【一人暮らしの防災対策・水害編】台風や大雨などの水害の備えや災害時の行動とは
一人暮らし向けの水害対策をご紹介

一人暮らしは自由気ままな反面、トラブルなどに巻き込まれた時は不安で心細く、特につらいものだ。
特に大きな不安を覚えるのが災害時だ。なかでも水害は、ほぼ毎年台風や大雨などがあり、全国各地で洪水(外水氾濫)、内水氾濫、高潮、高波などにより多大な被害をもたらしている。
しかもこのような災害は今後どこでも起きる可能性があり決して他人事ではない。水害時の対策を事前に知っておくことが大事である。今回は、一人暮らしの方に覚えておいて欲しい水害の対策方法についてご紹介する。
水害対策の前に、まず自分の住居周辺の地形を把握しておこう

水害の被害の規模を考えるとき、考慮する必要があるのが地形だ。住んでいる地形や場所によって発生する被害が異なり、災害対策が変わるからだ。
例えば東京都は地形上、山地、台地、丘陵、低地、離島などに区分される。東京都のうち都区内といわれる23区は、台地、低地に該当する。なお、東京に連接する埼玉県や神奈川県の地域でも同様の特徴がある。
地形ごとの水害の特徴
低地
低地は軟弱な地層(沖積層)の地盤で揺れやすく、河川や海岸付近では津波や高潮、高波などの水害の危険性がある。
台地
台地の地盤は安定しているが、低地と台地の境目(河岸段丘・海食崖)と河川付近には土砂災害危険箇所があり、大雨や台風時には注意が必要だ。土砂災害危険箇所は各都道府県等自治体のホームページに掲載されているので、一度確認しておこう。
水害対策その1:情報収集
住まい周辺の地形と避難経路の確認

事前に、自分の住居が防災上どのような場所にあるか調べるのは必須だ。
調べるツールとしては、区や市のハザードマップ、防災マップを入手し、土砂災害危険箇所を把握しよう。水害時の避難場所を把握し、避難経路と避難所(多くは小学校か中学校が避難所)を現地で確認しておくことも重要だ。
気象情報の把握

大雨や・台風情報等の気象情報をしっかり確認しよう。気象庁から発表される警報など情報がどのようなものか把握し、適切な行動を起こすことが重要になってくる。
発表されるものとしては、「注意報」、「警報」、「特別警報」がある。さらに状況が迫ってきた場合は、避難情報が権限を有する市町村長から発令される。その種類には「避難準備・高齢者等避難開始」、「避難勧告」、「避難指示」の3種がある。
注意報
災害が発生するおそれのあるときに注意を呼びかけて行う予報。
警報
重大な災害が発生するおそれのあるときに警戒を呼びかけて行う予報。
特別警報
警報の発表基準をはるかに超える大雨等が予想され、重大な災害が発生するおそれが著しく高まっている場合、特別警報を発表し最大級の警戒の呼びかけを行う場合に使用される。
避難準備・高齢者等避難開始
逃げ遅れる可能性がある人々に対して、余裕を持って避難を促す内容。いつでも避難できるよう、非常用持ち出し袋を用意し家族や近所の人との連絡を取るなどの準備をしよう。
避難勧告
避難を勧め促すこと。避難場所などの安全なところへ速やかに避難しよう。
避難指示
避難勧告よりも強いニュアンス。広範囲で大きな被害が予測される場合に出される。
それぞれ危険度・緊急度に序列はあるが、だからといって注意報などであっても決して軽視してはならない。状況と情報の推移を把握していくことが重要である。
水害対策その2:物資の準備

災害時は通常の状態と異なり物資の購入は難しいことが多い。またできれば避難所に避難せず、プライバシーが守られる自宅にいること(在宅避難)を望む方もいるだろうが、そのためには食料・飲料水を主体に最低3日分、できれば1週間分の備蓄をしておくことが必要だ。
しかし低地の1~2階に住んでいる場合、地域により浸水が軒下まで及ぶ場合があるため、避難を考慮する必要がある。避難所に避難する際には非常用持ち出し袋を持って行こう。以下のものを事前に非常用持ち出し袋に詰めて準備しておくことをおすすめする。
全ての人に共通する必需品
食料、水、衣類、歯ブラシ、懐中電灯、携帯ラジオ、携帯トイレ、電池など
持病がある人
病気に応じた薬と器材、お薬手帳
女性
生理用品など女性特有の必需品
忘れがちだが用意すべきもの
現金・通帳・健康保険証、昼夜間の行動や冬季(例:ホカロン)・夏季(例:保冷剤)に応じ、さらに個人の特性(例:眼鏡をかけている)に応じた携行品を用意しよう。避難所へは物資が届けられたり、炊き出しなど食料が支給されることも多いが、災害時はすぐに物資が揃ってはいるとは限らない。自ら準備しておくことが大事だ。
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水害対策その3:地域との連携

一人暮らしだと防犯面などからご近所付き合いのある方は少ないかと思う。ただ、いざというときは気が動転し混乱することがある。このため、普段から近所の人とは挨拶などを行いある程度顔見知りになっておくことは決して無駄ではない。
また、一人暮らしだと馴染みが薄いかもしれないが、地元の防災訓練に参加することも有効な災害対策となる。災害時対応のイメージがより具体的になることで自信につながり、自分一人ではないことで落ち着いて対応ができるようになる。
もし水害に遭ってしまったら
気象情報を注視したうえで過信せずに自ら判断・行動しよう

水害に遭った際は、ニュースなどの気象情報を踏まえ、段階的に判断することが重要だ。気象情報、各種警報、避難情報、出水時の水位情報に応じ適切に在宅避難か避難所への避難を選択しよう。特に自宅が河川や海岸の近傍及び低地で浸水想定地域に位置する場合や土砂災害危険箇所に指定されている地域の場合は、早めの避難を心掛けよう。
また、局地的で急な大雨の場合は避難勧告や指示が出るとは限らない。この場合は雨の強さや住居周辺のの地形を考慮し、自主的な判断が求められる。
避難にどうしても時間的余裕がない場合は、住宅の上層階に避難しよう。ただし、浸水が長時間継続する場合や孤立することもあることを考慮しなければならない。やはり「自分は大丈夫」と油断せず、余裕を持った判断・行動を心がけよう。
水害時にやってはいけないこと
近傍の河川の水位を見に行ってはならない

台風や大雨の場合、河川の水かさが短時間に増水することがある。そのような中、水位を見に行って足元を取られたりして被害に遭うことがあるため、絶対にやめよう。
河川沿いや崖下、地下道に近づいてはならない

大雨の中避難する場合、雨の影響で河川が氾濫することがある。そのため避難経路は河川から離れたルートを選定することが重要だ。また、急斜地では崩壊が起きることがあることから、崖下も避けなければならない。地下道は降水が溜まっていることがあるので大雨時には避けることが望ましい。
長靴で避難してはならない

大雨なら長靴での避難が適切と思いがちだが、実はこれは逆効果。通常の雨とは異なり、河川が氾濫した場合や排水溝から水があふれ出た場合(内水氾濫)は、長靴でも水が入り、その結果行動が制約されて避難が困難になってしまう。そのため、水害発生時は普段から履きなれた、底が厚めの靴をおすすめする。
一人暮らしの防災対策は、事前の準備と情報収集が大切
日本人は台風などにある意味慣れてしまっているので「今回も大丈夫だろう」と油断してしまう傾向がある。しかし、昨今では豪雨や台風は経験したことのないような被害をもたらしている。過去の経験から油断することなく、万が一を常に考え行動するように心がけよう。
文=今野茂雄
陸上自衛隊幹部自衛官を退官のちに様々な経歴を経て現在は、NPO法人 日本防災環境顧問兼専務理事を務める。防災及び国民保護に係る講演や防災計画及びマニュアルの作成、防災図上訓練(ロールプレーイング、DIG、HUG)を行っている
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