ＤＩＹ可！ セルフリノベーション物件の魅力について聞いてきた

賃貸マンションなのに入居者が内装を自由にカスタマイズできる賃貸物件が人気！　福岡県にあるＤＩＹ可物件・大橋吉浦ビルでルームシェアをしている女子大生コンビに、セルフリノベーション物件の魅力を聞いてきた

ＤＩＹ可の賃貸物件に住む女子大生のお２人

福岡県にあるＤＩＹ可の賃貸物件「大橋吉浦ビル」

大橋吉浦ビルのお部屋

大橋吉浦ビルの一部屋の間取図

家賃：５０，０００円
間取り：２ＤＫ（４０㎡）
物件名：大橋吉浦ビル
所在地：福岡県福岡市
構造：ＲＣ造４階建て
築年数：３５年
戸数：２０戸
設備：天然ガス、灯油ボイラーなど

苦労したぶんだけ生活が楽しくなる

有孔ボードは安いうえに見た目がオシャレ。お金をかけない工夫が随所に見られる

温かい風合いが素敵な玄関。三和土の上にモルタルでレンガが貼られたもの

立派な靴棚は端材をもらってきて作ったもので、コストは驚きの０円

特にこだわって作ったという脱衣所。家具量販店にて５，０００円で買った大きな鏡がポイント

自作のアクセサリーがディスプレイされ、まるで雑貨屋のような雰囲気

１００円ショップで調達した材料で作ったハンモック。寝袋や登山用のグッズなどをすっきりと収納することができる

賃貸なのに内装のカスタマイズが可能、しかも家賃は格安。福岡市の大橋吉浦ビルはＤＩＹ好きにとって最高の物件だ。改修費用は家賃の３倍までオーナーから補助が出る。改装範囲は「躯体さえ壊さなければそれで良い」という豪快さで、壁を抜くなどの改装も自由にできるという。前の入居者が改装した部屋を気に入れば、そのまま住むことができる。

部屋は全部で２０部屋あり、うち１Ｋが１２部屋、２ＤＫが８部屋。２ＤＫではルームシェアをしている入居者も多いそう。福岡市の西鉄大橋駅から徒歩５分という立地の良さも、住人にとってうれしいポイント。また、１階には共用の工房もあり、ＤＩＹ道具を借りたり、その場で作業することも可能だ。入居者同士で朝食を食べるなどの交流の場としても活用されている。

元々は空室が多かったというこの物件。入居者を増やしたいと考えたオーナーが思いついたのは、物件近くにある九州大学芸術工学部の学生を巻き込むことだった。「うちのビルの１室をリノベーションしてみない？」という呼び掛けにモノ作り好きな学生たちが集まり、やがて学部内で有名な物件となった。現在は空室が出てもすぐに次の入居者が決まる人気ぶりだ。

そんな大橋吉浦ビルの一室で１年前からルームシェアをしているのが、九州大学芸術工学部に通う河合さんと中村さん。
「この物件はうちの学部では有名な賃貸マンションで、もともと気になっていたんです。大学院に進む段階でルームシェアを考えていた時、サークルの後輩の中村さんに話をしたら興味を持ってくれて」（河合さん）

実は中村さん、自宅の部屋を改造して親御さんから迷惑がられるほどのＤＩＹ大好き女子だったのだ。

こうして先輩・後輩コンビによるルームシェアが始まるのだが、即入居というわけにはいかない。部屋は前の住人が引越した時のままで、原状回復も含めて改装していかなければならない。初めてのセルフリノベーションを手探りで進めていき、ようやく住める状態となったのは約１ヵ月後のこと。また改修した後で気が付く細かな失敗もあった。

「床の板を安い材にしたら水分が含まれていたみたいで、敷いた後に縮んでしまい結構な隙間ができてしまったんです」（河合さん）

そんな失敗もポジティブにとらえるのがＤＩＹの楽しみ方。
「最初から乾燥した材を買っていたら、こういうことになるとわからなかった。大学では座学はあっても現場に出る機会がないので、体験できたのは大きいです。ケチったおかげで勉強になりました（笑）」（中村さん）

そんな２人が完成させたダイニングはシンプルでレトロモダンな仕上がり。随所に機能的な工夫が施されているあたり、さすがは芸術工学部の学生である。

苦労したぶんだけ日々の生活が楽しくなる。セルフリノベーションできる大橋吉浦ビルには、そんなワクワクが詰まっていた。

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文＝奈良崎コロスケ
写真＝古本麻由未

※「ＣＨＩＮＴＡＩ２０１７年１２月号」の記事をＷＥＢ用に再編集し掲載しています
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