バリアフリーな賃貸の探し方 押さえておきたい内見のチェックポイントを紹介
バリアフリーとは
バリアフリーとは高齢者や傷害がある人などが生活・活動をするときに障壁(バリア)となるような部分を取り除くこと、あるいは取り除いた建物を指すときに使われる言葉だ。近年は高齢化社会の波を受け、アパートやマンションなどの賃貸物件でもバリアフリーを導入しているところが増えている。
ただし、バリアフリー物件といっても設備は物件によって違うので、内見の際に押さえておきたいチェックポイントを紹介しよう。
このページの目次
バリアフリー物件の設備
国民生活センターが行った調査の結果、家庭内でもっとも事故が起こるのは居間ということが判明している。床で滑ったり、置いてあるもので転んだりするなど、ちょっとした不注意が原因となって事故が起こっているようだ。
健常者からすると特に問題がないと思うような場所でも、高齢者や障がい者にとっては危険がたくさん潜んでいる場所になる。だからこそ、バリアフリー物件の設備にはどういったものがあるのかを知り、安全性の高い物件を探すようにしなくてはいけない。
手すり
バリアフリー設備の中でも、スタンダードとなっているのが手すりだ。手すりがあれば、身体を支えることができるので、転倒するリスクが大きく減少する。
高齢者は若者に比べると筋力が低下しており、体幹も鍛えられていないため、つかまるものがないと転倒してしまう。そのため、バリアフリー物件ではエントランスや玄関口、廊下や階段などに手すりがついていることが多い。
フラットフロア
前述の通り、高齢者や障がい者にとって少しの段差でも油断できないものになる。不意の転倒では膝や腰を強打したり、頭や顔を床に打ち付けたりする恐れもある。骨折などをしてしまうと入院することにもなってしまい、家族の負担も大きくなってしまうだろう。
こういったリスクを防ぐバリアフリーがフラットフロアだ。名前の通り段差がないフロアなので、いきなり転ぶということも少なくなる。フラットフロアは、手すりと並ぶ必須のバリアフリー設備となるが、古い物件だと導入されていないこともあるので注意しよう。
浴室乾燥機
冬場の入浴の際、ヒートショックを起こす高齢者の方が増えているが、これを防いでくれるのが浴室乾燥機だ。浴室乾燥機というのは、単に浴室を乾燥させたり洗濯ものを乾かしたりできるだけでなく、浴室を暖める役割も担っている。
入浴をする前に浴室乾燥機で浴室を温めておけば、脱衣所との寒暖差も少なくなるのでヒートショックの心配を減らすことができる。なお、この設備は高齢者・障がい者向けのバリアフリー物件だけでなく、一般の物件にも完備されていることが多いので見つけやすいだろう。
手すり付きのバス・トイレ
居間の次に高齢者や障がい者の家庭内事故が多く発生する場所として、バスとトイレが挙げられる。足腰が弱かったり、間接の曲げ伸ばしがスムーズにできなかったりすると、立ち上がるときにバランスを崩しやすいのだ。
浴室で足を滑らせてしまうこともあれば、バスタブをまたぐときにバランスを崩してしまうこともある。このとき湯船に倒れ込んでしまうケースもあるので、浴室の手すりは必須だといえるだろう。
トイレの場合、つかめるところはトイレットペーパーホルダーやタオル掛けしかないことが多く、手すりがないとうっかりつかまってしまうことがある。しかし、どちらも身体を支えるためのものではないため、つかまってしまうと逆に危険だ。
丈夫な手すりがついてれば、バランスを崩しても安心してつかめるので、危険な転倒事故を防ぐことができる。
バリアフリーを意識して内見する際のチェックポイント
ここまで紹介したバリアフリーの設備は、バリアフリー物件であれば完備されているのが一般的だ。また、現地に行かなくてもネット上でも確認できるので問題ない。
しかしいくら設備が整っていても、それだけで安全とはいえない。安心して生活ができるように、内見のときのチェックポイントも押さえておこう。
床の滑りやすさ
意外に見落としがちなのが、床の滑りやすさだ。最近の賃貸物件はフローリングが一般的になっているため、素材や仕様によっては滑りやすいものがある。滑りやすい床だとホコリが溜まりにくい、掃除がしやすいなどのメリットがあるが、高齢者や障がい者にとっては危険なものとなってしまう。
ただし、ほかのバリアフリー条件を満たしていて、床だけがネックという場合はワックスやコーティング剤で滑りづらくするという方法もある。安全性を考慮すれば、床はできる限り滑りづらい方がよいので、内見のときにしっかり確認しておこう。
ドアの重さ
何気なく開け閉めをするドアも、内見時の重要なチェックポイントになる。ドアが重いと不便が生じてしまうので、力を入れなくても開けられるかどうかを確かめなければならない。また、玄関はもちろんエントランスにもドアがある場合はそちらもしっかり確認しよう。
そして、ドアクローザーの機能もしっかりチェックしなくてはいけない。たとえ開けやすいドアだとしても、ドアクローザーの機能によっては勢いよく閉まることもあり、思わぬケガをする可能性がある。
また、玄関の広さも重要だ。靴を履いたり脱いだりするのに十分な空間があるというのも大事だが、できれば簡易的な椅子を置けるスペースがあるのが理想だ。椅子に座って靴を履くことができれば危険な転倒事故を防ぐことができるので、広さについても確認しておこう。
電気スイッチの位置
意外に盲点となるのが電気スイッチの位置だ。電気スイッチの位置が低すぎたり高すぎたりすると、電気をつけるときに手間がかかってしまう。可能であれば、車椅子に座った状態でもつけやすい位置にあるのが理想だ。
また、スイッチの位置もチェックしなければならない。部屋によっては、扉を開けた裏側についていることもあれば、入り口から離れていることもあるので、扉を開けてからスイッチを押すまでの導線もしっかり見ておこう。
もちろんスイッチの大きさも大事で、小さすぎると押しづらくなってしまう。いつでも簡単に電気のスイッチを入れられるかどうか、細かくチェックするようにしよう。
階段の角度
階段がある物件の場合、階段の角度が急だったり、段差が高すぎたりしないか見ておこう。健常者だとあまり意識しない部分だが、足腰の悪い方にとっては少しの階段でもつまずいてしまう恐れがある。
また、階段にちゃんと手すりがついているか、階段の素材は滑りやすくないかどうかも見ておきたい。特に大理石風の階段では滑ってしまう可能性が高いので、滑りやすい素材の場合は、踏み板に滑り止めがついているかどうか確認しておこう。
基本的に、バリアフリー物件では階段にスロープがついていることが多く、中にはエレベーターが設置されていることもある。しかし万が一の事故を未然に防ぐためにも、階段についても細かくチェックしてほしい。
バリアフリーな物件を探すときは一緒に住む人と一緒に内見に行こう
高齢者や障がい者が最も事故に遭いやすいのは自宅だといわれている。自宅というのはどうしても気が緩むため、わずかな段差であっても転倒してしまうことが多いのだ。
だからこそバリアフリーの物件に住むことが重要なのだが、健常者はサポート面から見て、介助しやすい物件であるかもチェックしなくてはいけない。バリアフリー物件は、家族全員で内見に行くことをおすすめする。