【映画】huluで観られる劇場版『名探偵コナン』シリーズ15作を解説!魅力と人気の理由とは?
huluで観られる劇場版『名探偵コナン』シリーズ15作一挙紹介
この記事では、本日4月10日に『名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』(2016公開)、翌週4月17日に『名探偵コナン 紺青の拳(こんじょうのフィスト)』(2019公開)が地上波放送されることを記念して、動画配信サービス「hulu」で観られる劇場版『名探偵コナン』15作それぞれの見所を公開順にオススメ度(☆の5段階評価)と共に紹介し、劇場版『名探偵コナン』を総括した魅力についても記して行こう。作品によっては少し苦言を呈しているところもあるが、ご容赦いただければ幸いである。
huluで観られる劇場版『名探偵コナン』10:『探偵たちの鎮魂歌(レクイエム)』(2006)
オススメ度:☆☆
劇場版『名探偵コナン』の第10作目を記念して、人気キャラがほぼ勢揃いしたオールスター作品。物語は、謎の依頼人から「12時間以内にある事件の謎を解かなければ、遊園地にいる蘭や少年探偵団に仕掛けた爆弾を爆発させる」と脅される、というもの。いつものメンバーが人質に取られてしまうというサスペンス性が前提にあり、コナンが小五郎がタッグを組み次々に告げられる謎を解いていく。服部平次や怪盗キッドなど人気キャラが次々に登場し、「なぜ依頼人は小五郎だけでなくコナンを捜査に同行させたのか?」という疑問もしっかり物語に組み込まれているなど、いつも以上にサービス精神が満載な内容となっている。
コナンの事件の捜査、遊園地にいる蘭や少年探偵団、警察の佐藤美和子や高木渉、何者かに命を狙われる怪盗キッドなど、複数の視点が存在する作品であり、正直に言って散漫な印象は否めない。たくさんの人気キャラが登場するだけに、個々の見せ場がそれほど盛り上がらなかったり、その役どころが強引に感じてしまうという不満もある。一方で、セリフには記憶に残るカッコいいものが多く、改めて『名探偵コナン』のキャラそれぞれの魅力を再確認できる1本だ。
劇場版『名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌(レクイエム)』をhuluで観る
huluで観られる劇場版『名探偵コナン』11:『紺碧の棺(ジョリー・ロジャー)』(2007)
オススメ度:☆☆
島での“宝探し”をモチーフにした作品だが、残念ながら劇場版『名探偵コナン』の中でも世間的な評価はかなり低い。
空手が得意のはずの蘭が人質になり言われるがまま、小五郎や警察が悪天候のため“待たされる”など、必要以上にフラストレーションが溜まってしまう展開が多い。オープニングにサプライズが用意されているが、これが唐突かつ本筋の物語とほとんど関係なく思えてしまうのも残念だ。
一方で、シリーズ中ワーストと短絡的に切り捨ててしまうには勿体無い魅力もある。前提となる宝探しの要素は子供心をくすぐるし、伝説の女海賊「アン・ボニー」と「メアリ・リード」のトリビアはしっかり物語に生かされている。蘭とその親友の鈴木園子が窮地に陥り“共闘”すること、灰原哀とコナンの関係性を表す“あの言葉”も大好きだ。こうしてキャラ同士が何かの事件を経て成長する、またそのお互いへの思いやりが深まっていくというのも、劇場版『名探偵コナン』の大きな魅力だ。
劇場版『名探偵コナン 紺碧の棺(ジョリー・ロジャー)』をhuluで観る
huluで観られる劇場版『名探偵コナン』12:『漆黒の追跡者(チェイサー)』(2009)
オススメ度:☆☆
『天国へのカウントダウン』(2001)でも登場していた、コナンの最大の宿敵である黒の組織との対決を物語の軸にした作品である。その「“黒の組織”のメンバーが警察に潜入している!一体誰だ?」という今までにない物語のとっかかりがあり、並行して連続殺人の謎を服部平次の手も借りて解いていくことになる。
ただ、細かい推理要素が説得力に欠けており、クライマックスで「それは幾ら何でも無理だろ!」と許容範囲を超えたツッコミどころがあるのは残念だった。オープニングのサプライズは良くも悪くも笑ってしまったが、これは“反則”であるとも思ってしまう。
『名探偵コナン』には事件の推理をする“1話完結型”の物語の他にも、シリーズ全体を貫くラブコメや黒の組織との対決という大きな物語の軸が存在し、それが良いところでもあるのだが、それらが1本の映画の中でうまく噛み合ってないこともある、というのが正直なところだ。
劇場版『名探偵コナン 漆黒の追跡者(チェイサー)』をhuluで観る
huluで観られる劇場版『名探偵コナン』13:『異次元の狙撃手(スナイパー)』(2014)
オススメ度:☆☆☆☆
初めからコナンの”ターボエンジン付きスケートボード”で犯人を追跡するという見せ場が用意され、次々とターゲットを狙う凄腕のスナイパーとの攻防、その犯人の悲しい過去をたっぷり描くなど、スピーディーかつバラエティ豊かな見せ場でグイグイと観客を魅了していく、劇場版『名探偵コナン』の初期作に回帰したかのようなエンタメ要素が詰まった作品だ。
女子高生探偵の世良真純が初登場する作品で、その“ボクっ娘”の一人称と、「君の心臓……」に続く“イケメン”なセリフにも惚れ惚れできる。FBIメンバーの赤井秀一やジョディ・スターリングなどの人気キャラも初登場となり、いよいよ(後にもまとめるが)劇場版『名探偵コナン』の“キャラ萌え”が極まった1本とも言えるだろう。また、劇場版の初期作では“守られる立場”であることも多かった毛利蘭に「弾丸を避けようとする」という超人的な見せ場が用意され、犯人とマンガ『北斗の拳』を思わせる対決をさせるというのも愉快だ。
劇場版『名探偵コナン 異次元の狙撃手(スナイパー)』をhuluで観る
huluで観られる劇場版『名探偵コナン』14:『から紅の恋歌(ラブレター)』(2017)
オススメ度:☆☆☆
『迷宮の十字路(クロスロード)』(2003)でも描かれていた、服部平次と遠山和葉の関係性に焦点を当てた百人一首をモチーフにした作品だ。
“未来のクイーン”とされ百人一首の高校生チャンピオンが平次を“未来の旦那さん”と呼び、そのことに和葉が戸惑いヤキモチを焼く過程にはニヤニヤが止まらない。和葉が百人一首の真剣勝負に挑むために猛特訓するという“スポ根”ものの要素も備えている。
コナンと平次がタッグを組んだアクションも、いよいよ「スーパーヒーロー映画か!?」と思うレベルまで良い意味でインフレしていて楽しい。ただ、並行して描かれる殺人事件の推理要素が本筋とあまり噛み合っておらず、状況や人物の説明ばかりであまり興味を惹かれないのが勿体無い。それでも、かわいい女心を描いたラブコメ主体の作品として十分に楽しめるだろう。
劇場版『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』をhuluで観る
huluで観られる劇場版『名探偵コナン』15:『ゼロの執行人』(2018)
オススメ度:☆☆
“3つの顔を持つ”ミステリアスな人気キャラクター・安室透をメインに据え、その謎めいた行動を追う内容だ。それと並行して公安警察という組織の体制や、弁護士の立場にまつわるトリビアも楽しめる内容となっている。
終盤に訪れるカーアクションシーンは良い意味で荒唐無稽でぶっ飛んでおり、笑いながらも大興奮できるだろう。
評判の良い作品であるが、個人的には悪い意味でモヤモヤが残ってしまった1本だった。詳しくはネタバレになるので書かないでおくが、完全に“後味の悪い話”であり、真相が明かされても(むしろだからこそ)安室透の行動が納得しにくく、大人気キャラのはずの彼に好感を持てなくなってしまうのが残念だった。
安室透というキャラの魅力を知りたいのであれば、原作の総集編『安室透セレクション』や、スピンオフのマンガ作品『ゼロの日常』を読んでみるのもオススメだ。
劇場版『名探偵コナン』、ここに注目すればもっと面白くなる「3つ」のポイント!
改めて劇場版『名探偵コナン』を振り返って、このシリーズならではの魅力が数多くあることに気づかされた。ここに注目すればもっと面白くなる「3つ」のポイントをご紹介する。
劇場版『名探偵コナン』の魅力1:“キャラ萌え”がシリーズを追うごとに進化している!
劇場版『名探偵コナン』シリーズでは、キャラそれぞれを”観れば観るほど好きになる”。下世話な言い方をすれば(前にも書いたが)“キャラ萌え”が半端ではなく、その魅力がシリーズを追うごとに増していっているのである。
以前の作品であまり活躍できなかったキャラが、後々に大きな見せ場が用意されていることも多い。例えば、怪盗キッドは『世紀末の魔術師』(1999)『銀翼の奇術師』(2004)ではメインに据えたわりには活躍が少なく感じたこともあったのだが、『天空の難破船(ロスト・シップ)』(2010)ではコナンとタッグを組み全編で活躍するようになっている。
以前はコナンの活躍の陰に隠れがちだった毛利蘭や小五郎も、後々の作品では犯人に直接対決を挑むようにもなっていく。『天国へのカウントダウン』(2001)の灰原哀のように以前と違う一面を見せるキャラもいるので、そのキャラがもっと大好きになるのだ。他にも、『迷宮の十字路』(2003)などで名前だけ登場していた(園子の恋人の)京極真が、『紺青の拳』(2019)でやっとメインに据えられた、というような配役もあるので、やはりファンにとっては「“推しキャラ”の活躍が来た!」という感動もひとしおなのだろう。
それでいてすごいのが、「このキャラはこんなこと言わない!」と違和感を覚えることがほぼなかったこと(黒の組織のジンのドジっ子ぶりには困惑したが)。
監督や脚本家が変わったとしても、作り手がそれぞれのキャラをとても大切にしていること、そしてさらなる魅力を開拓しようとする姿勢が目に見えるのだ。このキャラへの多大な愛情こそが、『名探偵コナン』の人気に大きく貢献しているのは間違いないだろう。
劇場版『名探偵コナン』の魅力2:平成の時代の変遷を電子機器から感じられる
原作の『名探偵コナン』の連載が開始されたのは1994年、劇場版アニメシリーズが公開されたのは1997年のこと。つまり現実世界では20余年以上も続いているのだが、劇中の登場人物は年を取っていない、いわゆる“サザエさん時空”の作品になっている。
そうであっても、劇中に登場する電子機器などの“時代を象徴するアイテム”はその時代に合わせたものになっているというのが興味深い。例えば、『時計じかけの摩天楼』(1997)ではオープニングの事件でワープロが出てきたり、ブラウン管のテレビを阿笠博士がコナンの元に運んできたり、ということもあった。
劇場版の初期作品では公衆電話から電話をすることも多かったのだが、徐々に携帯電話が進化し、『から紅の恋歌(ラブレター)』ではスマホが登場するようになる。原作マンガでは“ギャル文字”が物語に関わったり、『ゼロの執行人』(2018)ではIOT機器が事件の発端になったりもしていた。
『名探偵コナン』という作品を振り返ると、平成という時代の変遷をなぞるような感慨があり、劇場版は特にそれを如実に感じられるのである。ちなみに、原作マンガの第1話では工藤新一が「平成のシャーロック・ホームズ」を目指していると語っていたのが、令和になった今にはそれが叶わなくなったというのもまた感慨深い(?)ものがある。
劇場版『名探偵コナン』の魅力3:ラブコメや黒の組織との対決は“進んでいる”
劇場版『名探偵コナン』シリーズはそれぞれ物語が独立している上、冒頭に登場キャラクターの紹介を含めたわかりやすい作品解説もあるため、基本的には「どこから観ても楽しめる」作品だ(過去の劇場版でのキャラが再登場することはある)。しかしながら、キャラ同士の関係性やラブコメ要素はむしろ“進んで”おり、連続して観るとそこも大いに楽しむことができるのだ。
例えば、工藤新一と毛利蘭、服部平次と遠山和葉という二大カップルの両思いっぷりは劇場版を追うだけでもさらに強まっているように見えるし、原作マンガでは新一と蘭が今までの「友達以上恋人未満」の関係から正式に恋人同士になっている。
他にも、夫婦ながら別居中の毛利小五郎と妃英理はお互いのツンデレぶりを様々な場面で観ることができるし、警察側のキャラでも佐藤美和子と高木渉というカップルの関係が進んでいる。
恋人同士でなくとも、蘭と鈴木園子、灰原哀と吉田歩美などの友情も描かれ、「このタッグが好き!」と心から思えるようになっている。これもまた前述した“キャラ萌え”を加速させていくのだ。
コナンの宿敵である黒の組織にまつわる物語も、原作では(とてもゆっくりではあるが)着実に進んでおり、この劇場版でも原作とは別の軸で彼らとの様々な対決が描かれている。近年では安室透や赤井秀一などの人気キャラも絡んでおり、新たなファン層を獲得するだけでなく、物語を広げることにも成功しているのだ。
劇場版『名探偵コナン』に、改めて感心させられた
劇場版『名探偵コナン』では、爆弾が仕掛けられ、アイデアを駆使した脱出劇を描かれることも多い。近年の日本映画で、そうした大掛かりなアクションや、子供心をくすぐる探偵道具(発明品)などを利用したワクワクを提供できている作品はほとんどない。
日本が誇るアニメーションという手法で、万人が楽しめるエンタメを提供しているというだけでも、劇場版『名探偵コナン』は偉大だと改めて気づかされた。
『名探偵コナン』は「ファンが卒業しない作品」と語られることが多い。それは自己を投影できたり、そのカッコよさに夢中になれるキャラが、“観客の年齢ごと”にいることも大きな理由だろう。
子供たちは少年探偵団を応援し、中高校生は新一や蘭を、大人になってからは小五郎や英理など、それぞれが自身の年齢に即して感情移入ができる。さらに、安室透や赤井秀一や世良真純などのイケメンキャラは性別や年齢を問わず人々のハートを鷲掴みする。
前述したラブコメの進化や黒の組織との対決など、長寿作品でもあってもマンネリしない工夫も随所に凝らされている。改めて、「ファンが夢中になる理由がある!」「よく出来ている!」と感心させられたのだ。
劇場版『名探偵コナン』シリーズは、『絶海の探偵(プライベートアイ)』(2013)以降右肩上がりで興行成績を伸ばしており、『紺青の拳』(2019)に至っては93.7億円というとんでもない記録を打ち立てた。
その最新作『緋色の弾丸』が公開延期となったのは残念ではあるが、公開された暁にはまた多数のファンを夢中にさせることは間違いない。その日を、とても楽しみにしている。
文=ヒナタカ
インディーズ映画や4DX上映やマンガの実写映画化作品などを応援している雑食系映画ライター。過去には“シネマズPLUS”で、現在は“ねとらぼ”や“ハーバー・ビジネス・オンライン”などで映画記事を執筆。“カゲヒナタの映画レビューブログ”も運営中。『君の名は。』や『ハウルの動く城』などの解説記事が検索上位にあることが数少ない自慢。
Twitter:@HinatakaJeF
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