分譲賃貸マンションとは?仕組みや入居するメリット・デメリットを解説

公開日:2019年3月27日

「分譲賃貸物件」ってなんだろう…?

ラグジュアリーな部屋
賃貸には珍しいラグジュアリーな部屋に住むことも夢じゃない

「分譲賃貸マンション」と呼ばれる物件があるのをご存じだろうか。一般的な賃貸物件よりもしっかりした造りの建物が多く、設備グレードも高いともいわれる分譲賃貸。ならば家賃も高いのでは?どうやって探せばいいの?と気になる疑問も浮かぶ。

今回は、そのような「分譲賃貸マンション」の仕組みや入居するメリット・デメリットを徹底的に調べてみた。

分譲賃貸マンションとは

分譲賃貸マンションとは、もともと分譲住宅として売りに出されていた物件が、なんらかの事情で賃貸として貸し出されているもの。基本的には長く住むことを前提として売りに出されている住居であるゆえに、立地や環境、設備などのグレードが高い傾向にある。

通常、マンションを購入するとなると、数千万〜の高額な支払いが発生する。

それと比べ、分譲賃貸マンションは、すでに誰かが購入したハイクオリティな分譲マンションを賃貸契約で借りることができる。その気軽さから、周辺エリアの相場より少々家賃が高くても人気の物件となっている。

分譲賃貸マンションと通常の賃貸マンションは何が違う?

一般的な賃貸物件
賃貸物件はプロの大家さんが一棟管理することが多い

一生でもっとも大きな買い物といわれる「マイホーム」。分譲住宅はそれに値する条件……たとえば耐震、防音、セキュリティ、設備などを兼ね備えていなければ選ばれない。それに対し賃貸物件は、基本的に借主が住み替えをしていく。

大家さんはいかに効率的に家賃を回収するかが重要なので、マンション構造から浴室・キッチンの設備まで分譲住宅ほどの設備投資は難しい。これが「分譲賃貸」のグレードが普通の賃貸よりも高いといわれる所以になっている。

また普通の賃貸はその物件一棟そのものを大家さんが所有していることも多いが、分譲住宅の場合は部屋ごとの大家さんになるので、規約や条件なども部屋によって異なる。借りる場合はよく確認することが必要だ。

分譲賃貸マンションとして貸している理由

本来、購入者が住むはずの分譲住宅が、賃貸物件として貸し出される理由は主に3つ。

それぞれ詳しく見ていこう。

分譲賃貸マンションになっている理由:大家さんが事情により住めなくなった

「購入したものの、転勤などでその物件に住めなくなってしまった場合」。転勤の間、部屋を空けているのはもったいないと、一時的に貸し出すことを考える大家さんは多い。この場合、大家さんはローンの支払いが継続していることもあるので、部屋を賃貸契約することで収入源になるというメリットがある。

このような場合、本来は自分が使用する目的で購入した場合が多く、貸主は賃貸業で生計を立てている大家さんではなく、普通のサラリーマンであることも多い。

分譲賃貸マンションになっている理由:大家さんが不動産投資目的でマンションを購入した

2つめは「投資目的で購入した住居を貸し出している場合」。分譲住宅のような質の高い物件は人気があるため、投資アイテムとしても優良なことが多いのだ。

このような場合、資産家や投資家が物件の所有者であることが多い。他にも不動産を持っているなど、賃貸経営に慣れていることが多く、何かトラブルがあった場合にも迅速に対応してくれる可能性が高い。

分譲賃貸マンションになっている理由:分譲マンション購入者が見つからない

3つ目は「購入者が見つからず賃貸に変更した場合」。デベロッパー(開発事業会社)が分譲マンションとして売り出していたが、購入者が見つからず、やむなく賃貸物件に変更することがある。

このような場合、所有者はデベロッパーもしくは、デベロッパーのグループ会社になっている。

もちろんこちらも賃貸経営のプロなので、トラブル発生時も安心だ。

分譲賃貸マンション4つのメリット

常に人気で品薄状態の分譲マンション。もちろんそれなりの理由がある。

ここからは、分譲マンションを借りる際の4つのメリットを紹介していこう。

分譲賃貸のメリット① 耐震性・耐火性・防音性が高く安心

工事中の物件
防音性の高さは近隣住民とのトラブル回避にもなる

一般的に分譲マンションの場合、柱や梁、床や壁が鉄筋とコンクリートで構成されたRC造(鉄筋コンクリート造)が多い。RC造は引っ張る力には強く熱に弱い「鉄筋」と、熱には強いが引っ張る力に弱い「コンクリート」という異なる素材を組み合わせて、より強度を持たせた造りのこと。分譲賃貸の多くは耐震性・耐火性に強い建物であり、安心して暮らせる物件といえるだろう。

またコンクリートは防音性に優れていて、音の高低に関わらず遮断する。なので「隣の音がつつぬけ」という不快感もなく、静かで快適な生活が手に入る。

分譲賃貸のメリット② 設備グレードが高いことが多い

広いキッチン
広々とした充実のシステムキッチンは分譲賃貸ならでは

システムキッチンや床暖房、広い浴室、収納の多さなど、グレードの高い装備も分譲賃貸のメリットの1つ。また共有スペースが充実した分譲マンションも多いので、エントランスに広い応接スペースがあったり、宅配ボックスが整備されたりしていることも。

最近はコンシェルジュが常駐していたり、スポーツジムや展望階などが併設されていることもあったり、ちょっぴり贅沢な気分も味わえるだろう。

管理人が目を光らせ、清掃やメンテナンスも行き届いている物件も多い。廊下もしっかり掃除してほしい……困ったことがあったらすぐ相談したい……細かな部分が気になる人にも分譲賃貸はおすすめだ。

分譲賃貸のメリット③ 防犯がしっかりしている

鍵
頑健な防犯システムも分譲賃貸なら標準装備だ

マンションエントランスの防犯カメラやオートロック、モニター付きインターホンなど安心できる防犯設備が付いているのも分譲賃貸の特徴。

これに加え近隣住人も「一生ここに暮らそう」と考えている人が多いため、比較的マナーがよく住人同士のコミュニケーションも取りやすい傾向が。これがソフト面の防犯となり、分譲賃貸の安全性の高さに一役買っている。

分譲賃貸のメリット④ おしゃれなデザインの物件もある

おしゃれな部屋
一度は住んでみたいおしゃれな空間を分譲賃貸で手に入れる

デザイナーズ・マンションや有名建築家による分譲住宅も増え、それに伴っておしゃれでゆとりのある分譲賃貸も増えてきている。

そもそも長く住むことを前提に造られているため、カウンターの天板やドアに使用されている材料1つ見てもこだわりが感じられ、全体的におしゃれでスタイリッシュな物件も多い。

デザイン性の高い高価な物件を購入するのは勇気がいるかもしれないが、賃貸であれば気軽に入居できるという考え方もある。予測できないライフプランにも柔軟に対応できる分譲賃貸で、自分らしい暮らしも手に入れられるのだ。

分譲賃貸マンション3つのデメリット

ここまで良いことづくしの分譲賃貸マンションだが、実は反対にデメリットとなる部分もある。

ここからは、分譲賃貸マンションを借りる際のデメリット3つを紹介する。

分譲賃貸のデメリット① 家賃が高い傾向がある

自然に囲まれた賃貸
快適な住環境を求めるなら分譲賃貸は適した物件といえる

先に挙げたように、分譲賃貸の設備はグレードの高いものが多い。つまりそれは家賃の相場が高いことも意味する。耐震性や防音性が高く、防犯対策もされているので当然ともいえるが、家賃を理由に躊躇する人も多い。

しかし、購入することに比べれば安い家賃で分譲マンションに住むことができ、固定資産税を支払う必要もない。考え方を一度リセットして、自分に合った賃貸物件を探そう。

分譲賃貸のデメリット② 探すのが難しい

間取り図
物件数が少ない分譲賃貸はプロに探してもらうのが効率的

世に多く出回っている賃貸物件に比べると、分譲賃貸は数が圧倒的に少ない。理由は、分譲マンションは「購入して住むこと」が基本で、投資目的の分譲賃貸は絶対数が少ないのだ。ただでさえ稀少な分譲賃貸を個人で探すのは難しい。不動産会社を通して探してもらうのがベストだろう。

分譲賃貸のデメリット③ 住める期間が決まっていることもある

綺麗なソファー
期間限定だからこそ思い切って住めるという考え方も

大家さんが転勤や海外赴任の間だけ一時的に貸し出している場合など、任期が終わればその住居に帰ってくることになり、借主が住み続けることは難しくなる。

このように大家さんの不在の間だけ一時的に賃貸に出されるものを「リロケーション物件」と呼び、あらかじめ期間を決めた「定期借家契約」を結ぶことになる。

通常の賃貸物件の契約では、更新時に借主が「もっと住みたい」と言えば、正当な事由がない限り大家さんは拒絶できない。つまり借主側の権利の方が優先される仕組みだ。
しかし分譲賃貸で定期借家契約を結んだ場合、その期間を過ぎてしまえばその物件に住み続けることはできない。

ただし契約期間が終わる時期が来ても、大家さんの任期が延長されるなど、そのまま貸し出しを延長できることもある。まずは不動産会社に相談してみよう。

メリット・デメリットを把握して、分譲賃貸マンションを検討しよう

緑に囲まれた分譲賃貸マンション
分譲賃貸マンションで快適に暮らそう!

一般的に分譲賃貸マンションは、ハイグレードな構造や設備を持ち、防犯設備も整っている場合が多いため、非常に住みやすい物件といえる。通常、購入しないと住めないグレードの分譲マンションに、賃貸で住めるということは多くの人にとって魅力的に感じるだろう。

ただ、通常の賃貸物件より家賃設定が高い傾向にあることはデメリットだ。借りたはいいが家賃を支払えない、ということが起こる可能性もある。また、定期借家契約の物件は、どんなに気に入っていても契約期間が満了したら退去しなければならない。

分譲賃貸が魅力的だからと飛びつかず、自身の生活スタイルと照らし合わせ、よく考えて選ぶ必要がありそうだ。

文=元井朋子
2022年2月加筆=CHINTAI情報局編集部

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CHINTAI編集部
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