大河ドラマ『麒麟がくる』第十七回あらすじ&イラストレポート【麒麟がきても、こなくても】
ファン目線で大河ドラマを楽しむイラスト連載!
毎週日曜放送のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』を楽しむ、大河ドラマ追っかけレポート!
毎週金曜日、前の週のおさらいを兼ねてあらすじと感想をお送りする(以下、ネタバレを含みます)。
『麒麟がくる』第十七回「長良川の戦い」のあらすじ
高政(伊藤英明)と道三(本木雅弘)の戦いが始まろうとしていた。
不利な状況に立たされている道三を助けようとする信長(染谷将太)。引き留めようとする帰蝶(川口春奈)だったが、信長は戦へと向かってしまう。
長良川の南北を挟んで戦が始まり、道三のもとに駆けつけようとする十兵衛(長谷川博己)。
数の不利をくつがえせず、敗戦が濃厚となった道三はただ一騎で高政のもとに現れる。
高政は手出し無用と叫び、父子で槍をかわす。「父の名を申せ」と道三に迫られた高政は、「土岐頼芸だ」と嘘を重ねる。
家臣たちの前で「嘘を騙るな」と恫喝され、高政は周りの家臣に道三を殺させる。
高政は、その場に駆けつけた十兵衛に「今からでも自分のもとにこい」と声をかける。最後まで自分の父が頼芸だと騙る高政に「道三と違い、土岐頼芸を立派な人間だと思ったことはない」と告げ、別れる十兵衛。
道三の死と信長の敗走を聞かされた帰蝶は、伊呂波太夫(尾野真千子)を呼びだし、美濃へ向かわせる。
一方の駒(門脇麦)と春次(菊丸・岡村隆史)も、裏道を使って駿河から美濃へ向かっていた。
明智荘は高政に攻め入られようとしていた。
光安(西村まさ彦)から明智家を託された十兵衛は、母と妻を連れ、村の者たちに別れを告げ、生まれ育った領地から落ち延びることとなった。
大河ドラマ追っかけレポート17(5/10放送回)

“賢い”帰蝶の苦悩
妻の帰蝶がとめるのも聞かず、「親父殿を助ける!」と、負けるとわかっている道三のもとへ向かう信長。残された帰蝶は「皆、愚か者じゃ!」と叫ぶことしかできない。
このドラマで一番賢いのは、たぶん彼女だ。
父・道三譲りの頭の良さと冷淡さと行動力。見事に作戦を立て、伊呂波太夫を使って信長の力を道三に見せつけ、二人の仲をとりもつ。斎藤家と織田家の同盟をより強固にすることに成功した。
しかし賢い彼女が将棋の盤上でいくらうまく策を練っても、彼女の駒たちはみんな生身の人間。みんな好き勝手に動く。
道三と信長を仲良くさせることに成功したけれど、その絆が強くなりすぎて、信長が危険を顧みずに道三を助けにいくほどになるとは。そしてたぶんそれは「愛する妻の父だから」と、信長が自分を大切に思っているからでもある。
「この帰蝶が嫁入りするんだから信長も自分に夢中になるはず!」斎藤家のためにも、そうさせねば、とは思っていただろうけど、彼女の想定以上に信長は帰蝶を愛している気がする。
いくら賢くても、人の心まではあやつれない。
賢い彼女の作戦通りに全て進めば、十兵衛は弟の孫四郎の味方につき、道三は美濃の影の実力者であり続け、尾張と美濃の同盟も安泰……となるはずだったんだと思うけれど。
十兵衛は孫四郎とは組まず、高政は孫四郎たちを殺し、道三は逃げ道を用意するために遣わした太夫を追い返す。
始まった長良川の戦いで道三は死に、動きを予想され待ち伏せされた信長も、命からがら逃げることしかできない。
「皆、愚か者じゃ!」……あらゆる作戦をすべて反故にされ、死んでいく人たちを助けることもできずに後ろから叫ぶ帰蝶、わかる。
でも、愚かな人たちは愛おしい。賢くたちまわることができず、うまくいかなくてもがいて、バカだと笑われる道を選んでしまう、愚かな人たち。
多くを失った十兵衛の未来は
勝者である高政も、愚かだ。油売りの息子の子ではなく、土岐源氏の血をひいているのだという嘘で自分を飾るしかできず、それを周りに冷たく笑われていることも知っている。
道三も愚かだ。息子の兵に殺される瞬間に、やっと「父」の顔になる、愛情をケチりすぎた父親。
高政や道三や信長に負けず劣らず帰蝶基準では愚かなのが、なんといっても主人公の十兵衛。
孫四郎についていれば、道三と孫四郎、帰蝶とのラインが(たぶん)できて、それはそれでうまくいったかもしれない。
高政につけば、道三も孫四郎も亡き後の美濃で、高いポジションを与えられたかもしれない。
どちらも選ばなかった挙句、孫四郎は死に、道三を助けることもできず、高政とは袂をわかち、孤立して絶体絶命。
最後には光安(この人も愚かオブ愚か、そして愛おしい)と明智城と美しい明智荘を失うことになる。
思えばこの大河ドラマの第一回は、野盗たちに襲われた緑ゆたかな明智荘を農民たちと共に守るシーンで始まった。あの日命がけで守った大切なものを、彼はすべて失ってしまった。残されたのは明智の旗印だけ。その旗印を掲げるであろう将来のことを考えると、「やっぱり根本的に“愚か”なんじゃないの……?」と思ってしまう。
それでもやっぱり、愚かで、プライドを捨てられない人たちは、魅力的だ。
父の死の知らせに崩れおちるように座りこみ、でもすぐに立ち上がって太夫に次の指令を出す帰蝶。
たぶん彼女も、愚かな人たちにあきれ、怒りながらも、彼らのことが好きでたまらないのだ。指示をしながら一粒だけ流した涙が美しかった。帰蝶の作戦、今度はうまく十兵衛を救うことができるのか。
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