鉄筋コンクリートのメリットは性能の高さ!知っておきたいデメリットも紹介
鉄筋コンクリート(RC造)とは

鉄筋コンクリートとは、柱など住宅の骨組みを鉄筋で組み上げ、その周りを囲った枠組みにコンクリートを流し込んで固める構造のこと。「Reinforced Concrete(補強されたコンクリート)」を略して「RC造」とも呼ばれている。
鉄筋は引っ張る力は強いが、熱に弱くさびやすい性質がある。コンクリートは熱に強いが引っ張る力には弱く、それぞれ逆の性質を持っているといえる。
熱に弱い鉄筋をコンクリートで覆って熱から鉄筋を守る一方、コンクリートの引っ張る力の弱さを鉄筋で補強。鉄筋とコンクリート、両者の短所を上手に補い合ってさまざまなメリットを生み出しているのだ。
今回は、そのような鉄筋コンクリートが持つ5つのメリットについて紹介する。デメリットについても2つ紹介するので、メリットとデメリットの両方を知り、自分に合った物件を見つけよう。
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鉄筋コンクリート(RC造)5つのメリット

鉄筋コンクリート(RC造)は、お互いの短所を補うことで、ほかの材質にはない高い性能を生み出している。そのため、木造や鉄骨造よりも多くメリットが存在するのが特徴だ。
鉄筋コンクリートのメリットは以下の5つ。
- 耐震性に優れている
- 遮音性に優れている
- 耐久性に優れている
- 耐火性に優れている
- デザインの自由度が高い
ひとつずつ説明していこう。
耐震性に優れている
まずは、耐震性に優れている点だ。地震が多い日本において、耐震性は気にしておきたいところ。鉄筋コンクリートは引っ張る力を持つ鉄筋と、圧縮力のあるコンクリートにより、地震に強い構造となっている。また、全体の重量を面で支えるので建物にかかる負荷が分散し、地震の揺れによるダメージを最小限に抑えてくれる。
遮音性に優れている
2つ目は、遮音性に優れているところだ。コンクリートは気密性が高く重量もあるため、木造住宅に比べると遮音性が高い。
とくにマンションのような集合住宅において、トラブルになりやすいのが「生活音による騒音」だ。鉄筋コンクリート(RC造)は生活音が漏れにくく、また外からの騒音を遮音してくれる。そのため、木造住宅に比べると生活音が気にならず、都心部でも快適に過ごしやすいというメリットがある。
耐久性に優れている
3つ目のメリットは、耐久性に優れていることだ。鉄筋コンクリートは耐久年数が長いことが特徴で、法定耐用年数は47年。対して鉄骨造は34年、木造は22年となっており、鉄筋コンクリートの耐久年数の長さがわかるだろう。さらに、適切なメンテナンスをすれば鉄筋コンクリートの耐久年数は約100年以上にもなるといわれている。耐久性が優れているため、築年数が経った物件でも安心して住むことが可能だ。
耐火性に優れている
4つ目は、耐火性がある点だ。鉄筋とコンクリートは、どちらも燃えにくい材質である。RC造は柱や壁などがコンクリートで造られており、建築基準法では「耐火建築物」とされている。万が一、室内で火災が発生しても、火が燃え広がりにくく、建物が倒壊することはほとんどない。鉄骨造や木造と比べ、鉄筋コンクリートは火災に強い建物といえる。
デザインの自由度が高い
最後は、デザインの自由度が高いことだ。木造住宅では実現しにくい広々とした空間や、大きな開口部を造ることもできる。仕切りのない部屋や個性的な外観など、自由に設計できるため、「自分でイメージした家」が実現しやすいメリットがあるだろう。デザイン性が高く、おしゃれなデザイナーズマンションにも適している。
鉄筋コンクリート(RC造)2つのデメリット

鉄筋コンクリートのメリットを5つご紹介した。鉄筋コンクリートは、「耐震」「耐久」「耐火」「遮音」「デザイン性」に優れているが、一方で以下の2つのデメリットも存在する。
- 費用が高い
- 結露やカビが発生しやすい
ひとつずつ見ていこう。
費用が高め
最初のデメリットは、費用が高い傾向にある点だ。一般的に、鉄筋コンクリートは木造よりも建築費用が高いといわれている。
その理由は2つ。まずひとつ目は、地盤強化によるコストだ。鉄筋コンクリートはほかの建物に比べ重量が重い。土地によっては地盤改良からする必要があるため、RC造りは費用が高いといわれているのだ。
2つ目の理由は、木造住宅よりも工期が長くかかることだ。RC造りにはコンクリートを流し込み、固まるまで待つ作業が入る。そのため、木造住宅よりも工程と時間がかかり、その間の仮住まいの費用などを含めトータルコストがかかるだろう。
結露やカビが発生しやすい
2つ目のデメリットは、結露やカビが発生しやすいことだ。メリットでお伝えしたように、コンクリートは気密性が高いが、一方で結露が発生しやすいといえる。木造住宅は隙間があるため自然と換気がされているが、鉄筋コンクリートは換気を充分に行わなければカビが発生しやすくなるのだ。
住宅においては、人の出入りや空気の入れ替えが少ない部屋に結露が起こりやすい。こまめに換気を行う必要があるだろう。ただし、新築マンションには24時間の換気システムが導入されているため、結露が発生しにくい。
RC造の賃貸物件と木造賃貸物件の違い
木造と鉄筋コンクリートの違いについて、ここでは表を使って解説していく。
鉄筋コンクリート (RC造) | 木造 | |
---|---|---|
耐用年数 | 47年 | 22年 |
防音性 | ◎ | × |
遮熱性 | × | × |
耐震性 | ○ | × |
建築費 | 240.2万円 | 165.4万円 |
一般的に、建築費用がかからない方が家賃は安くなる。一人暮らしにおいて家賃を重視するなら木造の賃貸物件が向いているだろう。一方、RC造の家賃は木造と比較すると高めだが、その分快適で安全な暮らしが期待できる。
鉄筋コンクリート(RC造)の賃貸物件がおすすめな人の特徴

ここでは、鉄筋コンクリートの賃貸物件がおすすめな人の特徴をまとめてみた。ひとつずつ見ていこう。
部屋で楽器を使いたい方
鉄筋コンクリートの建物は、防音性に優れている。そのため、部屋で楽器を使いたい方におすすめだ。しかし防音にも限界があるので、音量には注意が必要だろう。
部屋で楽器を使いたい場合は、構造だけでなく窓の防音性にも注意しよう。二重サッシや複層ガラスでつくられた窓は高い防音性を発揮する。ネット上に情報が記載されていない場合も多いため、内覧時に確認するようにしよう。
物件探しのサイトには「楽器可・相談OK」「防音室あり」などと書かれた物件が掲載されていることもある。楽器を演奏する場合には、まずそのような条件が付いている物件を探せば安心だ。契約をする前に細かい点について確認しておくと、後のトラブルを回避できるだろう。
生活音を気にせず過ごしたい方
同じく防音性の高さから、生活音を気にせずに生活をしたい方にもおすすめだ。
ただし、賃貸物件の中には外側の構造だけ鉄筋コンクリートにし、部屋の仕切り壁には石膏ボードや木材を使用しているケースもある。
そのような造りの場合、隣の部屋の生活音が聞こえてくることもある。確認するには、壁を軽く叩いてみよう。硬くて中がしっかり詰まった音がした場合は防音性が高い物件といえる。
耐久・耐火がしっかりした物件に住みたい方
鉄筋コンクリートの物件は耐久性や耐火性に優れているため、安全面に気を配っている方におすすめ。基本的にコンクリートが燃え切るということは、まずないといっていいだろう。そのため、火災や地震などの自然災害の際に被害を最小限に抑えることができる。
また、耐久性にも優れているということは、安全に長く住める建物ということ。きちんとメンテナンスが行われている物件であれば、法定耐用年数である47年より古い物件でも安心して住めるだろう。
自分のライフスタイルにあった物件を見つけることが大切
鉄筋コンクリートは、鉄骨造や木造と比べ「耐震」「耐久」「耐火」に優れており、安心して住めるといったメリットがある。一方で木造賃貸と比較すると、どうしても家賃が高くなる傾向にある。
家賃で選ぶなら木造で問題ないし、楽器を演奏したり生活音が気になったりする方は鉄筋コンクリートの方がよいだろう。賃貸物件を選ぶ際は、自分のライフスタイルにあった物件を見つけることが大切だ。
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