【暮らし探訪】理想のワークライフバランス。留学で人生を変えた29歳男性の部屋
新卒で入社した会社で多忙な毎日を送っていた稲葉さん(29歳)。ふと目にした友人のSNS投稿がきっかけとなって大きく人生を変えることになる。そんな彼の暮らしと価値観を探ってみた
プロフィール
名前:稲葉貴朗さん
職業:旅行会社・営業
出身地:東京都
生年月日:1988年4月6日
小学生のころの夢:将来のことを考えていなかった
小学生時代のマイブーム:テレビゲーム、遊★戯★王カード、ジャッキー・チェンの映画、縄跳び
ルームデータ
所在地:愛知県名古屋市
家賃:7万6000円
間取り:1K(31㎡)
築年数:0年

間取図
社会人3年目の時、将来に疑問を持った
ワーク・ライフ・バランス。「仕事と生活の調和」を意味する言葉で、最近では勤務先を選ぶ際に重視する人も増えている。
今年6月からウェブ旅行代理店に転職した稲葉貴朗さんは、まさにワーク・ライフ・バランスを実現させた一人。自分自身を見つめ直した末、仕事と休日のメリハリをつけやすい外資系企業のみに的を絞って転職活動したのだ。
2011年、稲葉さんはBtoBの商社に新卒で入社。飲食店や企業などにエアコンを売る営業を担当した。当初は成績も上がらず辛い毎日だったが、徐々に営業力を身に付け、入社1年目の終わりには売上No.1の営業マンに。商材が売れるようになって、働く喜びを感じられるようになった。
「契約を結んでくれるのは、自分を信じてくれた証拠。そう考えるとモチベーションもグッと上がり、もっと頑張ろうと思えました」
しかし、3年目を迎えた頃、自身の将来に疑問を抱くようになる。実は、稲葉さんは入社前から「ひとまず3年間」と決めていた。その期限が迫り、これからどうしようか?と考えるようになったのだ。
「仕事のやり甲斐はありましたが、残業が多く、ときには土曜日も働かなければいけない。会社のやり方や将来性にも、自分自身の今後にも不安を感じていました」
そんなある日、転機が訪れる。それは、ワーキングホリデーをしている友人のSNS投稿だった。
「彼女もかつてはハードワークしていたのに、オーストラリアでゆとりある暮らしを謳歌していた。衝撃を受けましたね」
ワーキングホリデーとは、18~30歳を対象にした、休暇を楽しみながら働ける特別ビザ制度。もともと旅行好きな稲葉さんは以前オーストラリアを訪れ、「一度は住んでみたい」とあこがれていた。英語を勉強したい気持ちもあって一念発起。会社を辞め、ワーキングホリデーを利用することにした。
オーストラリアには2年ほど滞在。現地の語学学校に通ったり、キノコ農場や物流会社などで働いたりした。日本では追われるように仕事をしていたが、現地では夕方になったら即帰宅する。週末は仲間とBBQやテニスなどを楽しむ日々。そんな経験が、稲葉さんの価値観を自然と変えた。
「昔は売上を伸ばすことに夢中で、何時までに仕事を終わらせようなど考えたこともなかった。働くのは楽しいですが、仕事と休日をきちんと区切るのが自分には合っていると実感しました。暮らしという面でも、都会の刺激的な生活より、のんびりした地方都市の生活の方が好きだと気付かされました」

ワーキングホリデーの経験は稲葉さんのその後に大きな影響を与えた
帰国後に変わった生活のバランス
自分の求める仕事像と生活観を見つけ、帰国後はそれを実践。いや、趣味である旅行を仕事にして理想のワーク・ライフ・バランスを実現したように思える。だが、稲葉さんの考えは、少し違った。
「10年後は今と違うかもしれません。もし結婚して子どもができたら、家族のために一生懸命働きたい。そうなったら、自分のやりたいことを仕事にして、フリーランスで活躍したいですね。そうすれば『仕事をする』というより『生活の一部を仕事にしている』という感覚になる。その時々で自分に最適なバランスがあると思います」
重要なのは休めることでなく、自分に合っていること。社会課題であるワーク・ライフ・バランスの一つの理想形を稲葉さんに見た。

プライベートの時間も充実させたいと考え、居室は8畳以上、上層階、築浅など、条件にはかなりこだわったという
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文=綱島 剛
写真=阿部昌也
※「CHINTAI2017年10月号」の記事をWEB用に再編集し掲載しています
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