家賃滞納をすると強制退去になる?家賃滞納から強制退去までの流れとリスクについて解説

公開日:2021年1月27日

家賃滞納をするとどうなるのか?

賃貸物件を借りる際、家賃の支払いは決められたタイミングで行うべきである。
しかし、うっかり払い忘れや、病気やけがをしてしばらくの間働けなかったり失業したりといった理由から誰にでも家賃を滞納してしまう可能性はある。

家賃滞納をしてしまいそうになった時には、以下のような疑問が思い浮かぶ。

  • 「家賃を滞納するとどうなる?」
  • 「督促や連帯保証人への連絡は行く?」
  • 「強制退去を言い渡されるのか?」

このような疑問を解消するために、家賃滞納にまつわる疑問や家賃を滞納することのリスク、対策方法を解説する。

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このページの目次

家賃滞納はいつまで・どのくらいの期間であれば許されるのか?

家賃滞納はいつまで許されるのだろうか?

家賃滞納は賃貸物件を借りる際に締結した賃貸借契約の違反にあたり、借主の債務不履行となる。家賃の滞納は明確なルール違反であり、仮に1ヶ月であっても貸主側との信頼関係が損なわれてしまう。そのため、すぐに追い出されてしまうと思っている方も多いのではないだろうか。

家賃を1ヶ月分滞納してしまったからといって強制退去になるわけではない

家賃滞納は仮に1ヶ月でも許されるものではない。しかし、家賃を1ヶ月分滞納をしただけでは、賃貸借契約の契約解除事由にはならない。

家賃の滞納には単に支払い忘れや病気やけがなど、多くの事情が考えられる。
そのため、家賃を1ヶ月分滞納しただけ強制退去とはならず、法律上でも認められていない。それでは、契約解除事由に該当するのはどのような場合なのだろうか。

契約解除事由に該当するには一般的には3ヶ月以上、家賃滞納が続くことが必要であると解釈されている。
ただし、あくまでも3ヶ月という期間は目安である。借地借家法に「3ヶ月の家賃滞納がつづいたら契約解除できる」と明記されているわけではないからだ。

家賃滞納から強制退去までの流れ

家賃滞納から強制退去までの流れ
万が一、家賃滞納をしてしまった際の家賃滞納から強制退去までの流れを解説する

それでは家賃を滞納してしまった場合の、家賃滞納の開始から強制退去までの流れを、時系列で確認しよう。

家賃滞納から強制退去までの流れ①【翌日~1ヶ月以内】:本人への家賃支払いの督促

家賃を滞納すると、まずは「入居者」へ連絡が行く。大家さんまたは管理会社から家賃支払いの督促が行われるが、その方法はさまざまだ。手紙や電話、もしくは直接訪問することもある。

家賃滞納から強制退去までの流れ②【1~2ヶ月後】:連帯保証人への家賃支払いの督促

次に、大家さんや管理会社からの督促に入居者が応じなかった場合だ。入居者が何も応じなかったときは、「連帯保証人」へ督促の連絡や督促状が送られる。

家賃滞納から強制退去までの流れ③【3~6ヶ月後】:「契約解除通知」が内容証明郵便で届く,裁判所へ請求の申し立てが行われる

大家さんや管理会社からの幾度の督促にも応じなかった場合は、契約解除の通知が届く。これは普通郵便ではなく、内容証明郵便で送られる。

契約解除の通知には、家賃の滞納が続いた場合は契約解除となる旨が記載されており、大家さんや管理会社から送られてくる。

内容証明郵便とは

大家さんや管理会社から送られてくる「内容証明郵便」とは、どのようなものなのだろうか。
内容証明郵便とは、「誰が、誰に、いつ、どんな内容の手紙を出したのか」ということを郵便局(郵便事業株式会社)が公的に証明してくれる郵便のことである。

これは仮に訴訟になった場合に、大家さんが契約解除を予告したという証拠を残すためのものだ。

家賃滞納から強制退去までの流れ④【6ヶ月後以降】:自主的に退去,強制執行手続き,裁判所による強制退去のいずれかの選択を迫られる

内容証明郵便を送っているにもかかわらず、入居者が家賃の支払いや契約解除、退去しない場合、大家さんは「不動産明渡請求訴訟」を起こす可能性が高い。

裁判では建物の明け渡しに加え、滞納分の家賃についても請求が行われる。

強制執行とは

強制執行とはどのようなことだろうか。強制執行とは文字通り、強制的に入居者を退去させることだ。

明け渡しの判決により、入居者は退去を命じられる。しかし、それにもかかわらず居座っている場合には、強制執行の申し立てが行われるのだ。

強制執行日までに立ち退かなかった場合は、執行官立ち会いのもと、最終的に業者が家財などを強制的に運び出す。つまり、物理的に追い出されることになるのだ。

ただし強制執行となった場合でも、滞納分の家賃を支払う義務が生じる。

大家さん側からの契約解除が可能になる条件は?

大家さんからの契約解除書類
契約解除が可能となる、2つの条件を把握しておこう

家賃を1ヶ月分滞納をしてしまったからといって、強制退去にはならないことをお伝えした。では、いったいどのくらいの期間家賃を滞納すると、大家さん側からの契約解除が可能になるのだろうか?ここでは以下の2点の条件がポイントになる。

  • 3ヶ月以上の滞納
  • 期定めた期間に支払いがない場合

それぞれ詳しく見ていこう。

大家さん側からの契約解除が可能になる条件①:3ヶ月以上の家賃滞納

1つめの条件は、3ヶ月以上の家賃滞納となることだ。特別な事情がない限り、大家さん側から何らかの連絡が入ることになってもおかしくはない。

大家さん側からの契約解除が可能になる条件②:一定期間を定めたが支払いがない

2つめの条件は、定めた期間内に支払いがない場合だ。
家賃滞納が始まってから2ヶ月後に送られる郵便は、すべて「内容証明郵便」で届く。この内容証明郵便には、支払期限が記載されている。

しかし記載された期間内に支払いがないと「一定期間を定めたが支払いがない」と法的に解釈される。

家賃滞納をしてしまった場合でも、同じ物件に住みつづけることができるのか?

家賃を滞納した物件に、今後も住むことができるのだろうか?
家賃滞納をしてしまった場合であっても、契約解除が成立する前に、家賃や違約金などを全額支払った場合であれば、同じ賃貸物件に住みつづけることが可能だ。

この場合は「継続契約書」が取り交わされる。この書類には「次に延滞をすると即座に部屋を明け渡す」といった内容が記載されているので、再度延滞をしないように気をつけよう。

家賃を滞納しそうなときはどうする?

さまざまな事情により、家賃を払いたくても払えないときもあるだろう。

  • 「家賃がどうしても払えない」
  • 「家賃を延滞してしまいそう」

上記のような場合は、どのように行動するのが正解なのだろうか。いざというときのために確認しておこう。

家賃を払えない場合はなるべく早く大家さん・不動産会社(管理会社)に電話連絡をしよう!

家賃を払えないと思った時点で、まずは大家さん・不動産会社(管理会社)に電話で連絡をしよう。

その際、ただ単に家賃の支払いが遅れると連絡を入れるだけでなく、家賃を支払う意思を伝えることが重要だ。一括での支払いが厳しい場合は、分割払いが可能かどうかを確認してみてもいいだろう。

家賃滞納で「保証会社あり」の賃貸契約の場合は?

「連帯保証人」を立てずに「賃貸保証会社(家賃保証会社)」を利用している場合は、家賃滞納から強制退去までの流れが変わるため注意が必要だ。

保証会社の場合は連帯保証人と異なり、延滞している家賃の請求は入居者本人にしかできないからである。また、保証人代行会社を利用している場合は、家賃の催促が厳しくなることがある。

家賃延滞が生活に与える影響とは?

賃貸保証会社を利用した賃貸契約において、家賃を滞納してしまうと、クレジットカードやローンの審査に関わる「信用情報」にも影響を及ぼす。

家賃を滞納していたという記録が残り、返済能力がないと判断されてしまうのだ。そうなると、クレジットカードやローンの審査に通りにくい可能性も出てくる。

また、現在使っているクレジットカードも場合によっては利用停止になることも考えられる。家賃滞納は今後の生活に関わってくることを覚えておこう。

家賃滞納で強制退去になると引越し先が見つかりにくい?

賃貸契約をする際、大家さん(貸主)は入居者に家賃の支払い能力があるかどうか、入居者どうしでトラブルを引き起こすような恐れがないかどうかを審査する。

そのため、以前に家賃滞納を理由に強制退去となっている場合は貸主や家賃保証会社が行う入居審査に通りにくくなる可能性もあるだろう。

ただし、連帯保証人がいれば大家さんが抱いている家賃滞納の不安要素を取り除くことができるため、これまでに家賃滞納をしてしまっていても審査に通りやすくなる。

家賃滞納で強制退去になった後の部屋探しのコツ

家賃滞納で強制退去になった後に入居する部屋
強制退去になった後の部屋探しで意識すべきポイントとは?

家賃滞納で強制退去してしまった後に部屋探しをする場合、保証人不要の物件、または個人の保証人を付けられる物件を探す必要がある。特に意識すべきポイントは以下の通りだ。

  • 保証人不要の物件
  • 個人の保証人が付けられる物件
  • 前の物件より家賃が低い物件

少々複雑な部分もあるので、それぞれ詳しく見ていこう。

家賃滞納で強制退去になった後の部屋探しのコツ①:保証人不要の物件を探す

保証人不要の物件であれば、保証人を探す手間なく契約することができる。契約時に用意する書類は賃貸契約をする本人に関する書類のみであり、通常の物件よりもスムーズに審査が進んでいく。

特に家賃滞納という理由で退去した場合、なかなか保証人が見つからないことが多いため、保証人なしで契約できる物件に絞るといいだろう。

家賃滞納で強制退去になった後の部屋探しのコツ②:個人の保証人が付けられる物件を探す

賃貸契約で保証人を探すことになった際、両親などを保証人をする場合と保証会社を利用する場合の2つのパターンがある。このとき家賃滞納の履歴がある場合は、できる限り「個人の保証人」を付けられる物件を探すといいだろう。

保証会社を利用するためには保証会社の審査に通る必要があり、家賃滞納の履歴のおかげで審査に通らないことも考えられる。手間を最小限にして手早く契約を済ませたいのであれば、個人の保証人でかまわない物件に絞って物件探しをしよう。

家賃滞納で強制退去になった後の部屋探しのコツ③:前の物件より家賃が低い家を探す

退去理由が家賃滞納である場合、退去した前の物件と同じくらいの物件に入居しようとすると、「家賃の支払い能力不足」という点で審査に落ちてしまうケースがある。このようなリスクを避けるために、退去した前の物件よりも家賃が低い物件を探してみよう。これまでよりも家賃が低くなるため、家賃滞納の不安も少なくなるだろう。

まとめ

今回は、家賃滞納をした場合に起こる強制退去までの流れや滞納した場合の対策方法についてお伝えした。仮に支払いの意思があっても、不測の事態により支払いができないことも考えられるので、家賃を支払えない場合はなるべく早く大家さんや管理会社に連絡しよう。

また、家賃の滞納で困ったら、法テラスや行政へ相談するのも有効だ。相談することで、家賃滞納を未然に防ぐこともできる。万が一の場合を考え、対策を知って家賃滞納をすることのないように気をつけよう。

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CHINTAI編集部
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1992年創業、お部屋探しや生活の情報を発信してきた株式会社CHINTAIが運営するWebメディア。引越しに関する情報はもちろん、家事や家計、季節の楽しみなど日々を豊かにする知識を調査・ご紹介。
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