【映画】huluで観られる劇場版『名探偵コナン』シリーズ15作を解説!魅力と人気の理由とは?

最終更新日:

劇場版『名探偵コナン』シリーズ15作、huluで一気に観てみた

劇場版『名探偵コナンシリーズ』を配信しているhulu

「劇場版『名探偵コナン』、改めて観たらめちゃくちゃ面白い!」
劇場版『名探偵コナン』シリーズ23作品のうち、動画配信サービスの「hulu」で鑑賞可能な15作品を5日間かけて(鑑賞済みの作品を含めて)一気に観た筆者の率直な感想だ。
原作マンガおよびテレビアニメ『名探偵コナン』が国民的な作品であること、その映画が連続して記録的な興行成績を達成していることも納得できるほど、あらゆる視点で作品の面白さに感心してしまった。

2020年4月10日現在、新型コロナウイルスの世界的な流行のなかで、日本の7都府県で緊急事態宣言が発令された。4月に公開が予定されていた映画作品の多くが公開延期となり、最新作『名探偵コナン 緋色の弾丸』も公開延期が決定することになった。

一人の映画ファンとして、映画館で新作映画が観られないことはとても苦しい。しかし、裏を返せば観逃していた旧作映画を家でじっくりと堪能する機会とも言える。劇場版『名探偵コナン』は、子供から大人まで楽しめるので、家で観る映画としてもおすすめの作品だ。

huluで観られる劇場版『名探偵コナン』シリーズ15作一挙紹介

ここでは、本日4月10日に『名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』(2016公開)、翌週4月17日に『名探偵コナン 紺青の拳(こんじょうのフィスト)』(2019公開)が地上波放送されることを記念して、動画配信サービス「hulu」で観られる劇場版『名探偵コナン』15作それぞれの見所を公開順にオススメ度(☆の5段階評価)と共に紹介し、劇場版『名探偵コナン』を総括した魅力についても記して行こう。作品によっては少し苦言を呈しているところもあるが、ご容赦いただければ幸いである。

※初出時の情報の一部を4月13日に修正しました。

huluで観られる劇場版『名探偵コナン』1:『時計じかけの摩天楼』(1997)

劇場版 名探偵コナン 時計じかけの摩天楼

オススメ度:☆☆☆☆

連続爆破予告事件を追うシリーズ第1作。
記念すべき初の劇場版にして、「アクションと推理」という『名探偵コナン』という作品が持つ魅力が前面に押し出された作品だ。
オープニングで早くも殺人事件を1つ解決し、序盤から真犯人の動機にまつわる伏線が張られていく。爆破予告を聞いたコナンは”ターボエンジン付きスケートボード”で疾走し、さらには『新幹線大爆破』(1975)のオマージュと思しき設定も登場する。手を替え品を替え、名探偵と犯人との攻防をスリリングに楽しめるのだ。

後にもまとめるが、『名探偵コナン』という作品は“ラブコメ”にまつわる魅力もとても大きい。主人公のコナンは自身が高校生名探偵の工藤新一であるという正体を隠したまま、幼馴染の毛利蘭と一つ屋根の下で暮らしていて、どうにかコナンがそのことを気づかれないように画策する。二人が両想いであることが示される様にニヤニヤしてしまうのだ。
『時計じかけの摩天楼』のクライマックスでは、蘭の“選択”に至るまでの過程と”あの言葉”を聞いて、「もうお前ら結婚しろ」と改めて思ってしまった。

劇場版『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』をhuluで観る

huluで観られる劇場版『名探偵コナン』2:『14番目の標的(ターゲット)』(1998)

劇場版 名探偵コナン 14番目の標的(ターゲット)

オススメ度:☆☆☆

名探偵とされる(実際はコナンが事件を解決している)毛利小五郎およびその知人たちが、名前に入っている13から1までの数字に沿って次々と襲われていく事件を描いた作品だ。次に狙われるのは誰か? 犯人の目的は? タイトルの「14番目の標的」とは誰か? などの謎をはらみつつ、コナンたちが奔走するというサスペンフルな内容となっている。

最大の特徴は、小五郎の過去が描かれることだろう。「刑事時代の小五郎の射撃の腕前は本物」という意外な事実が明らかにされると共に、「刑事を辞めるきっかけとなった事件」と「妻の妃英理と別居した理由」も描かれている。
小五郎のキャラクターに深みを与え、クライマックスで真相が明かされるまでの物語のフックになっているというのも上手いものだ。
ヘリコプターの墜落を阻止しようとする奮闘劇や、巨大な海洋娯楽施設を舞台としたアクションなど、派手な見せ場も存分に盛り込まれている。

劇場版『名探偵コナン 14番目の標的(ターゲット)』をhuluで観る

huluで観られる劇場版『名探偵コナン』3:『世紀末の魔術師』(1999)

劇場版 名探偵コナン 世紀末の魔術師

オススメ度:☆☆☆

世間を騒がせる泥棒・怪盗キッドのほか、コナンの正体を知る灰原哀と服部平次という人気キャラクターが初登場した作品。怪盗キッドの犯行を食い止めようとコナンと平次が奔走する大阪の街、殺人事件が起きる豪華客船、最後は大掛かりな仕掛けを暴いていく古城と、3つの舞台が展開していくサービス精神満載な内容となっている。犯人の“ある特徴”を利用したクライマックスはカタルシスも存分だ。

原作でもあった毛利蘭がコナンの正体を「もしかして……新一!?」と疑うという一幕もあり、これに対して痛快とも言えるオチがついているのも素敵だ。後にもまとめるが、劇場版『名探偵コナン』では事件そのものだけでなく“キャラそれぞれの魅力”を打ち出してきている。本作も御多分に洩れず、怪盗キッドというキャラをどうしても好きになってしまい、もっともっとその活躍を観たくなるのだ。

劇場版『名探偵コナン 世紀末の魔術師』をhuluで観る

huluで観られる劇場版『名探偵コナン』4:『瞳の中の暗殺者』(2000)

劇場版 名探偵コナン 瞳の中の暗殺者

オススメ度:☆☆☆☆

蘭があるショックのため記憶喪失になり、しかも何者かに命を狙われてしまう! コナンや警察たちが何としてでも彼女を守る! というシンプルな物語構造の作品。『14番目の標的』(1998)でも少しだけあった“登場人物の利き腕から犯人を推理する”要素がより目立っているのも面白い。
蘭の両親である毛利小五郎・妃英理が、それぞれのカタチで記憶を失くした娘に愛情を注いでいることにグッとくるオトナも多いのではないだろうか。

アニメ作品としては、クライマックスの舞台となる遊園地の描きこみにも注目してほしい。様々なアトラクションを飛び回る逃亡劇はそれだけで面白いし、豪華かつ細かい動きのパレードにはスタッフの血の滲むような努力が伝わる。さらにラストの対決には今までの伏線が見事に回収されており、思わずガッツポーズするほどの爽快感があった。

劇場版『名探偵コナン 瞳の中の暗殺者』をhuluで観る

huluで観られる劇場版『名探偵コナン』5:『天国へのカウントダウン』(2001)

劇場版 名探偵コナン 天国へのカウントダウン

オススメ度:☆☆☆☆☆

ある殺人事件と並行して、劇場版初登場となる黒の組織の暗躍も描く本作。
とにかく、クライマックスの面白さがとんでもない。ツインタワービルを舞台にした脱出劇が展開し、見事な伏線回収とそれぞれのキャラの特性を生かした活躍に大興奮できるのだ。
『ダイ・ハード』(1988)や『タワーリング・インフェルノ』(1974)などのビルを舞台にしたアクション映画を好むオトナこそ、そのアイデアの秀逸さと次々に訪れるサスペンスの面白さに唸るのではないのだろうか。
推理パートもタイトにまとまっており、特に犯人が動機を語るシーンの“ある行動”も鮮烈な印象を残すだろう。

何より、“少年探偵団”のメンバーが大好きになれる作品だ。コナンに恋心を抱いている歩美、おませな光彦、いつもはボケボケな元太。クライマックスでは「お前らみんな最高だ!」と思わずにはいられない活躍を見せるのである。いつもはクールな灰原哀が珍しく“弱々しさ”を見せるので愛おしくて仕方がない。
少年探偵団はただ事件に巻き込まれたり、コナンに抜け駆けされてしまうことが多い。この作品でも、中盤までは“警察のように聞き込み調査ができない”ことを不満がる様子が描かれていた。だからこそ、この『天国へのカウントダウン』でのクライマックスの彼らの活躍が嬉しくって仕方がないのだ。

劇場版『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』をhuluで観る

huluで観られる劇場版『名探偵コナン』6:『ベイカー街(ストリート)の亡霊』(2002)

劇場版 名探偵コナン ベイカー街(ストリート)の亡霊

オススメ度:☆☆☆☆☆

劇場版『名探偵コナン』の中でも異色作と言える本作。モチーフになっているのはバーチャルリアリティーのゲームであり、19世紀のロンドンを舞台にした謎解きが描かれるのである。
参加者たちが次々にゲームオーバーになっていく様は子供から大人までハラハラできる。シャーロック・ホームズにまつわるうんちくがゲーム攻略に役立つ展開や、有名な殺人鬼「ジャック・ザ・リッパー(切り裂きジャック)」についてのとある“解釈”も面白い。

作品の中では(日本)社会における“世襲制”について警告ともとれるメッセージが表現されており、それはやがて示唆に富むものへと転換していく。
『刑事コロンボ』のように初めから殺人事件の犯人が明かされており、その人物が抱えている“秘密”がそのメッセージと不可分なものになっているのも見事だ。
人工知能の反逆と、その存在意義について語られたSF映画は数多いが、ここまで切なくも感動的なラストにつながっていくとは思いもしなかった。個人的には劇場版『名探偵コナン』で、もっとも大好きな作品だ。

劇場版『名探偵コナン ベイカー街(ストリート)の亡霊』をhuluで観る

huluで観られる劇場版『名探偵コナン』7:『迷宮の十字路(クロスロード)』(2003)

劇場版 名探偵コナン 迷宮の十字路(クロスロード)

オススメ度:☆☆☆

人気キャラクターの服部平次が活躍する作品。オープニングで描かれた平次の初恋をフックに、殺人事件と暗号の絵の謎を解きながら、京都の様々な有名スポットを渡り歩いていく“観光ムービー”としての楽しさもある。
これまでの作品に比べると幾分おとなしい話のようにも思えるが、3DCGを利用したバイクチェイスや、チャンバラなどのアクションもあり、派手な見せ場をしっかりと用意するサービス精神は健在だ。

“弁慶と義経”にまつわるトリビアや、「なぜ平次が命を狙われるのか?」といった細かい疑問がしっかり物語に絡んでくるのも嬉しいポイント。平次とその幼馴染の遠山和葉のラブコメも楽しく、終盤にはアッと驚くサプライズも用意されている。
堅実で奇をてらいすぎることなく、あらゆる演出がしっかり作り込まれた、劇場版『名探偵コナン』の安定したクオリティを改めて感じさせてくれる1本だ。

劇場版『名探偵コナン 迷宮の十字路(クロスロード)』をhuluで観る

huluで観られる劇場版『名探偵コナン』8:『銀翼の奇術師(マジシャン)』(2004)

劇場版 名探偵コナン 銀翼の奇術師(マジシャン)

オススメ度:☆☆☆

『世紀末の魔術師』(1999)以来の怪盗キッドをメインに据えた作品だ。目を引く“対決”の場面から幕を開け、そこから時間を巻き戻して、物語を追いながら冒頭のシーンへと戻っていく。怪盗キッドがある大胆な姿でコナンの前に登場するなど、スピーディかつサプライズが連続する構成になっている。

怪盗キッドとの戦いが描かれたあとは、飛行機内を舞台にした「どうやってターゲットに毒を盛ったのか?」という密室での推理劇が「スカイパニック映画」へと展開していく。
それまでの展開とほぼほぼ分断されてしまっているという難点はあるが、ミステリーとして堅実に組み立てられており、それからはレギュラーキャラが飛行機を無事に着陸させるために奮闘し、なおかつ怪盗キッドにしっかり“華を持たせる”など、多様なエンタメ要素が詰まっている作品だ。

劇場版『名探偵コナン 銀翼の奇術師(マジシャン)』をhuluで観る

huluで観られる劇場版『名探偵コナン』9:『水平線上の陰謀(ストラテジー)』(2005)

劇場版 名探偵コナン 水平線上の陰謀(ストラテジー)

オススメ度:☆☆☆☆

様々な舞台を変えて展開することも多い劇場版『名探偵コナン』だが、こちらは最初から最後まで船上(海上)のみが舞台となっている。特筆すべきは、毛利小五郎がシリーズ随一のカッコよさを見せることだろう。序盤ではいつも以上にだらしない姿を見せているだけに、後半の大活躍ぶり、そのギャップに惚れ惚れとできるのである。

劇場版『名探偵コナン』には怪盗キッドや服部平次や黒の組織などの準レギュラーと言えるキャラが活躍する作品も多い。本作は久しぶりに蘭や小五郎、少年探偵団や警察の面々など、いつものメンバーが活躍する内容となっている。
それゆえシンプルな内容かつ「ホッとできたと思いきやもう一、二波乱ある」などサービス精神も満載のため、劇場版『名探偵コナン』初心者にもオススメだ。途中で提言される「なぜ人は誰かを傷つけてしまうのか?」の疑問の答えも、とても説得力のある普遍的な真実そのもの。そのメッセージにグッと来る人はきっと多いだろう。

劇場版『名探偵コナン 水平線上の陰謀(ストラテジー)』をhuluで観る

次のページでは、10作目以降の解説と、劇場版『名探偵コナン』の魅力を紹介する。

12
>
リンクをコピー
関連記事関連記事