【住む街ガイド】小説『バスを待つ男』の舞台・王子は懐かしさと心ほぐれる街だった

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小説『バスを待つ男』(西村健・著)の舞台になった王子の暮らしやすさを調べてみた

バスを待つ男 西村 健・著 1,620円 実業之日本社

バスを待つ男
西村 健・著 1,620円 実業之日本社

『バスを待つ男』のあらすじ

かつて警視庁捜査一課の刑事として仕事にまい進してきた主人公が、東京都発行のシルバーパスを購入したことをきっかけに小さなバス旅を趣味としていく連作短編集。
路線バスの旅で見聞きした日常の謎を妻が解き明かすミステリー的な楽しみだけでなく、知っているようで知らなかった街の様子が手に取るように伝わり、「乗ってみたい」と思えるはず!

江戸の名所が今も人々を癒やす王子

小さな子どもたちの笑いさざめく声が聞こえること、それは安心して暮らせる街の条件の一つといえるかもしれない。『バスを待つ男』の第2章の舞台である王子稲荷神社は、境内が丸ごと幼稚園だった。

この小説は「トラベルミステリー」といっても、血が流れることもなく、ささくれだった敵意も登場しない。トラベルといっても足は都バスばかり。引退した元刑事がバス旅を楽しむ中、巡り合う小さな謎を読み解いていく。その知的ゲームとともに東京の街が生き生きと描かれるのだ。

その昔、ここ王子周辺は江戸の一大行楽地だった。今も名所となっている飛鳥山桜、台地を割って流れる音無の渓谷。完全に市街地化したように見えても、その名残は至るところに見つけられる。開発を逃れた武蔵野台地東端の斜面には、王子稲荷がそうであるように緑が残り、付け替えられた旧河道は親水公園に生まれ変わって街の人々を癒やしている。そして、駅前から続く飛鳥大坂では都電が今も「路面電車」として駆け抜ける。江戸の香り、昭和の匂い、そして現代。

数々の時代を重ねたこの街の住人として気ままに歩き回り、自分だけの小さな「ミステリー」を発見してみたくなる。

小説に登場するスポットを歩いてみよう!

スポット①:音無親水公園

日本の都市公園百選にも選定されている!

日本の都市公園百選にも選定されている!

かつての石神井川の流路が公園として整備されている。橋の上は本郷通りだが、喧騒から切り離されて落ち着いた空間。主人公と彼の相棒である吉住が、休日の散策を楽しむ場面で登場する。

●住所:東京都北区王子本町1丁目
●アクセス:JR王子駅(北口)から徒歩1分
●TEL:03-3908-9275
●開園時間:9:00~16:00(夜間部分閉鎖あり)

 

スポット②:王子稲荷神社

落語「王子の狐」の舞台としても有名

落語「王子の狐」の舞台としても有名

王子駅から徒歩5分のところにある神社。関東稲荷総社の格式を持ち、江戸時代より庶民に親しまれてきた。作品内では眷属として置かれた狐の石像が謎解きの対象となる。

●住所:東京都北区岸町1-12-26
●アクセス:JR王子駅(北口)から徒歩5分
●TEL:03-3907-3032
 

スポット③:王子扇屋

一度食べたらやみつきに!

一度食べたらやみつきに!

柔らかく出汁の効いた甘い厚焼き玉子が絶品

柔らかく出汁の効いた甘い厚焼き玉子が絶品

江戸時代からの歴史を持つ老舗。持ち帰り専門の庶民的な店構えが特徴的だ。主人公の妻の卵焼きはこの店の味と同じくらいおいしいのだそう。

●住所:東京都北区岸町1-1-7新扇屋1F
●アクセス:JR王子駅から徒歩3分
●TEL:03-3907-2567
●営業時間:11:00~19:00
●定休日:不定休

王子の暮らしやすさについて

駅近くは下町の雰囲気、少し離れれば比較的新しい住宅街。京浜東北線で東京まで約15分、東京メトロ南北線で永田町まで約20分という便利さのわりに、比較的家賃相場は低め。駅前のサンスクエアはボウリング場やゴルフ練習場、バッティングセンターなどに加え東武ストアもある。男性には昭和の香りが残る飲食街「柳小路」もオススメだ。

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文=上田泰久
写真=尾形和美

 
※「CHINTAI2017年9月号」の記事をWEB用に再編集し掲載しています
※雑誌「CHINTAI」2017年11月24日発売号の特集は「賃貸DIY」。こちらから購入できます(毎月24日発売)
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