簡単に育てられる「キモカワイイ」食虫植物4選
食虫植物を育てるのは意外と簡単?
夏になると園芸店やホームセンターに姿を現す食虫植物。その独特なルックスや栽培のしやすさ、ユニークな生態などが注目を集めている人気の観葉植物だ。

「でも育てるには、虫を食べさせなきゃダメなんでしょ?」と思っている人も多いかもしれないが、植物本来の光合成活動で十分に健康に育つので、わざわざ虫を与える必要はないのだ。今回はそんな食虫植物の魅力と正しい知識についてご紹介していこう。
ハエトリソウ

食虫植物と聞いて、真っ先に思い浮かぶのがこちらの「ハエトリソウ」。二枚貝のような「捕虫葉(ほちゅうよう)」が特徴だ。捕虫葉に付いているトゲトゲの「刺葉」がまつ毛に似ていることから、英語名では「ビーナス・フライトラップ(=女神のハエトリ罠)」と呼ばれている。
葉に虫が止まると、捕虫葉の内側にある「感覚毛」がそれを感知。2度刺激を受けると、2枚の葉がぱたんと閉じる仕組みになっている。この力が案外強く、虫は一度捕らわれると中で圧死してしまうのだ。
そんなハエトリソウは北アメリカの湿地帯原産の植物で日光と水分を好む。育てるときは、できるだけ室外の日当たりのいい場所を選ぶと◎。また、水分を切らさないよう水受皿を用意して、たっぷりと水をあげるようにしよう。
ウツボカズラ

こちらもかなりメジャーな食虫植物の1種「ウツボカズラ」。葉の先が袋状になっており、中にはタンパク質を溶かす液体が入っている。
葉には「蜜腺」と呼ばれる部分があり、そこから分泌される物質につられた虫が袋に侵入。袋の中は、滑りやすく、一度入ってしまうと脱出することは難しい。虫は袋の中の消化液で溺死してしまう仕組みだ。
栽培のポイントは湿度にある。土への水やりはもちろんのこと、葉っぱ全体に霧吹きで水をかけてやるのが重要だ。基本的には日当たりのいいところでの栽培が大事だが、夏場の強い日光にさらされていると葉っぱが焼けてしまうため、注意が必要。
モウセンゴケ

葉の表面の繊毛から粘着力のある消化液を分泌し、虫を捕まえる食虫植物。名前には「コケ」とついているが、種子植物の仲間なのだ。主に栄養分の少ない湿地帯に生息する。
虫を捕えると、葉から多量の粘液を出し、虫をがんじがらめにする。トンボやチョウなどの大きな虫から、アブラムシなどの小さな虫までターゲット層は幅広い。
もともと湿地帯の植物なので、水分は最重要。鉢植えの下に水を入れた受皿を用意し、下から水分を吸わせると◎。また、日当たりと風通しが良く、熱のこもらない場所に置くと育ちが早い。
ダーリングトニア

上級者にご紹介するのが「ダーリングトニア」。見た目がコブラのように見えることから、「コブラ・プランツ」とも呼ばれる。高山植物のため暑さには弱く、自宅での栽培は困難であると言われている。特に根元を低温に保つ必要があるため、栽培には気化熱を利用した冷却ボックスを使用する栽培家が多い。
意外にも簡単に育てられる食虫植物は、“キモカワイイ”見た目も大きな魅力。特にコバエが増える夏の時期は、窓際に置き、食べてもらうのもいいかも。
(阿部綾奈/ノオト)