アパートとマンションの違いは?定義やそれぞれどんな人におすすめなのか解説
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アパートやマンションで防音性の高い部屋を選ぶコツ

「アパートは防音性が低く、マンションは防音性が高い」と言われることが多いが、これはあくまで一般論だ。
防音性が高い部屋を探す場合は、アパートやマンションといった建物の種類だけでなく、個別にチェックすべき3つの項目がある。
- 建築方法
- 間取り
- 部屋選び
「マンションは防音性に優れている」とひとくくりにするのではなく、これらの項目を押さえたうえで、物件選びをしていこう。
建築方法
防音性は『木造(W造)→軽量鉄骨造→重軽量鉄骨造→重量鉄骨造→鉄筋コンクリート造(RC造)→鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)』の順で高くなる。
特に、鉄筋コンクリート造(RC造)と鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は、コンクリートの厚みがあるため、防音性が比較的優れている。ただし、RC造・SRC造であっても、壁の厚さや施工方法によって防音性能が異なるため、内見時に隣室の音の聞こえ方を確認するとよいだろう。
間取り
音の伝わり方は、隣接する部屋の用途によって大きく異なる。例えば、静かに過ごしたい寝室や作業部屋が、隣室のリビングと隣接していると、生活音が気になりやすい。また、収納スペースや共用廊下に面している部屋を選べば、隣室からの騒音を軽減しやすいだろう。さらに、上下階の配置も重要で、1階が駐車場や店舗になっている場合、下の階への足音が響きにくい傾向がある。
防音性を重視するなら、壁や床の構造だけでなく、隣室の間取りについても内見時に確認しておくと安心だ。
部屋選び
生活音が気になる場合、前述のとおり隣り合っている部屋がポイントだ。
隣接する部屋が少ない角部屋や最上階、共用廊下に面していない部屋は、生活音が気になりにくい部屋といえるだろう。
ただし、建物自体の防音性が低い場合、隣室との騒音は軽減されても交通音や周囲の環境音といった外部からの音が響くこともあるため、防音性能のあるカーテンや遮音アイテムなどを使って対策をしよう。
また、自分の出す生活音が気になるという人は、隣接する部屋の少ない1階や角部屋を選ぶのもおすすめだ。
アパートやマンションを選ぶ際のポイント

物件選びをする際には、防音性に加えて以下の項目も重視しよう。
- 家賃
- 部屋の広さ・間取り
- 建物の設備
- 周辺環境
これらの項目とアパート・マンションそれぞれのメリット、デメリットを踏まえて、自分にとって理想の物件を探していこう。
家賃
毎月の固定費となる家賃は物件選びにおいて重要な項目だ。一般的な目安としては手取り収入の3分の1以下といわれている。
ただし、職場からの距離や防音性など、どうしても譲れない条件があるのであれば、目安よりも高い家賃の物件を選ぶのもよいだろう。
家賃は家計に与える影響が大きく、たとえ毎月の家賃が5,000円違うだけでも、1年間では6万円の支出となる。
食費や水道光熱費と違い、家賃は完全な固定費であり節約ができない。
魅力的な物件を見つけたとしても、家賃だけは慎重に考えていこう。
部屋の広さ・間取り
部屋の広さや間取りも、日々を快適に過ごすうえで重要なポイントだ。
国土交通省が令和3年3月に公表した「居室面積水準」によると、最低限必要とされる居住面積(最低居住面積水準)と、快適な暮らしを送るための居住面積(誘導居住面積)が記載されている。
世帯人数 | 最低居住面積水準 | 誘導居住面積 |
---|---|---|
単身 | 25㎡ | 40〜55㎡ |
2人 | 30㎡ | 55〜75㎡ |
3人 | 40㎡ | 75〜100㎡ |
もちろん上記の基準はひとつの目安だ。「仕事部屋が欲しいため、広さよりも部屋数優先」や「家で筋トレ(フィットネス)をするため、広々としたスペースが欲しい」など、個人の用途に合わせて考えていくのもよい。
※出典:国土交通省「住生活基本計画(全国計画)p28~29」
建物の設備
物件を探すうえで、快適に暮らすためには、建物の設備もチェックしておこう。
セキュリティ面の設備としては防犯カメラやオートロックなどがある。
利便性に関する共用設備としては、24時間対応のゴミステーションや宅配ボックスなどが挙げられるだろう。
また、ドラム式洗濯機は設置できるのか、料理をするのに必要なスペースは確保されているのか、といった自分のライフスタイルに沿った設備も確認しておこう。
しかし、魅力的な設備が増えるにつれて家賃水準も高くなる。
物件選びの際には絶対外せない設備や妥協できる設備など、希望条件に優先順位をたてておこう。
周辺環境
物件選びの際は周辺環境についても考えておこう。
最寄り駅までの距離やスーパー・コンビニの有無だけではなく、周囲の交通量や人通りなども重要だ。特に、幹線道路や繁華街までの距離といった周辺の騒音状況は、生活の質に影響するため、内見時に確認するのがおすすめだ。
また、物件の周囲に日当たりや風通しを阻害するような建物がないかも確認しておこう。
建物の周りに高いマンションが建っており、想定よりも日当たりや風通しが悪かったという事例は珍しくない。
物件の周辺環境も暮らしに直結する要素であるため、実際に内見をして自分の目で確認することが大切だ。
アパートがおすすめなのはどんな人?

最後に、どんな人がアパートに向いているのか見ていこう。
- 家賃を安く抑えたい人
- 家にいる時間が短い人
家賃を安く抑えたい人
趣味にお金をかけたい社会人や、夢を追いかけている人、勉学に励みたい大学生など、生活費の一部を別の目的に充てたい人にとって、家賃を抑えられるアパートは魅力的な選択肢となる。
また、家賃が低いことで家計の負担を軽減できるため、収入が限られている人や、毎月の支出を抑えたい人にも適している。貯金や投資に回す余裕を持ちたい人にとっても、コストを抑えられるアパートの住まいはメリットが大きい。
限られた予算のなかで、何に優先的にお金を使いたいかを考えた上で、アパートを選ぶことでより充実した生活を送ることができるだろう。
家にいる時間が短い人
アパートは防音性が低い傾向にあり、部屋によっては隣接する部屋からの生活音が昼夜を問わず聞こえる可能性がある。
さらに、気密性の関係から冷暖房の効きが弱く、夏は室内が暑くなりやすく、冬は冷え込みやすい傾向にある。
そのため、自宅での学習やテレワークなど、静かな環境が求められる作業には向かない場合がある。
一方で、日中は外出することが多く、自宅で過ごす時間が短い人にとっては、こうした点が大きな問題になりにくいだろう。
マンションがおすすめなのはどんな人?

続いて、マンションは以下のような人に適していると考えられる。
- 小さな子どもがいるファミリー
- 防犯性や設備を重視したい人
- 静かな環境で暮らしたい人
それぞれ具体的に見ていこう。
小さな子どもがいるファミリー
マンションは一般的に防音性が高いため、子どもの足音や生活音が周囲に響きにくい。また、共用設備としてエントランスやオートロック、防犯カメラなどが整備されている物件も多く、安全性の面でも安心できる。
このように、小さな子どもがいるファミリーにとっては、マンションがおすすめといえるだろう。
防犯性や設備を重視したい人
防犯カメラやカメラ付きインターホンなどの設備があるマンションは多い。
また、オートロック付きのエントランスであれば部外者は容易に建物内に入ってこれず、4階以上の中高層階ならばベランダから侵入されるリスクも小さくなるだろう。
共用設備が整ったマンションは防犯性が高く、セキュリティ面を重視する人にはマンションがおすすめといえる。
静かな環境で暮らしたい人
テレワーク中心の働き方をしている人や家で読書をして過ごすという人は、外からの音や隣室の生活音が極力入ってこないマンションが適している。
昨今は通話アプリを開いて友人たちとゲームをする人や、副業のために家でも仕事や勉強をする人も増えてきた。
自分の生活を見直し、静かな環境で暮らしたいという人にはマンションが適した住まいの選択肢となるだろう。
アパートやマンションの違いを把握して自分に合った物件を選ぼう

今回はアパートとマンションにおける集合住宅の建物種別の違いについて解説してきた。
また、メリットやデメリットについても一般的な傾向をご紹介したが、建物の構造や設備、管理体制は物件毎に異なるため、アパートやマンションというくくりではわからない部分がある。
設備が充実したアパートもあれば、管理体制が不十分なマンションや、共用部の清掃・修繕が行き届いていないマンションも存在するため、建物の名称や構造だけで暮らしやすさを判断するのは難しい。
大切なことは、自分のライフスタイルに合った住まいを選ぶこと。家賃や防音性、設備の充実度など、譲れない条件を明確にし、アパートやマンションという枠にとらわれずに物件を検討することが、後悔のない住まい選びにつながるだろう。
お部屋探しは新生活の第一歩だ。ぜひ自分の理想の生活をイメージしながら、そして楽しみながら新居を探してみてほしい。