【秋冬の睡眠の豆知識】眠りのメカニズムや布団の使い方など寒い季節の快適な睡眠のコツとは?

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睡眠と体温の関係性|冬でも快適に寝る方法

熟睡する女の子
寒い夜はあっという間にやってくる。今のうちから対策を知っておこう

眠りは環境が暑すぎても寒すぎても影響を受ける。毎日の睡眠をより質の良いものにするには、眠りのメカニズムの基本をおさえること、そしてパジャマや布団など季節に応じた寝具選びが重要だ。

今回は寒い冬でも快眠を得られるポイント、避けたい行動などをご紹介する。

睡眠と体温は深い関係がある

眠る女性
毎日なんとなく眠っているけど、きちんとメカニズムはあるのだ

体温は約1日の周期で1℃ほど上下する。夕方~宵の口をピークに下がり始め、明け方にかけて徐々に上がってきて活動の準備を始める。

そして、睡眠は体温のリズムと連動することがわかっている。つまり、体温が下がらないと眠くならない仕組みになっているのだ。深部体温をさらに下げるために、就寝前には手足などから熱を外に出して眠りに入る準備を整える。これが人に備わっている眠りのメカニズムだ。

寒い冬でも睡眠に適した体温を維持するための5つのテクニック

気温がぐっと下がる冬は、足先が冷えてなかなか眠れないことも多い。寒い冬場でもぐっすり眠るには、身体の末端を温めつつ、放熱を促すのが効果的だ。こちらでは、睡眠に適した体温にするための方法を5つ紹介しよう。

睡眠に適した体温を維持する方法①:ぬるめのお湯で入浴

足湯
足湯も睡眠に効果的だ

身体を芯から温めて足先からの放熱をスムーズにするためには、就寝前の入浴(ぬるめのお湯)が効果的だ。

入浴はリラックスできるだけでなく、深部体温を一旦上げてくれる。また、入浴によって上がった体温は下がりやすくなるという性質を持っているので、眠りにつくためにはぴったりの手段だといえる。

また、入浴や足湯の際に、好みの香りの入浴剤やアロマオイルを使うのもおすすめ。よりリラックスできるようになるので、気になる方は一度試してみてはいかがだろうか。

睡眠に適した体温を維持する方法②:秋冬用の寝具を使う

暖かい布団
この秋冬は、敷布団や敷き寝具を暖かいものに変えてみよう

お風呂や足湯でせっかく身体が温まっても、布団に入ったときにひんやり冷たいと、血管が引き締まる感じがしてしまう。

そんなことのないよう、常に温かい風合いの寝具にしておくのが望ましい。肌寒いときは、掛け布団を増やすよりも敷き毛布などで下側を暖かくする方が保温効果を期待できる。

厚手のシーツに替えたり、綿毛布を一枚敷いてみたりするのがおすすめ。ただし布地によっては「かけると暑い」「かけないと寒い」などと感じることもある。このような場合には、吸湿性や通気性の良い布地の布団を選ぶのがポイントだ。

また、羽毛布団をかける場合は、身体の上に羽毛布団をかけるようにすると良い。この方が羽毛の保温効果を発揮するので、かける順番にも注意しよう。

睡眠に適した体温を維持する方法③:パジャマは吸湿性が高く、締め付けが緩いものを選ぶ

靴下
いくら冷えても、眠る際の靴下には要注意

寒い夜でも心地よく寝るためには、パジャマの肌触りや素材選びも大切だ。できればほっこりした感触の素材のものに替えるのが良いだろう。

ただしフリースは吸湿性が悪いため、パジャマとしてはおすすめしない。睡眠中はコップ1杯分の汗をかくため、布団の中が蒸れて寝苦しくなるので要注意だ。

また、睡眠中は無意識下で20~30回くらいの寝返りを打っている。フードがついているパーカタイプの場合、寝返りを打った際に首周りがゴロゴロし、睡眠に影響が出る可能性がある。快適な睡眠のためには、パジャマに着替えるのがベストだ。

そして、靴下を履いていないと冷えて寝つけないという女性は多い。しかし快眠のためには、最終的に足先血管から熱を逃がすことが大切なので、布団に入ったら裸足になるのが望ましい。もし、靴下を履く場合は、足首のゴムの締め付けが緩めのものや、朝起きたら脱げてしまっているくらいのものが良いだろう。

睡眠に適した体温を維持する方法④:湯たんぽや電気毛布を活用しよう!

湯たんぽ
最近はレンジでチンするものなど、手軽に使える湯たんぽが増えている

「湯たんぽ」は、身体の末端部分を温めることで寝つく際に深部体温が下がりやすくし、寝つきをスムーズにしてくれる道具だ。

また、布団乾燥機や電気毛布も寝る前から準備しておこう。布団に入ったらスイッチをオフにするか、3時間くらいのオフタイマーをセットすることがおすすめだ。一晩中スイッチを入れていると、体温が下がりにくくなったり、乾燥から喉の渇きや皮膚のかゆみが起こったりするなど、身体に悪い影響を与えてしまうこともあるので注意しよう。

睡眠に適した体温を維持する方法⑤:湿度にも気を配ろう

加湿器
秋冬は保湿が大事!

寝るときは暖房を16~19℃くらいの間に設定すると、もっとも睡眠感が良いという実験結果がある。部屋の温度が13℃を下回ると寒さで目覚めてしまい、寝つきも悪くなってしまうので、室内の温度調整には注意が必要だ。

また、温度だけでなく湿度も快眠に影響する。冬は加湿器を使ったり濡れタオルを干したりするなどして、部屋の湿度を50%程度に保つようにしたい。

体温調節に悪影響を与える睡眠前のNG行為4つ

これまで紹介したような対策に取り組んでも、以下のようなNG行動をしてしまうとその効果も薄れてしまう。快適な睡眠を求めるなら、毎日の生活習慣を見直してみよう。ここからは、快適な睡眠のために避けたい行動を4つほど紹介していく。

体温調節に悪影響を与えるNG行為①:睡眠直前の食事

夜遅くまで残業したり、インターネットをしていてつい夜更かしをしたりすると、小腹が空いて何かつまみたくなるもの。しかし、就寝前に何か食べてしまうと快眠の妨げになってしまう。

胃腸の働きにはリズムがあり、丑三つ時といわれる午前2時から朝方までは消化酵素の生成が抑制される。この時間帯に食事をすると胃腸に大きな負担がかかるり。刺激を受けた脳は休むことができず、その結果睡眠に必要な体温調節もできなくなってしまうのだ。

特に消化に悪い肉や揚げ物などを食べてしまうと、消化に時間がかかり、眠りにつくことができなくなってしまう可能性も。また、胃酸が逆流してしまい、胸やけを起こしてしまうことも考えられる。基本的に就寝直前の食事はNGだが、空腹でどうしても眠れないというときは、白湯を飲んだり、おかゆやゼリーなどの消化に良いものを少量食べて空腹を紛らわそう。

体温調節に悪影響を与えるNG行為②:睡眠直前の飲酒

世界的に見ても、日本人は寝酒を習慣にしている人が多いといわれている。確かに寝る前の少量の飲酒は眠りをもたらすが、アルコールによるその効果はわずか3時間ほどだ。

また、アルコールを分解するためには水分が必要なため、睡眠中に喉が渇きやすくなる。さらにはアルコールの利尿作用もあり、これらの効果で目が覚めやすくなるのだ。

就寝直前の飲酒は睡眠の質を下げることになり、熟睡することも難しくなってしまう。また、飲酒量を過度に増やすと耐性がついてしまい、場合によってはアルコール依存症になってしまう可能性がある。睡眠前の飲酒が習慣になっている場合は少しずつ量を減らしていき、お酒に頼ることなく眠れるように工夫してみよう。

体温調節に悪影響を与えるNG行為③:睡眠直前の熱い風呂への入浴

すでに紹介したとおり、睡眠直前にぬるめのお風呂に入るのは快眠に効果的だ。しかし、逆に熱い風呂に入った場合はどうなってしまうのか疑問に思う方もいるだろう。就寝前に42℃以上の熱い風呂に入った場合、交感神経が活発に働いてしまい、眠りづらくなってしまうため注意が必要だ。

交感神経と副交感神経はアクセルとブレーキの関係だといわれている。癒しを与えてくれる副交感神経よりも、興奮をつかさどる交感神経が活発化すれば、ぐっすり眠れなくなるのも大いに頷けるだろう。

体温調節に悪影響を与えるNG行為④:厚着は睡眠中の放熱を妨げる

眠りにつくには身体の深部温度を下げていく必要がある。それにもかかわらず厚着をしてしまうと、放熱ができなくなり体温の下降を妨げてしまう。

身体と脳は、起床時から就寝時に至るまで、熱の生成と放熱を繰り返して体温調節をしている。このリズムは厚着によっても影響を受けるため、快眠の邪魔なってしまう。。

放熱がうまくいかなくなると、なかなか寝つけなかったり眠りが浅くなってしまったりすることになる。朝もすっきりと起きることができず、頭も働かなくなってしまう。寒い冬に厚手のセーターなどを着ている方は、少し薄手のものに替えてみると良いだろう。

睡眠と体温の関係性を知って寒い冬でも快眠を得よう

快適な睡眠を取って免疫力や体力をキープすることも、元気に毎日を過ごすための秘訣である。良質な眠りを追求して、毎日をもっと快適に過ごしてみよう。

文=鍛治 恵(かじ・めぐみ)
睡眠改善インストラクター。寝具会社入社後、社内の研究部門にて調査研究業務に従事。睡眠文化調査研究や睡眠文化フォーラムなどのコーディネーションを行う。2009年寝具会社を退社後は、在籍中に取得した睡眠改善インストラクターとして、生活の中でできるより良い睡眠習慣について、講演・コラム執筆などの活動を行っている。
オフィシャルウェブサイト:https://sleepculture.net/dorm/index.html

2021年8月加筆=CHINTAI情報局編集部

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