沢な内容になっていた。
中世を思わせる建築物、過酷な環境で生きていることを物語る衣装など、一見するとストイックであるがリアリティを持たせた世界観も魅力的。原作小説は『風の谷のナウシカ』や『スター・ウォーズ』にも影響を与えたことでも知られており、劇中の「サンドワーム」は「王蟲」を強く連想させることも面白い。序盤は固有名詞が多く、政治的な対立関係がやや複雑に思えるかもしれないので、公式サイトなどで軽く予習をしてから観るのもおすすめだ。
『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021)の情報
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:ティモテ・シャラメ、レベッカ・ファーガソン、オスカー・アイザック ほか
2時間35分
2:『レミニセンス』(2021)※PG12
記憶を追体験させる仕事に就く男の元に、謎めいた美女が訪れることから始まるサスペンスだ。主人公は美女に執着をしすぎることもあって決して褒められたような人間ではないが、だからこその危うい旅路にハラハラし、その成長を見届けるような感動がある。ヒュー・ジャックマンの肉体が存分に活かされた格闘シーンも見所だ。
「水没しかけている街」という終末感漂う光景は退廃的かつ美しく、海面上にある線路を列車が進んでいく『千と千尋の神隠し』(2001)のオマージュも面白い。終わりを迎えようとしている世界で、誰もが未来への希望を持てないでいるからこそ、過去の記憶を追体験する商売が成り立つという説得力がある。物語の主軸は「過去に耽溺すること」である一方で、物語からは希望を訴えたメッセージが伝わってくる。先の見えないコロナ禍の今こそ響く方は多いはずだ。
『レミニセンス』(2021)の情報
監督:リサ・ジョイ
出演:ヒュー・ジャックマン、レベッカ・ファーガソン、タンディウェ・ニュートン ほか
1時間55分
ド迫力なオリジナルアクション映画5選!
続いて紹介するのは、できる限り大画面で観るべき、ド迫力のアクションが拝める5作。圧倒的なエンタメ性でグイグイ惹きつける、また刺激的な内容を求める方におすすめだ。
3:『アダム&アダム』(2022)※13+
肩肘を張らずに楽しめる「ちょうどいい」SFアクションを観たい方におすすめの作品だ。物語は2050年から2022年へとタイムスリップした男が、いじめられっ子だった12歳の自分に出会い、共に時空を超えた冒険を繰り広げるというもの。カッコいい未来兵器などあっと驚くアイディアが満載なので、子どももワクワクしながら楽しめるだろう。
それでいて、思いがけない出来事を経て亡き父親と向き合い、人生の意義を見つけていくというドラマは、酸いも甘いも噛み分けた大人こそがグッと来るはず。異端のヒーロー『デッドプール』を演じたことでも躍進を遂げたライアン・レイノルズと、怒りの力で変身するヒーロー『ハルク』でおなじみのマーク・ラファロが親子を演じていることも、アメコミ映画ファンにとっては嬉しいポイントだ。
『アダム&アダム』(2022)の情報
監督:ショーン・レヴィ
出演:ライアン・レイノルズ、マーク・ラファロ、ジェニファー・ガーナー ほか
1時間46分
4:『グレイマン』(2022)※13+
Netflix史上最高となる2億ドル(約276億円)の製作費がかけられた大作だ。『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)のルッソ兄弟監督らしくアクションの舞台立てや見せ方は洗練されている一方、笑ってしまうほどに大スケールな大破壊が起こるザ・派手な内容となっていた。特にプラハの街で起こる出来事は、一手を誤れば即死のハラハラ感はもとより、良い意味でのムチャクチャさも含めて大いに楽しめるはずだ。
物語はライアン・ゴズリング演じる凄腕暗殺者が、CIAから狙われながらも少女を守ろうと奮闘するというシンプルなもの。正義のヒーローのキャプテン・アメリカ役でもお馴染みの俳優クリス・エヴァンスが、今回は制御不能な最悪の敵として立ちはだかるのも見所だ。その内向的な主人公と、彼を慕う少女や、サイコな敵との関係性から『レオン』(1994)を思い出す方もいるだろう。
『グレイマン』(2022)の情報
監督:ジョー・ルッソ、 アンソニー・ルッソ
出演:ライアン・ゴズリング、クリス・エヴァンス、アナ・デ・アルマス ほか
2時間9分
5:『カーター』(2022)※R18+
特徴は「全編擬似ワンカット(実際はカットを割っているが編集で繋がって見えるようにしている)」で、リアルタイムの冒険とアクションをひたすらに追っていく内容であること。物語は「記憶喪失の男が少女の救出に挑む」とシンプルで、コロナ禍の世相も反映したであろう危険なウイルスの脅威もわずかに描かれている。R15+指定相当のバイオレンスな描写もふんだんにあり、スピーディなアクションが2時間14分に渡って矢継ぎ早に連続するというカロリー高めな内容になっていた。
チョン・ビョンギル監督は『悪女 AKUJO』(2018)でも信じられないほどダイナミックなアクション描写で話題を集めていたが、今回も「どうやって撮ったの?」と驚くばかりのカメラワークのアクションがてんこ盛り。良くも悪くもトンデモ色が強く、あまりのハイテンションぶりに疲れてしまうこともあってか世間的な評価は賛否両論だが、このアクションの密度と凄まじさは一見の価値が絶対にある。
『カーター』(2022)の情報
監督:チョン・ビョンギル
出演:チュウォン、イ・ソンジェ、チョン・ソリ ほか
2時間14分
6:『オーヴァーロード』(2018)※R18+
舞台は第2次世界大戦下の1944年6月、ノルマンディー上陸作戦が開始された直後のフランスの村。米軍の落下傘部隊が激戦を乗り越え、ナチスの要塞となった教会の塔に潜り込む……という、それだけを聞くとシリアスに思えるあらすじだが、実際は「ナチスのヤバい実験により生まれたバケモノと戦って巨大な陰謀を阻止する」という、いかにもB級な素材を生かした内容となっている。戦況は深刻かつグロテスクなシーンも多数あるものの、どこかコミカルな味わいもあり、そこまで重くないノリでテンポ良く展開するため、この手の娯楽性特化のホラーが好きな方はニコニコしながら楽しめるだろう。
劇中のアイディアの数々がB級であっても、A級のスタッフたちが本気で作り上げていることが何よりも重要だ。最初からの見せ場から「体感型アトラクション」のような迫力があり、終盤は次から次へとピンチが襲いくるサービス精神の旺盛さも嬉しい。さらには戦争の悲惨さを訴える志の高さも垣間見える。多数のエンタメ超大作を手がけるJ・J・エイブラムス、彼がプロデューサーを務めた作品は信頼できる!と心から思える一作だ。
『オーヴァーロード』(2018)の情報
監督:ジュリアス・エイヴァリー
出演:ジョヴァン・アデポ、ワイアット・ラッセル、ピルー・アスベック ほか
1時間50分
7:『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)※R16+
「スーサイド・スクワッド(自殺部隊)」と呼ばれる、悪党だらけのチームの戦いを描いた、アメリカン・コミック原作のアクション映画だ。2016年の『スーサイド・スクワッド』と一部キャラクターは共通しているものの物語は独立しており、他の映画との繋がりもほぼ無い。アメコミ映画を全く観たことがない方でも楽しめる……のだが、そこは堂々のR16+指定、グロテスクな描写がダメという方には全くおすすめできない。
主人公たちが所属するチームは、その名の通り自殺行為以外の何物でもない作戦に強制的に参加させられる上、彼ら自身も「殺人第一」とばかりに敵を積極的に殺害していくため、死体の数が通常の映画の50倍くらいまで膨れ上がっていく。それだけだとインモラル極まりないはずなのだが、実は社会から見捨てられた人たちが自己実現していく様や、世界にはびこる悪意に立ち向かう精神性の尊さも訴えられており、グロさとギャップのある感動のドラマも大きな魅力となっていた。味方となる「サメ人間」がめちゃくちゃキュートで萌え萌えになれるのも見所だ。なお、4月15日よりU-NEXTでは本作のスピンオフドラマ『ピースメイカー』の独占見放題配信がされている(全8話)。
『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)の情報
監督:ジェームズ・ガン
出演:マーゴット・ロビー、イドリス・エルバ、ジョン・シナ、ジョエル・キナマン ほか
2時間12分
Netflixで『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』を観る
過激さも含めて笑えて意外な感動もあるコメディ映画5選!
ここからは、コメディ映画5作を紹介。いずれも別ベクトルで過激な内容だが、それも含めて笑い飛ばせるオトナにおすすめだ。
8:『デイ・シフト』(2022)※R18+
ヴァンパイアハンターの父親が娘の為に大金が必要になって危険な仕事に挑むという、アクション・ホラー・コメディを全て盛り込んだような1作だ。初めから中国雑技団のように身体を見事に曲げて動かす老婆の吸血鬼とのバトルに笑ってしまうし、『ジョン・ウィック』(2015)(同じくNetflixで配信中)のチャド・スタエルスキが製作を務めたこともあって、スタイリッシュなアクションの数々を大いに楽しめる内容となっている。
残酷描写もあるが、カラッと明るい雰囲気もあるためそれほど後に残らなかった。生真面目だがヘタレな事務員の青年との凸凹コンビぶりも楽しいし、家族愛の要素も程よく盛り込まれているなど、全方位的に娯楽作としてサービス精神満点な内容となっている。タイトルの意味は「日勤」で、それは普通の映画であれば夜に戦うヴァンパイアを、日中わざわざ屋内で倒しに行くという皮肉なのだろう。
『デイ・シフト』(2022)の情報
監督:J・J・ペリー
出演:ジェイミー・フォックス、デイヴ・フランコ、ナターシャ・リュー・ボルディッゾ ほか
1時間54分
9:『ミー・タイム』(2022)※R16+
専業主夫の40代の男性が、相手のバカな振る舞いのために疎遠になっていた親友と久しぶりに再会して「自分時間」を過ごそうとする……というプロットのコメディ映画だ。下ネタや性の話題にあけすけで、時にはとんでもない傷を負ったり、モラル的には完全にアウトな「復讐」をしたりする、ややエグめなギャグに振り切った内容となっていた。
俗に言うパーティーピープルたちが、コロナ禍の鬱憤を晴らすかのようにどんちゃん騒ぎをする様も好みが分かれるだろうが、それらとは少し一線を置いて「親友のことは大切だけど、そのいいかげんさにウンザリしている」主人公に感情移入できる方は多いはず。専業主夫としての社会的な立ち位置や、息子への関わり方や周りとの人間関係を見つめ直す場面も多く、基本的には何も考えずに楽しめる娯楽作ながら、しっかり現実にフィードバックできる学びがあるのも良いところだ。
『ミー・タイム』(2022)の情報
監督:ジョン・ハンバーグ
出演:ケヴィン・ハート、マーク・ウォールバーグ、レジーナ・ホール ほか
1時間44分
10:『目指せメタルロード』(2022)※R16+
メタルバンドを組んだ2人の少年が、コンテストでの優勝を目指すという音楽映画だ。彼らが初っ端にぶつかる難題は、ベーシストとなるメンバーがいないこと。チェロを弾くはぐれものの少女と知り合えたのはよかったが、親友だったはずの二人は彼女をめぐって対立を始めてしまう。かけがえのない親友との関係、夢中になっているものを通じた自己実現、そしてコンテストというクライマックスに向けての切磋琢磨など青春物語の「王道」と言える要素が揃っているので、メタルを全く知らなくても楽しめるだろう。
多少の性的な話題も含む、思春期ならではの悩みが繊細かつリアルに綴られているだけでなく、意外なカーチェイスや脱出ミッション(?)などのエンタメ要素が盛り盛りなのも嬉しい。ちょっぴり切ない若者たちのドラマと、清々しい気持ちで観終えることができる映画を期待する方におすすめだ。なお、脚本を務めたのはドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のプロデューサー、D・B・ワイス。ワイスは、数多くの賞に輝くSF小説『三体』のNetflixドラマシリーズを手がけることも発表されている。
『目指せメタルロード』(2022)の情報
監督:ピーター・ソレット
出演:ジェイデン・マーテル、アイシス・ヘインズワース、エイドリアン・グリーンスミス ほか
1時間38分
11:『インスタント・ファミリー ~本当の家族見つけました~』(2018)※PG12
知る人ぞ知る名作として高い評価を得ている1作であり、ショーン・アンダース監督が自身の里親体験をもとに描いた実話ものだ。物語は、リフォーム会社を経営する夫婦が1人だけ引き取るつもりで養子の候補となる子どもたちと出会い、成り行きで一気に3人の里親になってしまうというもの。夫婦は癇癪もちの女の子、泣き虫の男の子の面倒だけでなく、15歳という難しい年頃の女の子の悩みにも向き合い、しかも服役中の実の母が出所するという事実にも直面するのだ。
子育ての苦労は「あるある」と思えるもので、その七転八倒ぶりにクスクスと笑えるというわけだが、養子を迎える里親と孤児たちそれぞれの複雑または深刻な事情も垣間見える、真摯に向き合うべき問題もわかってくる。それまで子どもを持たなかった夫婦が、時には社会的な規範をも度外視した「やり過ぎ」な行動も含め、子どもたちのために全身全霊で問題に立ち向かう姿にも感動があった。多幸感に溢れたクライマックスとラストまで、ぜひ見届けてほしい。
『インスタント・ファミリー ~本当の家族見つけました~』(2018)の情報
監督・共同脚本:ショーン・アンダース
出演:マーク・ウォールバーグ、ローズ・バーン、オクタヴィア・スペンサー ほか
1時間59分
12:『グッド・ボーイズ』(2019)※R16+
小学6年生の少年たちが「初キスパーティ」に誘われるも、肝心のキスの仕方が分からないので独自にリサーチを開始する……という、それだけを聞くとかわいらしくも思えるあらすじだが、実際はエグめの下ネタや不謹慎なギャグがてんこ盛りで、子どもが主人公なのに子どもは観ちゃダメな作品。父親の大事なドローンを壊してしまったため遠く離れた隣町のショッピングモールまで新品を買う旅に出るという、『スタンド・バイ・ミー』(1986)的な冒険も楽しめる内容となっている。
徹底しておバカなコメディのようで、くだらないギャグがちゃんと伏線として回収されたりもするし、思春期手前の少年の成長物語にはウルっと来る。それでいて、「キスをする前にはちゃんと相手の同意を得ろ!」「女性にスカンクという表現を使うなんて許せない!」というセリフがあるなど一定のモラルが保たれていて、無理してイキがるような「男らしさ」などよりも「なりたい自分」を目指すという多様性への投げかけも含んでいるという、堅実に作られた内容だ。『ルーム』(2015)や『ワンダー 君は太陽』(2017)などの子役ジェイコブ・トレンブレイを筆頭に子どもたちが可愛らしくて演技もうまく、だからこその「性的な話題の知ったかぶりをする」ギャグがなんともおかしくって仕方のない快作だ。
『グッド・ボーイズ』(2019)の情報
監督:ジーン・スタプニツキー
出演:ジェイコブ・トレンブレイ、キース・L・ウィリアムズ、ブレイディ・ヌーン ほか
1時間29分
一筋縄ではいかないオリジナルラブストーリー映画3選
ここからは、良い意味で定型の設定から外れたラブストーリー映画を3作紹介。一筋縄ではいかない多層的な構造を持つ作品だからこそ、思い入れができる方も多いはずだ。
13:『桜のような僕の恋人』(2022)※13+
同名の小説を原作とした、いわゆる「難病もの」「余命宣告もの」の日本映画だ。カメラマン志望の青年が美容院の女性に恋をするのだが、彼女は人の何十倍も早く老いていく病気を発症してしまう。序盤で幸せそうなカップルの幸せな日々や、一度は諦めた夢へと再び歩んでいく様など前向きな未来への展望が描かれているからこそ、わずかな期間で老い死に至る病という現実が残酷なまでに際立つようになっている。
特徴的なのは、中盤からヒロインが主人公と「会わない」選択をすることだろう。主人公はどんな時の彼女も綺麗だと言う裏表のなさそうな好青年であり、すぐに老いてしまう自分を見せるべきではないと彼女が「思い込んでいた」ことにも納得ができる。その切なく苦しい選択からたどり着く結論からは、後悔をしないよう、大切な人との時間を生きるためのヒントを得られるだろう。純粋な恋心がちょっと行き過ぎてしまう中島健人、言いたいことをハッキリと言うタイプの松本穂香の、完璧なほどのハマりぶりにも注目だ。
『桜のような僕の恋人』(2022)の情報
監督:深川栄洋
出演:中島健人、松本穂香、永山絢斗 ほか
2時間9分
14:『パープル・ハート』(2022)※13+
シンガーソングライターを夢見る女性と海兵隊員の男性が、軍からの給付金を目当てに「偽装結婚」をすることが物語の発端だ。利害が一致したから結婚したにすぎない2人の関係がどのように変化し、お互いの気持ちが揺れ動いていくのかが大きな見所。アメリカの保険制度や戦争にまつわるシビアな問題もつぶさに作劇に反映されていた。
主人公の女性は女性蔑視や人種差別的な言動があれば、物怖じすることなく意見を申し立てる性格の持ち主。対して男性は拭い去れない過ちを犯した過去があり、父親とも険悪なムードがあるなど悩みを抱えている。経済的な悩みを抱えていた以外ではまさに正反対とも言える2人であるが、なんだかんだでお似合いにも見えてくるし、喧嘩する様も含めてどんどん距離を縮めて言っているように見えるのが面白い。
『パープル・ハート』(2022)の情報
監督:エリザベス・アレン・ローゼンバウム
出演:ソフィア・カーソン、ニコラス・ガリツィン、チョーズン・ジェイコブズ ほか
2時間2分
15:『2つの人生が教えてくれること』(2022)※13+
大学の卒業式の夜に妊娠検査薬を使った女性の、「妊娠していた場合」と「妊娠していなかった場合」という2つの人生の分かれ道を、同時進行で追って行く内容だ。それぞれでファッションや人間関係などがガラリと変わっていき、前者は仕事上の壁にぶつかる様、後者は妊娠のためにキャリアを後回しにした辛さなどが描かれる。そして、選んだ相手が違っていても、恋愛に悩むことはどちらの人生でも共通していた。
主人公はアニメーターを志す女性であるという設定で、、描かれた絵が物語の状況を示すなど、重要な役割を担っている。そして、どちらの人生でも彼女の創作意欲は変わらない、もっと言えば「人生は”遠回り”しても大丈夫」という、全ての人に通ずる人生訓を教えてくれていた。
『2つの人生が教えてくれること』(2022)の情報
監督:ワヌリ・カヒウ
出演:リリ・ラインハート、ダニー・ラミレス、デヴィッド・コレンスウェット ほか
1時間51分
次のページでは、エンタメ性抜群のサスペンス映画などNetflixのおすすめ映画後半を一挙紹介!