2人の生活にちょうどいいを作る。DIYを通して見える二人暮らしの手作り団地生活

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DIYを始めてわかったちょうどいい二人暮らし

今回お邪魔したお家は千葉県の稲毛海岸にある西山芽衣さん・山形陽平さん夫妻のお家。

稲毛海岸の団地の一室に突然現れるお家は、木で統一された家具と、ところどころにアートが目を引き、ちょっとしたカフェのような雰囲気だ。聞けば、そのお家はなんと2人でDIYで作った部屋だという。

そんな手作りで溢れた部屋で暮らすきっかけとお二人の生活へのこだわりを伺った。

プロフィール

名前:西山芽衣さん
職業:ディレクター
Instagram:@xxx_mei_xxx/ @nishichiba_ksks

名前:山形陽平さん
職業:設計事務所勤務

この部屋での暮らしを発信しているInstagram:@ourdanchilif

ルームデータ

居住地:千葉県千葉市
居住形態:2人
間取り:1LDK
築年数:50年
家賃:7.9万円

部屋をDIYしようと思ったきっかけ

元々は西山さんの職場の近くの賃貸で住んでいたというお二人。この部屋に暮らし始めたのは特別な経緯があったそう。

DIYした団地に住む二人暮らし中の西山さんと山形さん

木を基調とした温かみのあるお部屋

「元々のきっかけは団地の改装のモデルルームを作ったことだったんです。この団地の高齢化を危惧した企業が、若い人向けリノベーション賃貸をつくるプロジェクトをスタートさせ、その中で『DIYができる部屋』というコンセプトのお部屋のモデルルームをつくるお仕事をしたんです」(西山さん)

京成みどり駅前で子どもからお年寄り、美大生まで誰もが使えるアートスペース・工作室の運営の仕事をしているという西山さん。お仕事で受けた団地のリノベーションにすっかりはまってしまったそう。

二人暮らし中の西山さんと山形さん宅の窓から桜が見える

お部屋から見える団地の景色。桜並木が並んで春にはとても綺麗なんだとか

「ここも元々は3LDKのお部屋だったんですが、大きく間取りをとってひとつながりのお部屋になりました。手をかけているうちに自分が住みたいなと思うようになって(笑)。モデルルームの期間が終わり、一般に売り出された時に企業の方にお願いして入居を決めたんです。」(西山さん)

現在西山さん夫妻が暮らしている団地には、10室ほどを若い人向けにリノベーションして賃貸しており、全ての部屋が入居済みだという。

「狭苦しい団地というイメージを取り払って、自分たちで作れるお部屋というコンセプトが受けているんだと思います」(西山さん)

課題を解決するのがデザイン。したい暮らしをDIYで具現化する

西山さん夫妻のご自宅の家具はほとんどが木で統一され、温かみのある雰囲気を作り上げている。この家具について伺ってみた。

DIYで作ったダイニングテーブル

ダイニングテーブルも西山さんが設計し作られたもの

「最初は水回りとキッチン以外何もなかったので、家具はほとんどDIYで作りましたね。設計から完成まで、小さなものはだいたい半日~1日くらいで、食器棚や本棚など大きいものは週末を使って作っています。」(西山さん)

なんと!本棚、ダイニングテーブル、デスク、食器棚、靴箱…部屋のほとんどの家具がお二人で作られたものばかりだという。どのように作っているのか、ダイニングテーブルを例にその過程を教えていただいた。

1. コンセプトを考える

「まず一番大切なのがこのコンセプトの部分です。テーブルであれば、その机を使ってどんなことをしたいのか。2人でご飯が食べられればいいのか、お客さんを呼んでみんなで楽しみたいのか、作業をしたいのか、それによって作るテーブルのかたちがまるっきり変わってきます。」(西山さん)

西山さんに聞けば、このコンセプトがもっとも大切で、これを決めるのにじっくり時間をかけて2人で話し合うそうだ。

テーブルの下の収納ボックス

ダイニングテーブル下の脚兼収納。食べるだけでなく、収納も入れたいというコンセプトから作られた

2. サイズを決める

「コンセプトが決まったら、ものを置きたいところの寸法を測って、どのようなかたちのテーブルにするのかを考えます。」(西山さん)

アイデアやイメージはインスタグラムやピンタレストなども参考にしながら考える。もともと建築学科出身の西山さんは寸法とだいたいの工程イメージを数時間で起こせてしまうそう。ここで必要な材料をリストアップしていく。

3. 材料を揃える

「だいたいの寸法やデザインが決まったら、ホームセンターに行きます。細かい材料をどれにするかなどはホームセンターで実際にものを見ながら2人で話し合って決めていきます。」(西山さん)

ホームセンターから材料を調達するというと、「自分で持って帰ったり、必要な長さに切るのが大変なんじゃないか…」と及び腰になってしまうが、部材を指定の寸法にカットしてくれたり、配送サービスもあったりするので実はとても便利だという。

DIYで作った靴箱

細部にまでこだわって作り上げたDIY靴箱

DIYで作った靴箱。ホームセンターでは、この靴のすべり止めをどの素材・形にするかで2人でたくさん話し合ったという

4. 組み立てる

「あとは組み立てだけです。部材と部材の必要な部分にビスを打って固定します。最後に塗装して完成です。」(西山さん)

全てを0から作るのではなく、IKEAなどで買ったパーツを使うこともあるのだそう。

DIYで作ったパソコンデスク

山形さんのデスク。脚の部分はIKEAの製品をそのまま使っている

「デザインは何かを解決するためのものなので、日常の「したい!」や不便をどうやったら解決できるかを考えて必要なものを2人で相談しながら作っています。」(西山さん)

なるほど。必要な家具やアイテムとは、なんとなく欲しいという曖昧な動機ではなく、自分たちの生活を見直した上で出てくるものなのだろう。現在、部屋にあるとても大きなダイニングテーブルは、お友達を呼んでみんなでご飯を食べたり、友達が主催するちょっとした会の会場になったりもしているそう。

DIYで家具を作るとは、自分たちがどのような生活をしたいかを今一度考え直す機会になるのかもしれない。

楽しいけれど、手間がかかるDIY。なぜ二人はDIYを暮らしに取り入れているのだろうか?次ページでは、その理由をご紹介!

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