賃貸の鍵交換費用は誰が払う?交換の必要性や合鍵作成時のルールを弁護士が解説

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賃貸の鍵交換費用は誰が払う?交換の必要性や合鍵作成時のルールを弁護士が解説

引越しの初期費用で見かける「鍵交換費用」。数万円の出費となるため、「なぜ自分が払わなければならないのか」と不満を感じる人も多いだろう。

また、初期費用を浮かせようと自分で勝手に鍵を交換したり、無断で合鍵を作ったりすると、後々大家さんとの間でトラブルに発展する恐れがある。

本記事では弁護士監修のもと、鍵交換費用のルールや相場、合鍵作成時の正しい手順について詳しく解説する。

※記事の内容は、2026年9月の法令・情報に基づいています

芝大門法律事務所 高橋真司先生

慶應義塾大学卒業後、99年に弁護士登録・芝大門法律事務所へ入所。不動産紛争、居住者間のトラブルなど多くの大家さんが悩むテーマを中心に取り扱う「不動産問題のプロ」。著書に「賃貸住宅の法律Q&A」(大成出版社・共著)ほか。

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鍵交換費用は誰が払う? 払わずに断ることはできるのか

賃貸物件の入居時には、前の入居者が持つ合鍵を悪用した侵入などのリスクを避けるために鍵交換が行われる。鍵交換費用は、実状として賃借人(入居者)が負担するケースが非常に多い。

そもそも国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、鍵交換は「物件の管理を行ううえで必要な措置」であり、入居者の過失ではないため「賃貸人(大家さん)が負担することが妥当」とされている。

しかし、ガイドラインはあくまで「一般的なルール」が示されたものであり、法律ではない。契約書に「鍵交換費用は借主負担とする」という旨が「特約」として明記され、双方が合意してサインした場合は、原則として支払い義務が生じる。

一方で、契約書のどこにも記載がないのに後から請求された場合や、相場を大きく超える高額な請求だった場合は、交渉の余地がある。まずは契約書の特約条項をしっかり確認しよう。

ガイドラインで「大家負担が妥当」とされていても、実務では「特約による借主負担」が一般的になようです。契約上合意していれば、入居者が負担することに法的な問題はないということになります。どうしても費用を抑えたい場合は、契約を締結する前の段階で「鍵交換費用を大家さん負担にしてもらえないか」と交渉してみるのも一つの手です。

鍵交換を行う理由

「初期費用を浮かせたいから、前の住人の鍵のままでいい(交換しなくていい)」と思うかもしれない。しかし、鍵交換は入居者の安全を守る上で必須の措置だ。過去にどんな人が住んでいたか分からない賃貸物件では、前の入居者が密かに合鍵を作っていたり、退去後の内装業者が無断で複製していたりするリスクがある。不法侵入や窃盗の被害を防ぐためにも、鍵交換は必ず行っておくべきだ。

そもそも賃貸物件には、鍵交換が「必須」のケースと「任意」のケースがある。貸主や管理会社が指定事業者での交換を「必須(入居条件)」としている場合、原則として断ることはできない。「任意」となっている場合でも、自分自身の身を守るために自ら希望して交換しておくのが無難だ。

鍵交換を行うタイミング

鍵交換のタイミングは「前の居住者が退去した際」か「次の入居者が決まった後(入居前)」のどちらかになる。

退去時に交換が行われる物件の場合、新しく渡された鍵が「本当に交換された新しい鍵なのか」を入居者が確認しづらい。不安な場合は、入居前に鍵交換が実施された証明書を見せてもらうか、管理会社との間で「交換済みである」というやりとりの履歴(メール等)を残しておこう。

また、契約の際は「二重請求」にも注意が必要だ。入居時と退去時の両方で鍵交換費用を請求されるケースがあるが、両方のタイミングで高額な請求をされた場合は、特約の有効性をしっかりと確認しよう。

万が一、約束されていた鍵交換がされておらず空き巣被害などに遭った場合は、貸主へ損害賠償を請求できるケースがあります。 また、入居時と退去時の両方で費用を徴収する「二重請求」は、消費者契約法(第10条)などに照らして無効と判断されるケースが大多数です。毅然と支払いを拒否して構いませんし、万が一支払ってしまった後でも、法的根拠を示せば不当利得として取り戻せる可能性があります。

【種類別】鍵(シリンダー)の特徴と交換費用の相場

鍵交換費用は、ドアについている鍵の種類によって大きく異なる。悪質な業者からの法外な請求を防ぐためにも、相場を把握しておこう。

※参照:玄関の鍵交換にかかる費用は?種類ごとの相場や料金を抑える方法も紹介|最安修理ドットコム

ピンシリンダー、ディスクシリンダー(1万~2万円程度)

ピンシリンダーとディスクシリンダー
修理費用相場情報・画像提供:最安修理ドットコム

ピンシリンダーは、片側にだけギザギザがある昔ながらの鍵。比較的安価だが、古いタイプはピッキングされやすく防犯性が低い。

ディスクシリンダーは、両側にギザギザがある鍵。ピッキング被害が多発したため現在は製造中止となっている。もし新たに契約した物件でこの鍵を渡されたら、防犯面から交換を依頼すべきだ。

ロータリーディスクシリンダー(1万~3万円程度)

ロータリーディスクシリンダー
修理費用相場情報・画像提供:最安修理ドットコム

ロータリーディスクシリンダーは、ディスクシリンダーの後継。見た目は似ているが内部構造が異なりピッキングに強い。防犯性とコストのバランスが良く、多くの物件で普及している。

ディンプルシリンダー/ディンプルキー(1万~3万円程度)

ディンプルシリンダー
修理費用相場情報・画像提供:最安修理ドットコム

ディンプルシリンダー(ディンプルキー)は、表面に複数のくぼみ(ディンプル)がある鍵。構造が非常に複雑で、ピッキングや複製が極めて困難。防犯性が高い分、交換費用も高額になる。

スマートロック・電子錠の場合(原則、物理的な交換は不要)

スマートロック・電子鍵のイメージ

スマートロック・電子錠は、スマートフォンや暗証番号、ICカードなどで解錠する最新の鍵。アプリ上で権限を管理する仕組みのため、入退去時はデータのリセットや暗証番号の変更を行うだけで済み、原則として機器本体の交換は不要だ。

そのため、もし初期費用として「スマートロックの鍵交換費用」が計上されていた場合は要注意だ。「非常用の物理鍵(シリンダー)の交換費用なのか」「単なるアプリの設定手数料ではないか」など、内訳を管理会社にしっかり確認しよう。 

勝手に鍵交換・合鍵作成はNG

初期費用を抑えるために、鍵本体をネットで安く買い、自分で交換したり知り合いの業者に頼んだりするのはNGだ。

賃貸物件の鍵は、部屋と同様に「大家さんの所有物」である。他人の持ち物を勝手に改造・交換する行為はNGであり、多くの賃貸契約では「無断での鍵の交換・修理」を禁止している。

発覚すれば契約違反として違約金を請求される恐れがあるため、必ず指定業者に任せるか、事前に管理会社の許可を取ろう。また、家族やパートナーに渡すために「合鍵(スペアキー)」を作る場合も、原則として大家さんや管理会社の許可が必要だ。

合鍵を作る際の正しい手順

  1. 目的(誰に渡すか)と必要な本数を、管理会社に伝える
  2. (後々のトラブルを避けるため)覚書などを交わし、指示に従って作製する
  3. 退去時は、元鍵だけでなく作製した合鍵もすべて返却する

入居者は大家さんから鍵の「使用・保管」を託されている状態です。無断での交換や複製は所有権の侵害にあたります。特にディンプルキーなどの防犯性が高い鍵は、メーカーに登録された所有者情報がないと複製できない仕組みになっているものもあります。防犯上の正当な理由で交換や複製をしたい場合は、必ず事前に相談し、退去時の取り扱い(元の鍵に戻すのか等)も明確にしておきましょう。

まとめ

賃貸の鍵交換費用は痛い出費に感じるかもしれないが、自分自身の命と財産を守り、安心して暮らすための必要経費だ。契約前に費用の負担区分や鍵の種類をしっかりと確認し、勝手な行動は控えて、ルールを守ったうえで安全な新生活をスタートさせよう。

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