山林1万坪で500万円!? 山林を購入するときの注意点
田舎暮らしをするために山林丸ごと購入したい!

ここで言う「山林」とは、不動産登記法で宅地や畑などと同様に分類される地目の一つ。野放しの自然を含む、広範囲の土地を指すことが多い。宅地と比べて案件が多いわけではないが、価格は土地の広さに対してかなりお手頃だ。
究極の田舎暮らしを求めるなら、山林購入も一つの手。お買い得物件に出会うにはどうすればいいのか。今回は山林購入のコツをご紹介する。
山林1万坪を500万円で購入した人の話を伺おう
自給自足的な暮らしを目指して、2年前に和歌山県内の山林1万坪を500万円で購入したという田中誠さん(仮名)に、購入時の注意点を聞いた。
情報収集について
「希望する地域が決まっているなら、地元の森林組合や行政機関に紹介を求めるか、山林売買を専門に行っている仲介業者などにコンタクトするのがいいと思います。また、林野庁のホームページでは国有林の競売情報も見られます。こちらもこまめにチェックしておきましょう」
一般的な宅地を手に入れるのとは探し方のルートが異なるようだ。積極的に動いて、根気強く探したいところだ。
注意すること
「今すぐポケットマネーで買えてしまうような山もありますが、価格だけで判断するのは要注意。さまざまな法規制が設けられていて、建物が建てられない場合もあります。また、水を引くこともできず、果ては土壌汚染されていて住むには適さない土地だった……なんてことも十分に考えられます。まずはその土地で何がしたいのか、そしてそこで何ができるのか、ということをきちんと整理する必要があります」
個人で山林を購入する気概があるなら、自らある程度現況を把握できるくらいの知識は必要になりそうだ。測量などでわからないことがあれば、土地家屋調査士など専門家の力を借りることも考えたい。
契約/登記について

「自ら契約書を取り交わして、売り主との間で所有権の移転登記をすることもできるのですが、そこは慎重に進めないと後々トラブルに発展する可能性があります。登記は法務局の相談窓口を利用するか、司法書士を介して進めるのがベターです。後者の場合は10万円程度の費用がかかります」
登記が済んで初めて、山林の所有者としての権利を主張することができる。自らを守るものとしても、契約・登記関係は抜かりなく行いたい。
「山林を求める気持ちさえあれば、必要な知識は後から付いてきますよ」と田中さんは語っている。
興味のある方は、まず理想の山林ライフを具体的に思い描いてみることから始めてみてはいかがだろうか?
山林を購入するメリットと注意点
広い土地を格安で購入できる山林にはさまざまなメリットがあり、自然豊かな暮らしを送るうえで有益な選択肢になる。
一方、確認しなければいけない点も多く、場合によってはトラブルが起きてしまうこともある。この項目では、山林を購入するメリットと特有の注意点についてお伝えする。
山林を購入するメリット
田舎暮らしがしたいという人や、自然のなかで暮らしてみたいと考える人にとって、山林の購入は有益な選択肢の一つになるだろう。山林を丸ごと所有すれば、アウトドアを楽しんだり作物を栽培したりするなど、法律の範囲内で自由に土地を活用することができる。
アウトドアが好きな方であれば、趣味のキャンプをより楽しむことも可能だ。有名なキャンプ場に行かなくても、自分だけの空間で思う存分自然を満喫できる。他人の声も聞こえてくることもなく、リアルな自然を感じることができるだろう。
また、私有地として食物を栽培することもできるため、自給自足生活にも向いている。食費を浮かせることができるし、商売につなげられる可能性もあるのだ。継続的に収穫できるような仕組みを作り、ネットを使ったビジネスを始めてみるのも良いだろう。
山林を購入するときの注意点

注意点としては、管理の大変さを挙げなければならない。広さにもよるが、自分の土地の場所がわからなくなったり、どこまでが自分の土地なのか境界線が曖昧になったりする場合がある。携帯電話の電波が入らなければ、スマホを使えずに苦労するかもしれない。
また、危険な虫や動物が生息している可能性もあるので、事前調査も必要になるだろう。さらに地盤の問題もあり、建築物を建てられない場合があることにも要注意だ。自宅や別荘などを建てたいのであれば、あらかじめ専門の業者に確認を取るようにしたい。
山林を丸ごと購入して、自然と共存する生活を楽しもう!
田舎暮らしを計画しているなら、思い切って山林を丸ごと購入するという方法もおすすめだ。山林全体を私有地にすることにより、土地の使い道は劇的に広がる。
1万坪を500万円で購入した人もいるので、自然と共存する生活に憧れを持つ方は、この機会に山林の購入を検討してみてはいかがだろうか。
(根岸達朗+ノオト)
2021年6月加筆=CHINTAI情報局編集部