【一人暮らしのテレワークインテリア】インテリアコーディネーターがお悩み解決!
小さな工夫で働きやすいテレワーク環境を! インテリアコーディネーターが具体的な間取りで解説

以前は聞き慣れなかった「テレワーク」「リモートワーク」「WEB会議」といった言葉もすっかり定着し、今では当たり前に自宅で仕事に励む人が増えた。
急ごしらえで整えたワークスペースで「集中できない」「仕事がしづらい」と感じている人もいるかもしれないが、新品や既存の家具にかかわらず、ちょっとした工夫でもっと使いやすくなる。
コロナ後も続くといわれる「家」と「オフィス」のハイブリッドな働き方を快適にするために、インテリアコーディネーターのMAKOさんに一人暮らしのテレワークのインテリアのポイントを聞いた。
このページの目次
テレワークのお悩み解決! 一人暮らしのおうち仕事に多い3大お悩み
これまで当たり前だったオフィスでの仕事環境が自宅に変わり、思いがけないメリット・デメリットに驚いた人もいるだろう。
まずは、テレワークで顕在化したお悩みに、インテリアの側面からアプローチしてみる。
【お悩み①】「仕事に集中できない」の原因と解決方法

デスクやテーブルなどを壁面に向かうように設置すると、「つい時間を費やしてしまうもの」から物理的に視野が外れるため、否応なく仕事モードになる。ただデスクを壁面に向けると手元が暗くなりがちなので、必要なら照明器具をプラスしよう。
アロマの香りや音楽を上手に取り入れるのも、一人暮らしならではの集中力アップの方法。
ミント系の香りは集中力アップ、柑橘系は気分転換など、目的に応じた香りを使い分けるといい。
わざわざディフューザーを購入しなくても、オイルを含ませたティッシュを置くだけでも十分だ。
【お悩み②】「仕事とプライベートが切り替えられない」の原因と解決方法

テレワーク導入で通勤のストレスから解放され、時間が有効に使えるようになった反面、仕事とプライベートの切り替えが難しいという問題に直面している人は多いはず。
このお悩みも、できるだけ「仕事」と「プライベート」を物理的かつ視覚的に切り離すことが重要になる。
「そんなスペースはない」という人は、ロールスクリーンや簡単なパーテーション、つっぱり棒に布をかけるだけでも心理的に切り分けができる。
背の高い観葉植物を置いたり、双方向から使える棚などを置いてもいいだろう。
リフレッシュのためのコーヒーやお菓子なども、あえてデスク周りに用意しておこう。
コーヒーを淹れる度にキッチンに行くのでは、自分からプライベート空間に足を踏み入れ、境界線をあいまいにしているようなものだ。
また仕事スペースにはお気に入りのグッズで揃えるなど、その空間を居心地よくするとモチベーションがアップする。
お金をかけずに仕事環境を整えることも大切だが、例えば「このイスで仕事をしている自分っていいな」と思えるような家具を揃えたり、自分のやる気を刺激できるようなグッズを奮発してみることも時には必要。
それによってテレワークが少しでも楽しく・前向きになれれば、長い目で見てお得な買い物になるだろう。
【お悩み③】「WEB会議で部屋をきれいに見せたい」の原因と解決方法

可能であれば、映り込む背面を壁面にするのがベストだ。扉や入り口が映り込むと、人の出入りが見えて落ち着かないうえ、ドアが開いて奥が見えてしまうこともある。
逆に素っ気ない壁が気になるのであれば、植物を置いたりアートを飾れば立派な背景ができあがる。
普段のインテリアにアートや植物が不要なら、会議用にパーテーションを用意してもいいだろう。
今は突っ張り棒式のパーテーションなどもあり、賃貸物件でも気軽に取り付けられるうえ、収納付きパーテーションなら飾り棚や収納としても使える。
パーテーションは、ワークスペースと居住スペースを分ける役割もするので、さまざまな悩みを解決する糸口になる。
また、WEB会議での印象をよくするために、机周辺に鏡を置くのもオススメだ。
テレワークが長くなると、人と直接会う機会も減り、身だしなみへの気遣いが減ってしまったり表情筋が衰えたりする。
WEB会議などの際には、鏡の前で身だしなみのチェックや顔の筋肉の準備体操をして、多少大袈裟に表情を作るように心掛けると印象がよくなる。
テレワークインテリア作りの基本知識
一人暮らしの部屋はコンパクトな造り多く、新たな家具やアイテムを導入するのも迷ってしまう。
しかし想像以上に長引くコロナの影響を受け、そろそろ本腰を入れてテレワーク環境を考えるにはよい機会かもしれない。
ここからは、デスク・イス・収納の選び方やアレンジ方法を紹介する。
おうち仕事の重要な相棒! 最適なデスクサイズの目安は?
新たなデスク購入を考えているなら、奥行き60cm×幅120cm程度あればデスクトップPCとA4サイズの資料も余裕で見られる。
ただ賃貸物件の1ルームで「そんなスペースは無理」という場合、奥行き40〜45cm×幅100cmでも十分。
ちなみに多くのクローゼットの奥行きはこの深さなので、横幅を調整すればクローゼットの中にワークスペースを収めることも可能だ。
奥行きが浅くコンパクトなデスクが見つけにくい時は、「コンソール・テーブル」というキーワードで探してみよう。
コンソール・テーブルは主にヨーロッパなどのリビングで使われる装飾用の細長い棚だが、シンプルなデザインで様々なサイズが出回っているので、部屋の広さに合わせたデスク用の一台が見つかるはずだ。
コンソールテーブルの中には天板が高いものもあるが、昇降式タイプのイスを選べば高さを合わせられる。できればPCに手を置いた時に、肘が90度になる高さに設定しよう。
快適な仕事はイスで決まる! ベストなイスの選び方
快適なイスはテーブルとの相性で決まる。
日本人であればデスクと座面の差尺が27〜30cmであれば最適といわれている。
他には、例えば横幅が広いタイプのデスクならキャスター付きの方が移動できるので使いやすい。
ただし毛足の長いラグやカーペットを敷いている場合は、キャスターに絡まるので注意が必要だ。
またイスのサイズよりキャスターの幅が大きいと、安定感はあるものの無骨な印象になる可能性も。
購入する際は部屋とのバランスを見て決めよう。
アーロンチェアのようにしっかりアームがついたものも魅力的だが、手狭な部屋には少し荷が重い。
「デスクの中に収納できない」「イスだけがオフィスっぽくて浮いている」ということになりかねないので、自宅用ならアームはなく背もたれも薄いタイプで十分だろう。
既存のローテーブルをデスク代わりに使うなら、クッションだけでは長時間の作業に疲れてしまうので、座椅子や骨盤サポートのグッズを用意するのがベストだ。
リクライニングもついた座椅子なら、仕事にもリラックスタイムにも使えるので一台あるといいだろう。
ちなみにイスを使用する場合でも骨盤をサポートしたり、正しい姿勢をキープするアイテムがあると仕事はぐっと楽になる。
最近は人間工学に基づいた製品なども多いので、自分に合ったグッズを探すのも楽しい。
増えた資料はどうする⁉︎ テレワークでの収納選びのポイント
ペーパーレス化が進み、以前より資料量が減っているものの、メモや文房具類は仕事とは切り離せない。
多くの資料を広げながら仕事がしたい人は、デスク幅120cm以上はほしいところだが、「PCが使えてメモが書ける程度で十分」なら机は小さいタイプを選び、キャスター付きワゴンを使うのがオススメ。
使わないときはデスク下に収納でき、場所を変えて仕事をする際にも転がしていけばすぐにオフィス環境が整う。
少しでも省スペースを考えるなら、おしゃれなカゴや帆布バッグなどにPCや文房具、資料などをひとまとめにするのも手。
使う時に出し、終了と同時に仕事道具をバッグに収めて見えない所に片付ければ、オン・オフの切り替えもできる。
「専用デスクは部屋が狭くて置けない」という人でも、これなら既存の家具で快適なテレワークが可能だ。
ちなみにゴチャつきがちなケーブル類は、アダプターボックスなどでまとめるとスッキリするうえ、埃よけにもなって安全。
タブレットやスマホを置けるタイプもあるので、省スペース化にはぜひ取り入れたいアイテムだ。
【ワンルーム・1K】テレワークインテリアの作り方
チラチラと人や物が動くベランダや、テレビやベッドなどの誘惑が多いものが目に入ると、集中力は削がれてしまう。仕事をするデスクやテーブルは、部屋のコーナーや死角になる場所に設置しよう。
ワンルームや1Kの場合、手狭な同じ空間にデスク・ベッド・テレビが共存せざるを得ない。
そんな場合は、間仕切りや布などを使って物理的にスペースを区切るようにしてみよう。
色の効果を使ってみるのもいい。グリーンは癒し効果があり、ブルーは集中力をアップさせてくれる。
壁紙を張り替えたり、ポスターを貼ったり、空気清浄効果やストレス軽減効果もある観葉植物を置くのもポイントだ。
リモートワークで増えたおうち時間で、小さな鉢植えを育ててみるのも楽しい。

テレワークに合わせたインテリアで、楽しく快適な一人暮らしを!
コロナが落ち着いた後も、おそらく自宅を利用した「テレワーク」や「WEB会議」という働き方はまだまだ続きそうだ。
ならば考え方をスイッチして、オフィスよりも快適かつ楽しいテレワーク環境を前向きに作り込む方が得策かもしれない。
あえて広い部屋に引っ越さなくても、今ある環境にちょっと手を加えるだけで、テレワーク環境はよりよく変えられる。
仕事が楽しくなるようなテレワーク・インテリアを整えて、快適かつ心地よい一人暮らしを実現しよう!
教えてくれたのは?
MAKO(小島真子)さん
株式会社Laugh style代表/インテリアコーディネーター。「それぞれのライフスタイルに合ったコーディネートの提案」を軸に、法人・個人のインテリアコーディネート、セミナー講師、コンサルティング、メディア出演などで幅広く活動中。HPはこちら!
取材・文=元井朋子
イラスト=uca U