遠方から引越す場合も物件の下見をすべき? 下見せず入居するリスクと回避策
物件の下見は必ずしないといけないもの?
遠方に引越すことになった場合、時間がないからと物件の下見をせずに入居を決めてしまうケースがある。ただし、実際に下見に行ってみないとわからないことも多い。物件を見ないまま契約してしまうと、どんなことが起こり得るだろうか。
ここでは、賃貸物件を下見せずに契約してしまうリスクと、どうしても見に行くことができない場合のリスク回避方法について紹介する。

遠方への引越しでも物件の下見をすべき理由
最近は物件検索サイトも便利になり、情報が充実している。特に遠方への転居の場合、下見をせずウェブサイトの情報だけを頼りに物件を決めてしまう人も多いようだ。
しかし、実際に現地へ足を運んでみて初めてわかることも多いため、下見をせずに物件を決めてしまうのは危険だといえる。物件の下見をすべき理由を挙げていく。
物件の下見をすべき理由①:騒音やにおいで入居後に後悔!?
物件を選ぶ上でチェックすべきポイントの一つが、周囲からの騒音。特に、同じ建物内に様々な生活リズムの人が暮らす集合住宅では問題になりやすく、上階の住人の足音、隣人のテレビの音など、騒音と呼ぶほどではない生活音でも毎日のこととなれば気になる場合もあるだろう。しかし、周辺からの騒音の有無、物件の遮音性はサイトの情報には表れないため、下見に行かなければ判断できない。
また、部屋のにおい、風通し、日当たりや温度などについても同様。これらは全てウェブサイトの写真や情報だけでは判断できない部分だが、毎日の生活を送る上でストレスになりやすい要素でもある。可能な限り、実際に行って確かめるのが望ましいだろう。

物件の下見をすべき理由②:写真で見たイメージと実物とのギャップにがっかり……
ウェブサイトの写真で見た部屋は明るいイメージだったが、実際に部屋に入ってみたら思ったより暗かった……など、写真で見た部屋の印象と実物にギャップがあったというケースも多い。
物件検索サイトに掲載できる写真の枚数には限りがあるため、物件によっては不動産会社が見せたいアングルしか撮影していない場合もある。写真には写っていなかったフローリングの傷、壁の汚れなどが意外と目立ち、入居後にガッカリ……なんてこともあり得るのだ。

物件の下見をすべき理由③:家具・家電のサイズ・レイアウトを事前に決めることができない!
物件検索サイトには部屋の寸法は掲載されていない。もちろん、間取図、専有面積、帖数などの情報からおおよその広さを知ることは可能だが、部屋ごとの細かい寸法やクローゼットの大きさまでは掲載されていない場合がほとんどだ。
いざ引越し!という段階になってから「置く予定だった家具が部屋に入らない!」「洗濯機置き場のサイズが手持ちの洗濯機と合わない!」「服がクローゼットに入りきらない!」ということになっては大変だ。このようなリスクは、下見の際に家具・家電を置きたい場所の寸法を測っておけば回避できるだろう。
また、部屋のレイアウトを決める上でコンセントの位置も重要な要素。実際に入居したら「電化製品を置きたかった位置にコンセントがない!」ということになると、部屋のレイアウトを考え直さなければならなくなってしまう。これも事前の下見で回避できるリスクだ。

物件の下見をすべき理由④:周辺環境や雰囲気は行ってみないとわからない
物件を見に行くだけが下見ではない。周辺環境について知ることも、下見の重要な要素の一つだ。特に遠方に転居する場合は、引越し先の土地勘がないという場合がほとんど。街の治安や雰囲気などについては、実際に現地へ下見に行って肌で感じてみなければわからない部分も多いだろう。
また、駅やバス停からの道のりについても要チェックだ。不動産業界では物件情報に表示する徒歩分数を「80m=1分」で計算する決まりになっているが、坂道や交差点、踏切などの影響は考慮されていない。そのため、同じ「徒歩10分」でも周辺環境によってはまるで感覚が変わる。個人の歩く速さにもよるので、本当に10分でたどり着けるのかどうかは実際に歩いてみないとわからないのだ。

どうしても物件の下見に行けない場合は? リスク回避の手段
このように、下見へ行く意義は大きい。たとえ遠方への引越しであったとしても、可能な限り物件の下見には行くべき。それこそがリスク回避の最善の方法だ。なんとか時間や費用のやりくりをして現地へ赴き、契約前に物件の下見をしておくことをおすすめする。
とはいえ、「急な転勤で、事前に新居を見に行く時間がない!」、「何往復分も交通費を出せない……」など、どうしても現地へ行けない事情がある場合もあるだろう。そんな人のために、少しでもリスクを減らす方法を伝授しよう。
物件の下見に行けない時のリスク回避方法①:親族や友人などに見てきてもらう
もし引越し先のエリアに親族や友人が住んでいる場合は、代わりに見てきてもらうという手がある。不動産会社の担当者に代理の人が見に行く旨を伝え、スケジュールを調整し見学の手配を行おう。
代理で下見を頼む際には、見てきてほしい箇所をまとめたチェックリストなどを事前に作成しておくと良い。特に気になる部分についてはスマホなどで撮影してもらい、あとで共有してもらおう。
可能であれば、部屋だけでなく周辺環境のチェックもお願いしてみよう。エリア雰囲気や飲食店の充実度、駅までの道のりに街灯があるかどうか?等、ネットでは調べきれない部分を知ることができれば、安心して新居を決めることができるだろう。もちろん、下見が終わった後にはお礼をするのも忘れずに!
物件の下見に行けない時のリスク回避方法②:不動産会社の担当者を味方につける
もし転居先のエリアに親類や友人がいない場合、土地勘のない遠方への引越しで唯一頼りになるのが現地の不動産会社の担当者だ。電話などで事情を話し、ウェブサイトに掲載されていない情報について教えてもらおう。
住みたい物件が絞れているのであれば、気になる部分の写真を撮ってきてもらったり、必要な部分の寸法を測ってきてもらえないかお願いしてみるのも手。周辺環境や街情報についてレクチャーしてもらうのもいいだろう。ただし、不動産会社によって対応内容は異なり、繁忙期などには必ずしも対応してもらえない場合もある。無理なお願いはしないように気を付けよう。
物件の下見に行けない時のリスク回避方法③:チャットサービスを活用する
不動産会社の担当者とうまく連絡が取れない、もしくは電話する時間も取れない!というときには、お部屋探しを代行してくれるオンラインチャットサービスを活用するのも手。チャットやLINEなどでやり取りができるので便利だ。
物件の下見に行けない時のリスク回避方法④:住環境についての情報収集はネットを活用する
気になる街の治安や雰囲気などは、ネットを駆使して徹底的に下調べを行おう。検索エンジンで「地名+住みやすさ」などのキーワードで検索をかけ、口コミ情報を集めてみるとよい。また、街の雰囲気が知りたければ、物件周辺を「Googleストリートビュー」でバーチャル散歩してみるのも良い。スマホを使って徹底的に情報収集をし、物件の下見に行けないリスクを少しでも軽減しよう。
物件の下見は最優先で実行を!
物件の下見を行わずに物件を契約することは、やはりリスクが高いのは事実。もしどうしても物件の下見に行けない事情がある場合にも、できる限りの情報収集を行い、後悔のない物件選びを行ってほしい。
文=ナカミキ