ビンテージ服に囲まれた古着屋風な一人暮らし部屋。インテリアコーデのコツとは
スケートカルチャーとビンテージ服をこよなく愛する女子の部屋づくりは古着屋風!
まるでアパレルショップのように整然と服が並YUIさんのお部屋。壁紙もフローリングも1人で張り替えたというこだわりのインテリアは、ダークな色合いで統一したマニッシュな雰囲気。ディスプレイ収納のコツやメリットなど、いろいろお伺いした。

この記事でわかること
「大好きな服を見せる収納で楽しみたい」アパレルの経験を活かしたショップ風のディスプレイ
日当たりを重視してデザイナーズマンションから「南向き・角部屋」へ引越し
「硬さ」を意識した部屋づくり。色さえ統一すれば100円ショップのグッズも馴染む
このページの目次
▼プロフィール

名前:YUIさん
職業:WEBデザイナー
年齢:24歳
instagram:@amhui13
▼ルームデータ
居住地:東京都
居住人数:1人
間取り:1K(7畳・バストイレ別)
家賃:78,000円(共益費込)
築年数:32年
大好きな洋服をディスプレイ収納するとメリットがたくさん!

家主を知らずにこの部屋を見たら、男子の部屋だと思うかもしれない。しかし正真正銘24歳女子のお部屋。ビンテージ服とスケートカルチャーへの愛が止まらないYUIさんのインテリアのテーマは、「古き良きアメリカ」だ。
「大好きな服を見せる収納で楽しみたい」と、元アパレル店員の経験を活かし、ショップ風にディスプレイしている。
「下のラックはデニムなどのボトムス。真ん中はスカートと大好きなブランド“Dickies”の服。トレーナーやTシャツも無地と柄物でジャンル分けをしたり、ブランド別に収納しています」
アパレル風のたたみ方で、手持ちの服を一目瞭然にしておく。すると着たいアイテムがどこにあるかすぐ分かり、服選びにも時間がかからない。また手持ちの服を把握できるので、同じような服をダブって買わないというメリットもあるという。でも一番嬉しいのは、
「大好きな服がこれだけある、と見ているだけで幸せ」なのだそう。
1枚3万円のTシャツもあるというお宝感満載のビンテージ服だが、一体なにがYUIさんをこんなに夢中にさせるのだろうか。
「70年代・80年代に作られた服を、時を経て今自分が着ているということ自体、すごいことですよね。その時代の人が丁寧に作り、買った人が大事に着ていたから、今残っているのだと思うと本当に感慨深い。だからこそ自分も大事に着て、大切にしてくれる人に託したいと思う」と意外にも真剣な答えが返ってきた。
高校生の時に軽音楽部に入り、洋楽を聴きはじめたことからアメリカの文化に興味を持った。そこで出会ったのが70年代のアメリカ西海岸のスケートボードカルチャーを描いた映画『Lords of Dogtown』。憧れが高じて、初めての海外旅行はロサンゼルスへのひとり旅だったという。
「映画の舞台にもなっている、ベニス・スケートパークに行ったら、おじいちゃんも子どもも誰もが真剣に心からスケボーを楽しんでいた。年齢とか性別とか、超越した世界がそこにあって…本当にカッコよかったんです。ファッションだけでなく、多分そういう考え方自体に憧れているんだと思う」と言い切る。
YUIさんのビンテージ服とスケートカルチャーへの深い愛は、「本物」なのである。

日当たり不良のデザイナーズルームから、理想の今の部屋へ
20歳で一人暮らしを始めて3軒目というYUIさんが、この部屋に引越したのは1年ほど前。実は前の部屋は更新を待たずに飛び出した。理由を聞くと…
「コンクリート打ちっ放し風のデザイナーズマンションで、見た目はかっこよかったのですが、とにかく日当たりが悪くて環境が劣悪でした。大好きな洋服も下の方が全部カビてしまって、なかなか手に入らないビンテージの洋服もずいぶん捨てました。それが一番悲しかった…」とYUIさん。
この部屋を探す時は、とにかく「日当たりの良さ」を最優先にした。探し始めてほどなく、「南向き・角部屋」という理想的な部屋が近所で見つかり引越した。それがこの部屋。
「窓が2面にあるので風通しがよく、とにかく太陽の恩恵を最大限に受けられて気持ちのいい部屋です」
日当たり以外にもこだわったのは、収納場所の広さ。このディスプレイ以外にも山ほどあるYUIさんの洋服を受け止めてくれるスペースは必須だった。
「もともと和室だったこの部屋は、押入れと天袋の収納スペースがありました。押入れの収納力は非常に優秀なので、元和室の部屋はおすすめですよ」(YUIさん)
こんな風に出会った理想の部屋を、大好きな「アメリカン風」のインテリアに作り込んだYUIさんの、部屋づくりのコツを聞いてみよう。

ビンテージ女子が教える「マニッシュで硬質な部屋の作り方」
まず着手したのは、ブリック模様の壁紙とダークブラウンのフローリングの張り替え。予算は余計にかかったものの、前の部屋の契約を残したまま新しい部屋を借りて、荷物を入れる前に完璧に仕上げた。
「最初は木目の壁紙も考えましたが、レンガの方がアメリカっぽさを出せるかなと思って。荷物を入れる前だったので、壁も床もすべて一人で張り替えました。最初は大変だったけど、慣れてくると一人でも全然大丈夫」とかなり男前なコメントが。
色は黒とダークブラウンで統一。素材は木材やアイアン、レザーで揃える。アイアンも渋く加工したものに限定し、木材も焦がした色のみを選んで明るさを抑える。プラスチック製のものはなるべく排除し、「硬さ」を意識した部屋づくりがポイントだ。白が多い家電類は「部屋に馴染まない色なら、購入を我慢する」など、徹底したアイテム管理が、この部屋の雰囲気を維持するコツなのだそう。
ロフトベッドは、どうしても生活感を醸し出してしまうベッドを「見えない場所に置くための道具」でもある。下のスペースにお気に入りのレザーソファも配置できて、一石二鳥だった。
「カーテンの方が寒さも防げますが、古き良きアメリカっぽさを出すためにあえてブラインドに。やせ我慢も、お気に入りのインテリアのためは必要です。そして何と言ってもビンテージや古着を見せる収納にすることで、雰囲気が醸し出せます」と、オープンラックでのディスプレイ収納をお勧めする。
よく見ると、カラーボックスを横にして、棚として使用。突っ張り棒を渡して布を巻けば、ぴったりサイズの棚板代わりにもなる。
「100円ショップのグッズやドンキで買ったカラーボックスも、色さえ統一すれば十分収納として使えます。自分なりの工夫をするのも楽しいですよ」と、無駄にお金をかけない賢さも併せ持つ。
家具はリサイクルショップで掘り出し物を見つけたり、ニトリやIKEA、salut!などが中心。あくまでもビンテージの服にお金をかけたいので、インテリアはプチプラで探す。
「お金はかかるけど、服や雑貨はモノとして手元に残るから楽しい」と根っからのコレクター気質をのぞかせた。

掃除やお手入れも大変だけど…やっぱり楽しいコレクション
アパレルショップのようなスタイリッシュな部屋をキープするために、心がけていることを聞いてみた。
「これだけ服に囲まれていると、とにかく部屋全体が埃っぽい。だから換気をこまめにしたり、掃除機もしょっちゅうかけます。それでもすぐ綿ぼこりが舞うので、ハウスダストが苦手な人には向かないかも」。
価値ある古着なだけに、日頃の服のお手入れも余念が無い。
「古着は手洗いで優しく洗って、タンブラー乾燥には絶対にかけません。裏返しにして日陰に干したり、洗剤にも配慮したり、とにかく丁寧に取り扱います。そうするとやっぱり長持ちする」(YUIさん)
実家の母に「汚いから」とビンテージTシャツを漂白されてしまった、という笑えない話もあるが、毎月お給料の三分の一は洋服や靴代に消えてしまうのだそう。特に危険なのが「靴」。
「足が小さくて子ども用のビンテージ靴がぴったりなので、一番手に入りやすい靴がどんどん溜まる」と、壁一面の収納からはみ出し気味のビンテジスニーカーを見せてくれた。
ビンテージの見極め方を尋ねると、
「タグやファスナー、服全体のシルエットなどその時代の特徴が必ずあります。その情報を事前に勉強しておいて、お店で本物を見つけた時が、これまた嬉しいんですよ」と極上の笑顔を見せてくれた。
次なるテーマは、キッチンの床。今でもBig Boyの“ハンバーガー坊や”がぴったりハマる、赤が基調のおしゃれなキッチンだが、
「ここの床をチェッカーフラッグにすれば、さらにアメリカン・ダイナー風になる」と意欲的に語る。
YUIさんの部屋の“アメリカ化”は、まだまだ止まりそうにない。



文=元井朋子
写真=編集部