マンションの機械式駐車場の使い方とは? 仕組みやメリット・注意点を解説
マンションの駐車場のひとつ「機械式駐車場」の使い方は?

マンションに機械式駐車場が備わっていても、利用したことがない人にとっては使い方や利便性のイメージが湧かないかもしれない。機械式駐車場にはいくつかの種類が存在し、利用方法や仕組みに違いがある。また、機械式駐車場を利用するメリットや注意点も気になるところだ。
そこで今回は、機械式駐車場を利用したいと思っている人向けに、基本的な使い方や種類、仕組みについて解説していく。
このページの目次
マンションの機械式駐車場は主に3種類。それぞれの仕組みと使い方

機械式駐車場とは、駐車スペースが複数の階層になっている駐車場のこと。昇降機など機械を使って車の出し入れを行う。
空間を立体的に使用することで狭い土地でも多くの車を収納できるため、都市部のマンションに多く設置されている。
パレットという車室が上下左右とパズルのように、または垂直方向に動くことで車を入出庫させる仕組みだ。機械式駐車場が大きい場合だと、円状に循環させるところもある。
機械式駐車場の管理には大きな費用がかかる。事故や故障を防ぐために定期的なメンテナンスや、経年によるリニューアルが必要になるからだ。多くのマンションの場合、リニューアル費用は住民の修繕積立金で賄われる。
そんな機械式駐車場だが、種類は大きく3つに分類される。それぞれの種類について、ひとつずつ特徴を見ていこう。
マンションの機械式駐車場の種類①:パズル式駐車場
まずはパズル式駐車場を説明する。パズル式駐車場とは操作盤で駐車スペースの番号を入力すると、車を乗せたパレットを上下左右、パズルのように動かし目的の車を出す駐車場のことだ。
車の出し入れができるスペースは1台分だが、パズル式という名のとおりパレットをパズルのように動かすことで自分の車を出入口まで移動させることができる。別名昇降横行式とも呼ばれている。
マンションの機械式駐車場の種類②:ピット式駐車場
次にピット式駐車場を説明しよう。ピットには「穴・くぼ地」という意味がある。ピット式駐車場は地下も駐車場になっていて、上下に2~4台の車を停められる駐車場のこと。
下段は地下のピットに収納されており、地上からは上段に停めた自動車しか出せない。地上に接する段の車は下段や上段の車に関係なく車の出し入れができる。
地下に収納されている自分の車は、操作盤の駐車スペース番号を押すことでパレットが上下に昇降し、自分のパレットが駐車位置にくる。
マンションの機械式駐車場の種類③:タワー式駐車場
最後にタワー式駐車場である。タワー式駐車場は、車両をパレットに乗せると外からは見られないタワーの中で、車両を乗せたパレットがグルグルと循環移動している駐車場のことだ。
搬器と呼ばれるエレベーターに似た装置によって車両を昇降させることから、エレベーター式とも呼ばれる。立体駐車場と呼ぶときは、このタワー式駐車場を指すことが多い。
多くの車を停められ、また制御も複雑になることから、主にショッピングセンターやホテルといった大規模な施設で採用されていることが多い。
マンションの機械式駐車場を使うメリット

マンションの機械式駐車場には、平置き駐車場にはないメリットがある。機械式駐車場を契約する前に、どのようなメリットがあるのか事前に把握しておくことが大切だ。ここでは、マンションの機械式駐車場を使うメリットについて解説する。
機械式駐車場を使うメリット➀平置き駐車場より料金が安め
機械式駐車場は立体的に車を駐車するので、同じ広さの平置き駐車場よりも多くの駐車台数を確保できる。そのため、機械式駐車場は平置き駐車場よりも料金が安いことが多く、駐車場代の節約に期待できる。
機械式駐車場を使うメリット②近隣車両とのトラブルが起こりにくい
機械式駐車場では近隣車両にドアをぶつけてしまうなどのトラブルが起こりにくい。また、平置き駐車場では駐車スペースのはみ出し問題でトラブルになることもあるが、機械式駐車場ではそのようなトラブルもなく、ストレスなく利用できる。
機械式駐車場を使うメリット③車上荒らし・いたずらのリスクが減る
機械式駐車場は地下や上段に車を格納するので、第三者から車上荒らしやいたずらを受けるリスクが少ない。機械式駐車場の操作には専用キーが必要となるケースが多く、部外者が操作できないようになっている。
また、万が一パレットを操作できたとしても、車を動かすには盗難防止のイモビライザーを解除しなくてはならない。平置き駐車場よりも手間がかかる分、車上荒らしや盗難で狙われるリスクは低くなるだろう。
機械式駐車場を使うメリット④車へのダメージを防ぎやすくなる
機械式駐車場が室内に設置されている場合、日光や雨から受ける車へのダメージを軽減できる。機械式駐車場自体が屋根の代わりとなって、雨による汚れや直射日光によるボディの色あせを防いでくれるからだ。
また、室内の機械式駐車場の場合、夏場は車内が暑くなりにくく、冬場は凍結しにくいといったメリットもある。屋外の最上段に駐車しない限り、機械式駐車場が日光や雨風から愛車を守ってくれることになるだろう。
マンションの機械式駐車場を使う際の注意点
機械式駐車場にいくつものメリットがある一方で、使用する際に注意するポイントもある。注意点を頭に入れておかないと、使いたくても利用できなかったり、危険な事故を招いてしまったりする可能性も考えられる。ここでは、マンションの機械式駐車場を使う際の注意点について解説する。
機械式駐車場の注意点➀入庫できる車のサイズに制限がある
機械式駐車場は駐車スペースが狭いことが多く、入庫できる車のサイズが制限される場合がある。とくに、車高については「ロールーフ」「ミドルルーフ」「ハイルーフ」の3パターンの制限があり、サイズが合わず利用できないケースも少なくはない。また、車長や車幅、重量なども制限している機械式駐車場もあるため事前の確認が必要だ。
機械式駐車場の注意点②入出庫に時間がかかる
機械式駐車場は機械操作によって車の出し入れを行うので、平置き駐車場よりも入出庫に時間がかかってしまう。また、マンションの同居人が先に操作しているときは、入出庫が完了するまで待たなくてはならない。
機械式駐車場の注意点③メンテナンス・故障・災害などで使えなくなる可能性がある
機械式駐車場は定期的にメンテナンスを行うため、その間は使用することができない。また、操作不慮や災害などによる故障や事故が発生した場合、修理期間中は使用不可となるだろう。さらに、機械式駐車場が地下にあるマンションだと、台風による大雨や洪水などが原因で車が水没してしまうリスクもある。
機械式駐車場の注意点④事故が起こらないよう注意する
機械式駐車場は大掛かりな機械が動く場所なので、事故が起こらないように十分注意する必要がある。とくに小さな子どもを巻き込んだ事故が多く報告されており、死亡事故に繋がってしまったケースも中には存在する。小さな子どもが近くにいるときは、周囲の安全を確認するなど、機械式駐車場の利用には細心の注意を払いたい。

ライフスタイルに合わせて機械式駐車場を選ぼう
機械式駐車場にはいくつか種類があり、メリットもあれば注意点もある。賃料が安くてセキュリティーが高い反面、使用する際に時間がかかる場合があったり、車種によっては利用できなかったりするので注意が必要だ。
人によっては機械式駐車場が向いていない人もいるだろう。自分の車の使用状況やライフスタイルと照らし合わせて、機械式駐車場の特性をよく理解したうえで選ぶようにしよう。
参照:国土交通省「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」の手引き